School of Culture, Media and Society早稲田大学 文化構想学部

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「心の発達と文化の交じり合うところ」文化構想学部 清水由紀教授(新任教員紹介)

自己紹介

私が心というものについてどうしてこんなに知りたい、と思うのかについて考えてみると、小中学生の頃の経験に行きつきます。私の父はいわゆる転勤族で、私は父の転勤に伴い、小学校を4つ、中学校を2つ経験しました。全て国内でしたが、関東にも関西にも住みました。関西弁がすっかり身についてから、多感な中学生の頃に関東に戻ってきた時、言葉やコミュニケーションの取り方の違いに戸惑い、以前とは異なる「私」を見せようとしている自分に気づきました。「私」とは何だろう?他の人とは違う自分らしさとは?人は異なる地域で異なる自己を形作っていくのではないか?このような疑問を抱いたあの時が、私が漠然と「心」や「文化」というものについて考え出した最初なのかもしれません。

大学に入り発達心理学に出会い、ずっと考え続けてきた心というものの成り立ちやしくみを、この学問を通して探求できるのではないかと確信しました。もともと子どもが大好きで、学生時代は小中学生を対象とした塾講師のアルバイトばかりしていました。発達心理学を学ぶにつれ、子どもという存在についてエビデンスをもとに科学的に捉えることのできるこの学問に、急速に惹きこまれていきました。

現在私は、海外の研究者との国際共同研究をメインに行っています。しかし、実は私はずっと国内で、日本人のみを対象として研究をしてきました。学生時代に留学をしたこともありませんし、国際学会に参加するようになったのも大学に就職してしばらく経ってからです。そんなドメスティックな私の研究に転機が訪れたのは、ニューヨーク大学にて研究を行う機会を得たときでした。世界で一番多様な人種の集う場所に長期滞在する中で、子どもの育つ社会的環境がいかに多種多様なのかを目の当たりにしたのです。例えば、自分の子どもに育んでほしい側面について尋ねると、日本人の親の多くは「他者への思いやりの心」を一番に挙げるのに対し、アメリカ人の親の多くは「自分の考えをきちんと表すこと」を挙げるのです。それまでは、ほとんどの発達心理学者と同様に、人間の普遍的な発達プロセスを探求していたのですが、文化的多様性もまた人という種の大きな特徴であり、文化という要因を無視して子どもの発達を語ることはできないと思い始めました。こうして、「心の発達」と「文化」の交じり合うところで新たな研究が始まったのです。

写真1:マンハッタンにあるワシントン・スクエア・パーク。ニューヨーク大学のすぐそばにあるので,ここでよくランチを食べました

 

写真2:共同研究者のニューヨーク大学Uleman教授と

私の専門分野、ここが面白い!

子どもはとても幼い頃から、実に上手く他者の関心を引き、他者の内面を読み、それに合わせて自分の行動を調整しています。このようなとても人間らしい側面が、いかに発達早期から見られるか、またそれが異なる文化的環境の中でどのように異なる形で現れるかについて研究しています。特に、子どもが他者と関わり合いながら、自己や他者についての認識を発達させていくプロセスについて、文化間の比較を行うことにより調べています。

方法としては、お子さんと保護者の方にラボに来ていただき、実験や観察を実施します。主にアメリカやカナダの研究者と共同で、双方の文化で同じ環境を準備してデータを取ります。対象とする年齢は乳児期から青年期と幅広く、また時には文化差が表れた「後」の状態を調べるため大人も対象とします。文化的な認識の在り方は無意識のプロセスに埋め込まれていることも多いので、視線や脳波などを計測して比較することもあります。

 

写真3:日米の子どもに対して、同じ方法を用いて実験を行います

 

写真4:ゼミの学生達も、ラボでの研究に参加します

グローバル化社会と呼ばれている現代社会において、私たちの生活様式は実に多様になり、目まぐるしく変化しています。考え方や感じ方は一つだけではないし、育ちの道筋も一つではない。常識だと思っていることが、実はそうではないかもしれない。そのような視点を持つと、自分のいるこの世界がまた違う色を帯びて見えてくるかもしれません。人の心の成り立ちに興味がある方は、是非研究室にお立ち寄りください。心の発達の普遍性と文化的多様性の両方を探求することで、「人間とはどのような存在なのだろうか」という壮大な問いに対する答えの一端を、一緒に解明していきましょう!

プロフィール

神奈川県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部心理学コース卒業後、お茶の水女子大学人間文化研究科修士・博士課程修了、博士(人文科学)を取得。日本学術振興会特別研究員(DC2)、お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター専任講師、埼玉大学教育学部准教授、ニューヨーク大学心理学部客員研究員(科学研究費補助金「国際共同研究強化」による)などを経て、2020年4月より本学文学学術院教授。

主な著書に『他者とかかわる心の発達心理学 -子どもの社会性はどのように育つか-(編著、金子書房)、『学校と子ども理解の心理学』(編著、金子書房)、『パーソナリティ特性推論の発達過程-幼児期・児童期を中心とした他者理解の発達モデル-』(単著、 風間書房)。

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