教育支援の最前線から文化イベントの新規立ち上げまで、
幅広い経験を積み管理職へ
-これまでの経歴と現在の業務内容を教えてください。
新卒で保険会社に入社した後、スポーツメーカーでの勤務を経て、2005年に早稲田大学に入職しました。最初に配属されたのは理工学術院統合事務・技術センター事務部教学支援課です。そこでは、学部生・大学院生の科目登録や履修に関する相談対応、進級や留学に係る諸手続き等の業務を担当しました。その次に文化推進部文化企画課へ異動し、早稲田大学の文化資源を活用した新たなイベントやミュージアムの立ち上げに参画しました。2020年からは教務部入学センターの管理職として入試に関する業務に携わっています。今一番力を入れているのは、新学習指導要領で学ぶ現在の高校1年生が本学を受験する2025年度入試における、各学部の出題科目・範囲を取りまとめる業務です。学部ごとに試験範囲が異なっては受験生が混乱するので、大学全体の方針を決めるために調整を進めています。
-業務をされる中で、心掛けていることは何でしょうか。
早稲田大学の職員は裁量が大きく、やる気になれば大抵のことはやらせてもらえるので、楽しみながら自分のカラーを出すことを心掛けてきました。たとえば理工学部の科目登録は複雑なので、新入生がスタートでつまずくことが無いよう、イラストが得意な学生に協力してもらい漫画形式の手引きを作成して配付しました。また、自学部に限らず全学部の新入生を助けられるような恒常的な仕組みをつくりたいと思い、有志の職員や在学生と協力して「こうはいナビ」の立ち上げに参画しました。
現在の職場である入学センターでも、高校生や保護者向けの大学説明会では早稲田の自由な雰囲気が伝わるよう工夫しています。インターネットに出ている情報をただ説明するのではなく、自分の目線でコンテンツを考えながら他大学と差別化できるよう趣向を凝らしています。すべての取り組みで一貫しているのは、「早稲田大学が第1志望であったかどうかに関わらず、入学した学生に圧倒的な満足感をもって卒業してもらいたい」という気持ちです。
-文化推進部では、新たなイベントを提案、実行されたそうですね。
文化推進部に異動してみると、早稲田大学がもつ豊富な文化資源に驚かされました。演劇博物館や會津八一記念博物館など立派なミュージアムがありますが、残念ながらこれらの貴重な文化資源に一度も触れないまま卒業してしまう学生もいます。また、文化イベントにおける学生の活躍の場をもっと作れる余地があるとも感じました。「『文化の早稲田』という柱を作りたい!」という想いから始めたのが「Museum Week(ミュージアムウィーク)」です。文化推進部は少人数職場だったこともあり、学生や教員、早稲田大学周辺の商店街や企画に賛同いただいた協力会社の方々にも協力いただきました。学生にはミュージアムを舞台にしたイベントに出演してもらうと共に、運営やSNSでの宣伝に力を貸してもらいました。教員には授業でチラシを配る時間を割いてもらい、商店街や協力会社の方々には業務中にド派手なイベントTシャツを着用してもらうなど特に広報面で協力いただきました。その代わりに商店街の協力店舗とのコラボメニューを開発して大学でも宣伝するなど、Win-Winな関係を築くことを心掛けました。Museum Weekの立ち上げには、営業・商品企画・広告宣伝といった、前職・前々職の経験も活かせたように思います。学生が喜んでミュージアムに入っていったり、笑顔でパフォーマンスを披露している姿を見ると、少しは「文化の早稲田」の柱作りに貢献できたのかな、と思いました。このイベントが、ミュージアムを知らないまま卒業していたかもしれない学生たちに文化に関心を持ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。このほかにも早稲田大学歴史館(2018年)や早稲田スポーツミュージアム(2019年)の立ち上げにも関わることができました。これから早稲田大学に入学する若い世代が来て見て楽しむことができるミュージアムにすることにこだわりました。

Museum Week は学生たちに活躍の場を提供し、早稲田の一大イベントとなった
-現在の職場の雰囲気と管理職として意識されていることを教えてください。
職場は和やかな雰囲気です。課員の年齢層は幅広く、出身大学もバラバラ、既卒入職組も多く、色々な個性を持った人がいます。入学センターは高校生と接するのでホスピタリティも求められますが、皆それを兼ね備えていて素晴らしい ”人財” の集まりだと感じています。職場では仕事だけではなく家庭や趣味のことについても、なるべく自分からさらけ出すように意識しています。ざっくばらんな雰囲気での何気ない会話から課員との繋がりを深めたいですね。自分のカラーを出すという点では、管理職になってからは自重気味になりました。自分の考えを押しつけず、若い人からもっと学んで自分が凝り固まらないようにしたいと考えているからです。私自身は若い時に好きなように仕事をさせてもらい、当時の管理職に感謝しています。だからこそ自身が管理職となった今は、真面目一辺倒ではなく、はみ出したことを考えてみようよと課員に対して働きかけています。早稲田大学の職員には普通の大学職員には収まらない、ダイナミックな動きを期待しています。

小川課長(中央)と Museum Week のTシャツを着たインタビュアーたち
育児休業を取得し、仕事と家庭を両立した働き方を実現
-ワークライフバランスはどのようにとられていますか。
第2子が誕生した際に育児休職を取得しました。当時はまだ男性で育児休職を取った職員がいなかったので、人事課が積極的に広報をしていた記憶があります。その機運を少しでも高めたいという思いがありました。「これからは仕事だけではなく育児もするぞ」という自分の中での宣言でもありました。本学では、今では男性の職員が育児休職を取得することも当たり前になっています。福利厚生は民間企業や他大学と比べてもかなり進んでいるのではないでしょうか。育児休職を取得したことで、妻にかかる負担の大きさについても身をもって実感しました。1日は24時間しかないので、仕事と家庭に充てる時間をどのように配分するか、ある程度決めておく必要があります。家庭の時間を確保するために限られた時間で集中して働こうという活力にもなっています。家族との写真を現像してアルバムに保存しているのですが、子どもの結婚式でエンドロールに使ってほしい、粒揃いの作品が揃っています。
リンク:座談会企画 ~育休を取得した男性職員に語ってもらいました~ – 早稲田大学 ダイバーシティ推進室
-早稲田大学職員を目指す皆さんへメッセージをお願いします。
本学職員は私の経歴上では3つ目の職業ですが、理工学術院と文化推進部と入学センターでは業務内容がまったく異なります。まるで入学センターが5つ目の職業のような感覚です。数年に1回のジョブローテーションでドキドキが味わえますし、異動のたびに優秀で個性あふれる教職員に新たに出会えるので、「飽きている暇なんてない」というのが魅力だと思っています。また、早稲田大学は職員向けの研修プログラムや休暇制度など、安心して働くことができる環境が整っています。やりがいはどんな仕事でも誰でも見出せますが、働きやすさや待遇面は一人の力では思うとおりにならないものだと思います。この恵まれた環境で積極的に自分のカラーを出し、学生に圧倒的な満足度をもって卒業してもらうための仕掛け作りに共に取り組んでくれる仲間をお待ちしています。早稲田大学で一緒に働ける日を楽しみにしています。