セキュリティ課題の解決を目指して

デジタルツインによるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤の研究開発に着手

Beyond 5G時代に顕在化する新たなIoTセキュリティ脅威への対策

学校法人早稲田大学(本部:東京都新宿区、理事長:田中 愛治、実施責任者:戸川 望 教授、以下「早稲田大学」)は、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下「KDDI総合研究所」)、国立大学法人横浜国立大学(本部:神奈川県横浜市、実施責任者:吉岡 克成 准教授、以下「横浜国立大学」)、学校法人芝浦工業大学(本部:東京都港区、実施責任者:新熊 亮一 教授)、以下「芝浦工業大学」)らと、国立研究開発法⼈情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、理事長:徳田英幸、以下「NICT(エヌアイシーティー )」)の「Beyond 5G研究開発促進事業(注1)」に係る委託研究の公募で、「デジタルツイン(注2)によるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤」(以下、本研究開発)を提案し、2022年8月5日に採択(注3、採択番号:05201)され、この度研究に着手しました。

背景

これまでIoTのセキュリティについては、ネットワーク上での攻撃情報や観測情報に基づいて利用者に注意喚起を行うなど、主にサイバー空間での対策が進められてきました。一方、Beyond 5Gにおいてサイバー空間とフィジカル空間の融合が進展すると、攻撃やその影響もサイバー空間だけではなくフィジカル空間にも拡大し、これまでにないセキュリティ脅威が顕在化することが予想され、これらの脅威に対応するために新たなセキュリティ対策が求められてきます。

研究開発の概要

本研究開発では、Beyond 5Gで顕在化することが予想される新しいセキュリティ課題の解決を目指し、サイバー空間での観測技術に加え、不正回路検知などのフィジカル空間観点での検査・観測技術も高度化するための研究開発を進めます。また、得られた情報を集約してセキュリティ対策を目的としたデジタルツインを生成し、サイバー・フィジカル全体での自律的なセキュリティ確保を実現する技術を研究開発します(図1)。さらに、Beyond 5Gアプリケーションによる実証を通じて、IoTやサイバー・フィジカルシステムを収容するBeyond 5Gネットワークスライス(注4)への適用を想定したセキュリティ基盤を本研究開発で構築します。

図1 デジタルツインによるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤のイメージ

各組織は、産学連携の下、研究開発・実証を強力に推進し、IoT向けのBeyond 5Gネットワークスライスに適用可能なサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤を構築することで、Beyond 5Gに求められる安全性・信頼性の確保に貢献していきます。

研究開発体制

早稲田大学の取り組み

早稲田大学は、デジタルツインによるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤の構築に向け「フィジカルデバイス不正検知技術」の研究開発を行います。従来、セキュリティ基盤は、ソフトウェア、ハードウェアが分離され、統合的なセキュリティ基盤が未整備でしたが、Beyond 5Gにおいてサイバー空間とフィジカル空間の融合が進展すると、攻撃やその影響もサイバー空間だけでなくフィジカル空間にも拡大する恐れがあります。こうした背景から、早稲田大学はIoTデバイスあるいはその構成要素となるIoT回路を対象としたセキュリティに関する研究開発を行います。そして、これらの仕組みをデジタルツインと接続・連携することで、サイバー空間上のデジタルツインにフィジカル空間のセキュリティ情報を与える仕組みを構築します。

早稲田大学は、これまで総務省・戦略的情報通信研究開発推進事業や、当該の情報通信技術の研究開発等を通じて、ハードウェアセキュリティに関する研究開発に取り組んできました。これらの研究開発成果をもとに、本事業の研究開発に取り組みます。

実施責任者(早稲田大学・戸川望教授)のコメント

Beyond 5Gはサイバー空間とフィジカル空間の融合を一層促進し、さまざまな応用分野が開かれる一方、新たなセキュリティ脅威も顕在化すると考えられます。本事業は、Beyond 5Gのセキュリティをサイバー空間とフィジカル空間の両面から捉えることで新たなセキュリティ基盤を構築するもので、Beyond 5G実現のために必須なものと考えます。

用語解説

(注1)Beyond 5G研究開発促進事業について(NICT Webページ)
https://www.nict.go.jp/collabo/commission/B5Gsokushin.html

(注2)デジタルツイン
現実空間の情報をデジタル化し、計算機上にも仮想モデルとして再現し、 現実空間と仮想空間を情報連携させることにより、分析や将来予測を可能とする動的モデル。

(注3)「Beyond 5G研究開発促進事業(一般型)」に係る令和4年度新規委託研究の公募(第1回)の結果(NICT お知らせ)
https://www.nict.go.jp/publicity/topics/2022/08/05-1.html

(注4)ネットワークスライス
サービスに応じてネットワークを仮想的に分割し、サービス毎に適した特徴を持つネットワークとして運用する技術。

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