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新しい光ファイバ無線技術を開発

世界初 大容量化・エリア構築性に優れた
モバイルネットワーク向け光ファイバ無線の伝送実験に成功

屋内不感地帯を効率的に解消、Beyond 5G/6Gへの拡張も可能

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、以下、KDDI総合研究所)、矢崎総業株式会社(本社:東京都港区、以下、矢崎総業)、学校法人早稲田大学(本部:東京都新宿区、以下、早稲田大学)、国立研究開発法人情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、以下、NICT)は、大容量の無線信号を収容局(注1)からビル内まで効率よく配信する「光ファイバ無線技術(注2)」を開発し、5G最大伝送レートを上回る27Gbit/s無線信号のモバイルフロントホール (注3) 伝送、およびビル内など屋内電波不感地帯向けの中継伝送技術を組み合わせた統合伝送実験に、世界で初めて成功しました。本技術により、大容量無線信号の効率的な配信とアンテナ設置箇所のスペース・消費電力削減が可能となり、ミリ波(注4)を用いた5Gサービスや、5Gの次世代技術であるBeyond 5G/6Gに向けた動きが加速され、これまで以上の高速無線通信サービスを快適に利用できるようになると期待されます。

なお、今回の研究開発の成果は、光通信分野に関する国際会議ECOC2020(2020年12月6日(日)~10日(木)開催、注5)で発表します。

※今回の研究開発は、総務省電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)における「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発」を受託し、実施したものです。

【背景】

2020年3月に日本国内でも5Gサービスの提供が開始されました。今後、特にミリ波を活用した5GやBeyond5G/6Gの展開に当たっては、その特性上、屋内等の閉空間が電波不感地帯になりやすいことが懸念されており、屋内を含む多様な環境に多くのアンテナを設置すること、および収容局~アンテナまでのモバイルフロントホール回線の大容量化が必要となります。5Gでは、無線信号のデータレートに対し5倍超の伝送容量がモバイルフロントホール回線に必要と見積もられており、最大レート20Gbit/sの5G無線信号を配信するために必要となるモバイルフロントホール回線の伝送容量は100Gbit/sを上回ります(注6)。400Gbit/sを超える伝送規格も存在しますが、データセンター向けの短距離規格やコアネットワーク向けの規格であり、20km程度の伝送距離で回線数も多いモバイルフロントホールに適用可能な規格としては、現状50Gbit/sが最高速です(注7)。さらには、高速の伝送規格の機器ほど消費電力が急激に増加するために、将来のBeyond5G/6Gへの拡張も見据え、無線信号を効率よく伝送し、屋内を含めて配信するための新たな手法が求められていました。

【今回の成果】

今回、KDDI総合研究所、矢崎総業、早稲田大学およびNICTは、上述の課題を解決する技術として、複数の無線信号の時間波形を一括して光の強度情報に転写し、大容量の無線信号を効率よく伝送することが可能な光ファイバ無線技術「IFoF方式(注8)」を新たに開発しました。また、その周波数特性からミリ波帯の光ファイバ無線への適用が困難と考えられていたマルチモードファイバ用の強度変調-直接検波型光送受信デバイスを新たに開発し、屋内配線を想定したマルチモードファイバによるミリ波信号の伝送を実現しました。これらにより、5Gの最大レートを上回る27Gbit/s 無線信号のモバイルフロントホール20km伝送と、モバイルフロントホール伝送後にミリ波無線信号をマルチモードファイバで200m中継伝送する、統合伝送実験に世界で初めて成功しました。

今回開発した光ファイバ無線技術によるモバイルフロントホールは、1本の光ファイバかつ1波長だけで大容量無線信号を伝送できるため、波長多重や空間多重を組み合わせることで更なる大容量化が期待されることから、今後のBeyond 5G/6G時代に向けた拡張性の高い方式です。また、IFoF方式により、より低い周波数領域の伝送機器が使用されることになるため、省電力化が図れ、 SDGs への寄与が期待されるとともに、アンテナ側の設備構成を簡素化できるため、利用者のニーズに応えて設備がより速く展開できることが期待されます。さらに、5GやBeyond5G/6Gではミリ波以上の高い周波数を用いることにより屋内等の閉空間が電波不感地帯になりやすいことが懸念されており、曲げに強く敷設性に優れたマルチモードファイバによる中継伝送技術は、幅広い環境下での高速無線通信サービス利用を可能とすることが期待されています。

■役割分担

  • KDDI総合研究所:IFoFモバイルフロントホールの方式検討・技術開発・実証実験
  • 矢崎総業:マルチモードファイバ中継伝送用光デバイス設計開発・実証実験
  • 早稲田大学/NICT:マルチモードファイバ中継伝送用光デバイス評価技術開発・シミュレーション

【今後の展望】

今回、収容局からアンテナサイト向けの下り方向について光ファイバ無線技術の統合伝送実験を行いましたが、今後は上り信号伝送についても研究開発および実証実験を進めていきます。また、研究開発と並行して標準化活動も推進し、5GやBeyond 5G/6G向けモバイルフロントホール技術としての方式確立、実用化に向けた活動を継続していきます。

  • (注1) 無線基地局や固定系サービスの加入者(各家庭・事業者)を収容するための局舎。ここから通信事業者のバックボーンネットワークに接続される。
  • (注2) 電気-光変換器により無線信号波形を光の強度情報に変換することで、光ファイバ伝送路を介して無線信号を伝送する技術。受信側では、受信した光信号を光-電気変換器により元の無線信号を再生する。
  • (注3) 第5世代無線通信システムにおける、DU(Distribute Unit)とRU(Radio Unit)を接続するネットワーク区間。最寄りの収容局~アンテナ設置場所までのアクセスネットワークに相当する。
  • (注4) 一般的には周波数30GHz~300GHzの無線信号を意味するが、国内で5G用に割り当てられた28GHz帯(27.0GHz~29.5GHz)も便宜上ミリ波として扱われている。大容量伝送に適する一方、直進性が高く、減衰しやすい特徴がある。
  • (注5) 欧州光通信国際会議(European Conference on Optical Communication)。H. Y. Kao et al., ECOC2020 Tu1G-7, “End-to-End Demonstration based on hybrid IFoF and Analogue RoF/RoMMF links for 5G Access/In-Building Network System”
  • (注6) 3GPP TR 38.801 Annex A より
  • (注7) アクセス回線を想定した一心双方向伝送規格では、IEEE P802.3caにおいて50Gbit/s PON (Passive Optical Network)の方式規格化が完了している。また、IEEE P802.3cpやITU-T G.9806において、最大50Gbit/sのPoint-to-Point伝送方式に関する規格化が進められている。
  • (注8) IFoF=Intermediate Frequency over Fiber。複数の無線信号を中間周波数帯(IF帯)で周波数多重し、アナログ光変調により1本の光ファイバ・1波長で一括してアンテナまで伝送する方式。比較的低い周波数領域で信号処理をするため、安価な光変調器・光デバイスで大容量の無線信号を配信できる。
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