世界をリードするWASEDAのロボット研究の最先端を朝日新聞で紹介

早稲田大学が策定した2032年の創立150周年に向けた中長期計画「Waseda Vision 150」。世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する研究の推進を掲げた早稲田大学は、「国際研究大学」の枠組みを構築すべく、その活動を広く世界へ発信し、人類社会に還元している。

なかでも40年以上の歴史を誇るロボット研究は、世界最先端の技術が日々、開発されており、ロボット技術を核にした新しい文化や産業の創出も期待される国際的な研究拠点として注目されている。

※早稲田大学の誇る最先端研究が朝日新聞(10月26日朝刊)に掲載されました。 人間と同じように器用な腕で高齢者の生活をスムーズに支援

人間と同じように器用な腕で高齢者の生活をスムーズに支援

TWENDY-ONE

TWENDY-ONE

少子高齢化により、高齢者の日常生活を支援する介護ロボットのニーズが高まっている。そのためには人間の生活空間で、家電や食器など様々な形状のものを人間と同じように扱えるロボットが必要となる。菅野重樹研究室が開発した「TWENDY-ONE」は、腕にバネを利用した関節機能を搭載し、圧力調整できる指で、複雑な形状のものや、やわらかいものも人と同じように扱える。ベッドから車イスに乗るのを手助けしたり、冷蔵庫を開けて調味料を出したり、パンを焼いたり、といった家事や介助の支援をこなす。

介護ロボットは、人との接触や衝突を避け、かりにそのようなことがあってもけがをさせない安全性が重要だ。TWENDY-ONEは全身に搭載した接触検知機能や高度なセンシング性能で、そのような事故を避ける。早稲田の技術の結晶ともいえるこのロボットは、数年後の製品化を目指している。

全身で喜怒哀楽を表現する2足歩行ロボットの最新型

KOBIAN-R

WABOTから続く2足歩行ロボットの最新型が、高西淳夫研究室が開発した「WABIAN-2」だ。骨盤の動きを模倣した機構を備え、人間に近い歩きかたをするWABIAN-2は、歩行支援機などの福祉用具を開発するための人体運動シミュレーターとしても利用できる。

またWABIAN-2の体をベースに、感情を表現できる上体を組み合わせ、喜怒哀楽を全身で表現できるようにしたロボットが「KOBIAN」だ。まぶたやまゆげ、唇まで動かせ、口を丸くあけて両腕を開いて驚きを表現したり、うつむいて涙を流しているようなしぐさをしたり。「喜び」「怒り」「驚き」「悲しみ」「恐れ」「嫌悪」「通常の状態」という七つの感情を表現できる。いずれ人間と同じように行動し、感情を表現するロボットが、介護施設などで人々の心を和ませる日も訪れることだろう。

複数の人との会話もできるコミュニケーションロボット

小林哲則教授率いる知覚情報システム研究室では、音声認識や顔表情認識、機械学習、会話を組み立てる手法など、人間と自然な会話ができるロボットを研究している。その集大成が「SCHEMA」だ。これまでのロボットがたいてい1対1の会話を目的にしていたのに対し、SCHEMAは複数の人の会話に自然と参加し、コミュニケーションできる。かわいらしい顔もあって子供たちにも人気だ。

知覚情報システム研究室

ロボットの正確で緻密な動作で切らない乳がん治療を支援する

science_130610_03早稲田大学では人型ロボットだけでなく、実用的な手術支援ロボットシステムや、高齢者や障害者の歩行支援システムなども研究・開発している。東京女子医科大学との医理工連携拠点「TWIns」では、ロボットの正確で緻密な動作を医療に生かす研究も進められている。例えば、藤江正克研究室が九州大学や東北大学と共同開発している乳がん手術支援ロボットだ。肝がんの治療法に、刺した針の先端からラジオ波を発生させてがん細胞を死滅させるラジオ波焼灼療法があり、切らない治療法として乳がんにも導入が検討されている。乳がん手術支援ロボットは、がん細胞の位置や領域を数値で把握し、針を正確にコントロールしてがん細胞に刺し、焼き切る。医師の経験や手腕に依存しない安全な治療法として期待されている。

40年の歴史を誇るロボット学の国際拠点

早稲田大学のロボット研究は1970年、「日本ロボット開発の父」と呼ばれた故・加藤一郎教授のもと、学科横断プロジェクト「WABOT(Waseda Robotの略)」として始まった。73年には簡単な会話をし、2足歩行する人間型ロボット「WABOT-1」を完成。84年には楽譜を認識し、両手両足で電子オルガンを演奏する「WABOT-2」を発表した。

WABOT-1

WABOT-1

WABOT-2

WABOT-2

「私たちが目指したのは、工場などで決められた作業を行うロボットではなく、人間と共存し、私たちの暮らしを便利で楽しくしてくれるロボットです」

加藤教授の薫陶を受け、現在、早稲田のロボット研究のリーダー的存在である藤江正克教授は語る。

ロボット研究には、機械工学だけでなく情報工学、材料工学、さらに医学や心理学など幅広い知識が必要となる。様々な分野の研究者が連携した横断型の研究も早稲田の特長だ。2000年には人型ロボットに特化したヒューマノイド研究所を設置。02年には建築や通信の分野とも連携し、住環境を含めたロボット研究を推進するWABOT-HOUSE研究所を設立。03年からは21世紀COEプログラム「超高齢社会における人とロボット技術の共生」を開始し、生命・生体・福祉研究所、先端医工学研究所、モビリティ研究所とも連携した研究を進めた。08年からはグローバルCOEに採択された「グローバルロボットアカデミア」として国際的な拠点化を推進。韓国CIR、イタリアSSSAなど海外のロボット研究とも連携し、活発な人材交流や共同研究を行っている。

「ロボット研究は様々な工学分野の技術の発展や、人間理解の深化にもつながります。私たちはこれまでの研究を世界最高水準の体系的なロボット学として構築し、世界の標準にしたいと考えています」と藤江教授。

創立150周年を迎える2032年には、世界中から学生が集まり、世界に貢献する最先端の研究が行われ、卒業生がグローバルリーダーとして活躍している。早稲田大学では「Waseda Vision 150」として、そんな大学像を掲げている。ロボット研究は、まさにその先陣を切っているといえるだろう。

生物系など幅広い研究者と交流できる

創造理工学研究科 総合機械工学専攻 博士後期課程 呂筱薇(ろ・しょうび)さん

現在、乳がんのラジオ波焼灼療法を支援するロボットの研究に取り組んでいます。早稲田大学は先端技術にふれられ、色々な体験ができる大学です。先端生命医科学センターには生命・生物系の研究室もあり、幅広い分野の研究者と交流できます。ロボット研究では、いかに人の役に立てるかを重視しており、常に「このロボットは本当に人の役に立つのか?」と自問しています。夢は私が開発したロボットを世界中の人に使ってもらうことです。

国際的な環境のなかで研究ができる

先進理工学研究科 生命理工学専攻 博士課程 クリチュカ・プシェミスワフさん

日本でロボットの専門的な勉強がしたいと思い、2足歩行ロボットの研究が世界でもっとも 有名な高西研究室に入りました。人型ロボットが人々の役に立つためには、実際の生活環境で 安定して歩行できることが課題です。歩行中によろめいたり、不安定になったりした時にも、 素早く体勢や動きを変え、安定した歩行に戻る制御システムを開発しています。私はポーランド 出身で、早稲田のロボット研究室には留学生が多く、国際的な環境のなかで研究できます。

 

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