膨大なデータを駆使し、社会課題解決へ シンポジウム「データとしての社会」を開催

ウェブニュース、検索エンジンにおけるキーワード、インスタグラムやツイッターといったSNS等のソーシャルメディアへの投稿。現代社会では、膨大なデータが常に生み出されています。

SNSへ投稿する等によって、膨大なデータが生み出される社会 (Photo credit: Lisa Fotios on Pexels)

生み出されたデータを分析し、情報を引き出したり、新たな価値観を創出したりしているのが、近年注目を集めているデータサイエンスという分野です。データサイエンスを活用することにより、これまで社会に対してどのような洞察が得られたのか、今後期待される新たな知見は何かを検討するため、データサイエンスの手法を用いた社会的課題の理解と解決に取り組むシンポジウム「Society as Data [データとしての社会]」が2019年1月29日に開催されました。スーパーグローバル大学創成支援事業・実証政治経済学拠点が主催のもと行われた本シンポジウムは、2019年1月28日~2月1日に早稲田大学で行われた、データサイエンスの手法が学べるData Science Weekのメインイベントとして開催されました。

開催挨拶で会場に集まった社会科学系の研究者や学生に対し、自身も計量政治学・政治過程論を研究している田中愛治総長は、「社会科学者は調査を行う際、常に人的要素を考慮しなければならない。あなたたちのどのようにして人間行動を計るかという知見が、世界を変えることができるような重要な結果をもたらすかもしれない」と語りました。

SNS上での自殺に関するディスカッションを分析し、防止につなげる

現代政治、政治コミュニケーションそしてテキスト分析手法を専門に研究している政治学研究科博士課程在籍のロバート・ファーヒ氏は、自殺に関するネット上のディスカッションと現実世界への影響についてプレゼンテーションを行いました。有名人の自殺に対するツイッターでの感情的反応と自殺報道に影響され自殺が増える事象(ウェルテル効果)や、自殺願望の観念化を示す「消えたい」などのキーワードやキーフレーズに着目するプロジェクトについて発表しました。

政治学研究科博士課程在籍のロバート・ファーヒ氏

ファーヒ氏は、「SNS上での自殺に関する議論・意見を分析することで、おこなわれている議論の内容や所属しているネットワークの属性などから、どのような特性を持つ個人やグループが自殺の危険性が高いかを特定することができるかもしれない」と説明。「(特定ができることで)自殺の危険性が高いと思われる人々に対して、それらの人々を自殺防止のためのカウンセリングサービスを受けることを誘導するような、関与を行ったり、ターゲティング広告を実施するなどの施策をおこなう潜在的な機会が見いだせるかもしれない」と期待を込めました。

その他の登壇者の詳細についてはこちらをご覧ください。

理系と文系の知識を総動員し、大きな成果を

本シンポジウムは、政治経済学術院・上田路子准教授が中心となって実現されました。

上田准教授は、今回のイベントを通して学内外の研究者ネットワークが広がったことは大きな成果であり、また、データサイエンスの手法を学び、研究に取り入れたいと考えている教員や大学院生・学部生が非常に多くいることが明らかになったと話しました。

「Data Science Weekの一環として行われたR言語を用いてテキスト分析を行う等のワークショップにキャンセル待ちが出るほど、特に大学院生・学部生に多く参加していただいたことで、今後データサイエンスの手法を使った研究が増えることが期待されるのは非常にうれしいことです。このイベントが、データサイエンスを教える授業が増えることにつながれば良いと思います」、とコメントしました。

Data Science Week開催中、さまざまなワークショップが開催されました

さらに上田准教授は、「現在は、理系と文系の研究面での連携は、あまり行われていませんが、データサイエンスの分野は、理系と文系の知識を総動員することで大きな成果を得られる分野です。早稲田大学には、データ科学総合研究教育センターデータ関連人材育成プログラム(D-DATa)が既に存在し、それらの機関やプログラムを軸にデータサイエンス研究はこれからも大いに発展していくでしょう。今後は、データ科学総合研究教育センターを仲介役として文理の連携がさらに進むことを期待しています」、と語りました。

データ科学総合研究教育センターについて


早稲田大学は2017年12月1日、40号館に早稲田大学データ科学総合研究教育センターを開設しました。本センターは、本学が有する総合大学の強みを最大限に活かし、理工系・人文社会学系の専門領域の知見と、データ科学との融合を図るプラットホームを提供します。総合知・新しい知の創造と複雑でグローバルな社会問題解決を行うことができる人材の育成と、大学全体の研究力の向上を目的としています。さらに国内のみならず、海外の大学や企業とも大規模なネットワークを形成し、世界の先進的モデルの拠点として、実践的な教育と研究の普及に努め、グローバルなデータ駆動型社会を担うことをミッションとしています。

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