VRのリアルさを高める魔法とチェーホフの銃 国際シンポジウム「VRST 2018」を開催

2018年11月28日から12月1日にかけて、Association for Computing Machinery主催、早稲田大学理工学術院、スーパーグローバル大学創成支援事業のICT・ロボット工学拠点共催で、ヴァーチャルリアリティ(VR)のソフトウェア・技術に関する国際シンポジウム「VRST 2018」が早稲田キャンパス国際会議場井深大国際記念ホールにて開催されました。

オープニングセレモニーでは、株式会社バンダイナムコエンターテインメントのVRエンターテインメント施設「VRゾーン」の開発を統括・ディレクションしている田宮幸春氏と、株式会社バンダイナムコスタジオのクリエイティブディレクター兼ゲームデザイナーの本山博文氏が登壇し、地上200mから板切れの先にいる子猫を救い出す「極限度胸試し 高所恐怖SHOW」といったVRゾーンで体験できるコンテンツの話を交えながら、これまでのVRへの取り組みを紹介しました。

また、田宮氏は『魔法のかけ方』について、「VRはまだ錯覚という考え方なので、頭の中でこれは本物だと信じてもらう必要がある。そこで、最初に思わず体を動かすという要素を意図的に盛り込むようにしている。そうすると、感情が後からついてきて、なにをやってもリアルだと感じてもらえる。体が信じてしまうと、心も信じてしまう」と話しました。

VRゾーンで体験できるVRコンテンツ「極限度胸試し 高所恐怖SHOW」について説明する田宮幸春氏

最後に田宮氏は、「南の島でのんびりするような楽しい、体験を過ごすようなのんびりしたコンテンツを作りたいと思っています。技術の発展によって、できることが増え、VRの豊かな世界が待っているのではと考えています」と語りました。

さらに、連日行われた3つの基調講演には、米国のEpic Games社のテクニカル・ディレクター兼所長であるNick Whiting氏、東京大学大学院情報理工学系研究科教授の石川正俊氏、そして、スタートアップPinscreenの開発を進めている南カリフォルニア大学助教でのHao Li氏が登壇しました。

「Discovering VR’s Grammar: The Interplay of the Engineering and the Creative Processes」と題した基調講演でWhiting氏は、製品に対して決断を下すときのメンタルモデルや、改良を経て製品がどのように発展したかについて話しました。補助を徐々に上げていくことで射撃率の上達を体感させたことや、標的であるロボットに異質感を出すことで射撃に対する罪悪感を抑えたことなど、自社が開発した「Bullet Train」や「Robo Recall」というVRゲームのケーススタディについても触れました。

ロボットに異質感を出すことの意味を説明するWhiting氏

最後にWhiting氏は、VRアプリケーションで成功するために最も重要なのは、VRの特徴を最大限に活かすことに焦点を当てることだと説明しました。しかし一方で、「ストーリーに持ち込まれたものは、すべて後段の展開の中で使わなければならない」と、劇作におけるチェーホフの銃というテクニックルールについて触れ、VRも同様、現実と同じように使えると思い込んでしまいそうな物体がVR内にあれば、アプリケーションのクリエイターはその物体を現実的、あるいはインタラクティブに使えるようにしなければならない、さもないと、プレイヤーが失望してしまう、と話しました。

本シンポジウムでは、VRに関する最先端の研究発表や選抜されたデモンストレーションが行われ、スクエアエニックスやマイクロソフトを含む14社の企業展示ブースが設けられました。参加者378名の内、約2/3は海外からと国際色豊かであり、基礎技術的な部分からエンターテインメントとしての応用まで幅広く深い世界が体験できるイベントとなりました。

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