私たちにとってのディーセント・ワーク ILO「仕事の未来イニシアチブ」に、学生が提言

2018年7月18日、グローバルエデュケーションセンター設置科目「Decent Work学:働きがいのある人間らしい仕事とは(基礎) 01」において、学生チームがプレゼンテーションを行いました。今回のプレゼンテーションは、授業を通じて学び深めた労働環境をめぐる現状、そしてディーセント・ワークをめぐる議論を踏まえて、これから就職活動に参入しようとしている学生たちの目線から、ILO(国際労働機関)のトップリーダーに提言する企画です。

ILOからゲストとして、駐日代表・田口晶子さんジュネーブ本部上級労働法専門官・野口好恵さんほか三名をお招きしました。担当教員の小山淑子・留学センター講師も、2016年までILOの危機対応専門官として、紛争地域の復興に関わっていたという経歴を持っています。

ディーセント・ワークとは ILO「仕事の未来イニシアチブ」とは

ディーセント・ワークとは「働きがいのある人間らしい仕事」を指す概念です。国連総会が2015年に採択した「持続可能な開発の為の2030アジェンダ」の目標(SDGs)にも、開発目標8「ディーセント・ワークと経済成長」として取り上げられています。いっぽうILOは、創立100周年を迎える2019年にむけて「仕事の未来イニシアチブ」キャンペーンを行っており、100周年記念総会に提出される報告書の参考として、対話と提言をひろく世界に呼びかけています。

学生チームのプレゼンテーション

1班:日本のことも考えて!

1班は、問題提起からありうべき可能性・選択肢の提示、その実現を阻む要因の考察、そして提言というストーリーを展開しました。長時間労働や過労死が根絶できないのはなぜか、という問いから、少子化の根本的な原因としての労働慣行、ブラック企業であっても転職リスクを取らず安定を求める労働者、ベーシックインカム導入の財政上の困難さについて示し、ライフイベントが起これば仕事を辞めるという選択肢しか残されていない現状を訴える1班メンバー。「副業」ならぬ「複業」によって女性にとって働きやすい環境を整備できる、日本の働き方を変えるためにILOも積極的にアプローチしてほしい、「日本のことも考えて!」──という結論と提言に、活発に質問が寄せられました。


野口さん

Uberの運転手も複業のひとつのあり方だけれども、こなすべき仕事がなければ給料もゼロ、になるのでは? 脱時間給は、何に対してお金がもらえるか、算定が難しいのでは。


田口さん

SDGsは先進国・途上国双方が達成すべき目標ですが、国の発展段階によってそれぞれ課題があり、アプローチも違ってきます。ILO駐日事務所では、労働社会分野について、他の先進国の事例を紹介するなどしています。また複業のあり方として、曜日によって勤務先を変える、というものもあって、それだと片方の業務に集中できるので、デメリットが少ないかもしれない。


2班:私たちはどう生きたいのか?


デザイン性にすぐれたプレゼン資料で、自分たちはどう生きたいのか、そのために何をすべきかを掘り下げた2班。理想的な労働環境として、充実した福利厚生、経営への全労働者の参与、そして「Work as Life」 の三点を挙げました。一点目の福利厚生をめぐっては、「出産は女性の問題」という社会的通念や産後のキャリアの不透明さなどを指摘し、労働者団体にも出産育児に取り組む部門の設置を求めました。二点目については、上意下達や年功序列など、労働者ひとりひとりの個性やアイデアに対して抑圧的な企業風土を変えるために、経営理念を共有した構成員による協働・対話を強調。そして三点目については、ベーシックインカム導入やAIの進化などによって、好きなことをすることで生きていける社会が到来する、と述べました。


参加者

好きなことだけやっていては社会が回らないと思う。与えられた場でうまく生きていけるかが大事で、そのような場を企業が提供すべきでは。


参加者

「人間らしい」とはいえないけれども社会には必要な仕事があるはず。それをAIで代替できるだろうか?


3班:私たちの Decent Work

「働くな、遊べ」がテーマの3班は、働きすぎを抑止し人間らしく生きる環境を整えるための具体的な施策をとして、社内サークル制度を提案。三人集まればサークルとみなし補助金が出る、という先進的な企業の事例を紹介し、労働者の健康や意欲の維持に寄与し、生産性向上にもつながると説明しました。固定的・恒久的ではない緩やかなあつまりを念頭に置きつつ、企業が活動費を補助するものの税務上控除の対象とすることで、サークル参加・結成の敷居を低く保ちつつ、企業にとってもメリットがある制度を設計しました。


参加者

サークルというのは独創的だけれども、家庭での関係性が希薄になるかもしれない。


野口さん

3班のプレゼンには、企業に自分が属する、という前提があるように感じる。1班は個人経営者志向だった。3つのプレゼンを聞いて、「自分のやりたいことをやる」ことが学生のいちばんの関心事だな、と思った。でも Decent Work とはそういうこと、でしょうか?


田口さん

社内サークル制度はかつての日本企業では珍しくなく、運動部もたくさんあった。華道や茶道のサークルもあった。交流についても会社の中で解決してしまおう、というのは高度成長期の発想だと思うけれども、学生のみなさんをふくめて日本人は、公私を峻別しない私生活でも会社が関係するような文化にずっと憧れているのかも……。別のテーマですが、ILOは、一度仕事についた後も「学び続けることが必要」と言い続けています。


野口さん

就活して企業に入って、そこで一生……という時代ではありません。高度成長期とは違う時代なんです。「仕事の未来」を考えるとき、じぶんの経営者はじぶん、じぶんの人生を作らなければならないと思います。


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