文科省の平成29年度EDGE-NEXTに採択
早稲田大学主幹コンソーシアムが次世代アントレプレナー育成に向けて始動
2017年7月10日、文部科学省平成29年度次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)に、早稲田大学を主幹校とし、滋賀医科大学、東京理科大学、山形大学を協働機関、多摩美術大学、富山県、株式会社本田技術研究所、一般財団法人大川ドリーム基金ら31機関を協力機関とするコンソ―シアム「EDGE-NEXT人材育成のための共創エコシステムの形成」が採択されました。
EDGE-NEXTとは
次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT:Exploration and Development of Global Entrepreneurship for NEXT generation)は、EDGE プログラム※1に採択された大学をはじめ、これまで各地の大学で取り組まれてきたアントレプレナー教育※2で得られた成果や課題を踏まえて、大学等の研究開発成果を基にした起業や新事業創出に挑戦する人材の育成、関係者・関係機関によるベンチャー・エコシステムの構築を目的としています。 今回の公募には、12件が応募し、うち5コンソーシアムが採択されました。
本コンソーシアムの特長
本コンソ―シアムでは、EDGEプログラムでの成果を基盤に、参加機関の強みや国内外の産学官の英知を結集して、専門的基礎能力を有し、鋭利な発想、体系的方法論により新たな市場を開拓します。「グローバルリーダー」、「地域貢献」を体現するアントレプレナー人材のすそ野拡大に向けた「Future-EDGE人材」と、実際の起業・新規事業創出に向けた「EDGE-NEXT人材」を文理融合で養成します。
本事業の特長は、①欧米アジア及び国内へのダイナミックなプログラム展開、②医工などの分野特化型および美大との連携によるラピッドプロトタイピング手法※3を導入したリーンスタートアップ開発※4、コーチング導入などによる教育プログラム高度化、③本格起業前に腕試し的な経験を積むことができるインターンシッププログラムによる入口強化、ベンチャーキャピタル等から大型資金調達を実現するまでの創業支援による出口強化などです。これらの取り組みを通じて、各機関が世界を惹きつけるアントレプレナー育成拠点(エコシステムハブ)となり、日本のベンチャー・エコシステム構築に寄与し、「失敗を恐れず、前進する起業文化」の醸成に貢献することを目的としています。
- 協働4大学+31協力機関の新結合による先鋭的プログラム
- 理工系・文系・医療系・芸術系など多様な専門分野を持つ大学の連携
- 5年間で合計5,200人の多数の受講目標
- 地域連携:山形、富山、滋賀、北九州など 全国にハブ形成
- 海外連携:欧・米・アジアでのネットワーク構築
本コンソーシアムに寄せられた期待
- 価値共創プラットフォーム※5と協働機関との相乗効果が具体的に提示されており、協働機関のマネジメントを十分に機能させ、国内の広い地域をカバーした効果が期待できること。
- バブソン大学等海外協力機関との協力を通じた実践的プログラム、早稲田大学のEDGEの実績を生かし、大きくグレードアップした意欲的な提案や目標等が設定できること。
- コーチング等により早期段階で意識醸成を図り、企業ライフサイクルを体験させる試みが期待できること。
主幹・協働機関からのコメント
早稲田大学 総長 鎌田薫
2014年から3年間実施した「WASEDA-EDGE人材育成プログラム」(以下、「WASEDA-EDGE」)では、人材が集いアイデアを共創する場である「共創館」の設置運営、2年半で約2,200人が受講、受講者による起業8事例など、複数の成果を創出することができました。産業界の関心も高く、新しい形の産学協働をスタートさせることができました。
そして、今年度より、「WASEDA-EDGE」で開発した教育プログラムを正規科目化し、「ビジネスクリエーションコース」※6として全学の学部生・大学院生向けに設置する等、「WASEDA-EDGE」の成果を全学的に共有できるようにしています。
今回採択された「EDGE-NEXT人材育成のための共創エコシステムの形成」では、これまでの「WASEDA-EDGE」の成果を踏まえ、山形県、富山県、滋賀県、北九州市、東京の大学・自治体等とのコンソーシアム形成により教育プログラムの一層の高度化をはかるとともに、コンソーシアムの協働機関や協力機関が抱えるそれぞれの地域課題の解決にも取り組むなど、プログラム内容を拡大強化していきます。
さらに欧・米・アジアの高等教育機関とのネットワークを構築し、本学を中心とした各協働機関が世界を惹きつけるアントレプレナー育成拠点となり、我が国のベンチャー・エコシステムの構築・発展に寄与したいと考えています。
滋賀医科大学 学長 塩田浩平
滋賀医科大学は医工連携に特化したEDGEプログラムを3ヵ年にわたって実施してきた結果、医療分野の新規事業につながるような事例が幾つか生まれ、医療イノベーションの創出や産学連携活動の活性化につながりつつあります。
今回、コンソーシアムの一員としてEDGE-NEXTプログラムに採択されたことで、人材育成や事業化の面でより一層具体的な成果が期待でき、地域におけるエコシステムの構築にも寄与できると考えています。
東京理科大学 学長 藤嶋 昭
東京理科大学は、平成27年からマサチューセッツ工科大学(MIT)の起業推進研修プログラムに参加し、その学びをもとに起業推進センター(TEIC)を立ち上げました。ここでは、単なる現状のニーズに基づく起業の推進ではなく、イノベーションにつながるコアテクノロジーとその未来を提示することで新たなビジネスチャンスを見出した様々な分野の人が集まり、次々と起業家が生まれるエコシステムの構築を目指しています。今回のEDGE-NEXTへの採択を受け、早稲田大学を始め、滋賀医科大学、山形大学と連携し、このエコシステムで活躍する人材の育成に邁進する所存です。
山形大学 学長 小山 清人
山形大学が展開してきた技術や地域課題を解決する人材育成プログラムを充実させ、ものづくりで事業化までできる体制・施設を活用し、独自の本格的創業支援・新規事業支援パッケージを開発することで、インストラクターの育成、アントレプレナーの輩出を図ります。更に、早稲田EDGE-NEXTとの連携、会津大学や関連機関との協力により、南東北地域のベンチャー・エコシステムのハブを形成し、地域活性化を先導してまいります。
参加組織
主幹機関
早稲田大学
協働機関
滋賀医科大学、東京理科大学、山形大学
協力機関(順不同)
1.海外協力機関
- Babson College (米国)
- University of Maryland, Academy for Innovation and Entrepreneurship (米国)
- The California Institute for Innovation and Development (CIID) at UC San Diego Rady School of Management (米国)
- Sten K. Johnson Centre for Entrepreneurship, Lund University(スウェーデン)
- Chalmers School of Entrepreneurship, Chalmers University of Technology(スウェーデン)
- University of Ottawa(カナダ)
- 北京大学(中国)
- 韓国外国語大学校 創業教育センター (大韓民国)
- 中信金融管理学院(台湾)
2.協力機関(企業等)
- 株式会社本田技術研究所
- 一般財団法人大川ドリーム基金
- ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社
- 一般社団法人日本社会イノベーションセンター
- 頂新国際集団康師傅控股有限公司(頂新グループ)
- 台湾三三会青年会(台湾)
- Scrum Ventures (米国)
- 東レエンジニアリング株式会社
- MIT-REAP REAP Tokyo Team
- 東京理科大学インベストメント・マネジメント株式会社
- 特定非営利活動法人 ワイ・リサーチ・イノベーション
- 東北イノベーションキャピタル株式会社
- 株式会社山形銀行
- 株式会社荘内銀行
- 米沢信用金庫
- 他1機関
3.協力機関(大学等)
- 多摩美術大学 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻
- 会津大学
4.協力機関(地方自治体等)
- 北九州市役所
- 公益財団法人 北九州産業学術推進機構(FAIS)
- 東京都産業労働局
- 富山県
用語解説
- ※1 EDGE プログラム:文部科学省平成26年度グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)。我が国におけるイノベーション創出の活性化のため、大学等の研究開発成果を基にしたベンチャーの創業や、既存企業による新事業の創出を促進する人材の育成と関係者・関係機関によるイノベーション・エコシステムの形成を目的とする。平成26年度から平成28年度にかけて全国13大学で実施された。
- ※2 アントレプレナー教育:次代を担う才能豊かな学生が新たな価値を生み出す創造性を育み、起業家マインドを醸成する教育。
- ※3 ラピッドプロトタイピング手法:短期間で製品試作を行うこと。
- ※4 リーンスタートアップ:アメリカの起業家エリック・リース氏が2008年に提唱した、起業や新規事業などの立ち上げのためのマネジメント手法。リーンとは日本語で「ムダがなく効率的」という意味。最低限のコストと短いサイクルで仮説の構築と検証を繰り返しながら、市場やユーザーのニーズを探り当てていく手法を指す。
- ※5 価値共創プラットフォーム:短期的な人材育成プログラムへの支援を行うのみではなく、ベンチャー関係機関、海外機関、民間企業との連携を行うことで関係者間の人的・組織的ネットワークを構築する、さらにはそれをグローバルネットワークにつなげる取組みを重点的に支援し、アントレプレナー育成におけるロールモデル構築と我が国のベンチャー創出力の強化につながる人材育成を通じて形成することが目指されているプラットフォーム。
- ※6 ビジネスクリエーションコース:グローバルエデュケーションセンターに2017年4月に設置された、学問分野にとらわれず早稲田大学でしかできない経験を積むための実践型教育プログラムのコース。文系・理系を問わず、全学部生・大学院生向けに、Stage1「意識醸成」、Stage2「アイデア創造」、Stage3「ビジネスモデル仮説検証」からなる3つのステージの科目群を軸にして、「産学提携科目」や「共創館イノベーションプログラム」なども通して、起業や企業における新規事業化の知識を実践的に学ぶことができるコースとして注目を浴びている。