早大・UCLA、野村万作氏・野村萬斎氏『早稲田狂言の夕べLos Angeles公演』

早大・UCLA、野村万作氏・野村萬斎氏『早稲田狂言の夕べLos Angeles公演』
米ロサンゼルスにて国際日本学の学術的実践、日本伝統芸能を市民へ

image12017年5月5~9日にわたり、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(英語: University of California, Los Angeles、通称UCLA)にて、野村万作氏(早稲田大学第一文学部卒・早稲田大学芸術功労者)・野村萬斎氏(早稲田大学推薦校友)出演による『早稲田狂言の夕べLos Angeles公演』、および学際的なシンポジウムやワークショップが開催されました

この研究活動は、UCLAアジア言語文化学部と連携し、人文学分野における国際日本学研究の発信、文化交流を推進するものです。これは2014年9月、早稲田大学卒業生である柳井正氏(株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)の個人寄付にもとづいて設立された「柳井正イニシアティブ グローバル・ジャパン・ヒューマニティーズ・プロジェクト(柳井イニシアティブ、The Tadashi Yanai Initiative for Globalizing Japanese Humanities)」(※1)による研究活動のひとつとして位置付けられるものです。UCLAと早稲田大学ではこのように様々な先進的な研究活動を展開しています。

日本の伝統芸能の海外公演は世界各国で数多く行われていますが、本企画では、早稲田大学・UCLAの共同による国際日本学研究の実践活動として、狂言の公演とともに、学際的なシンポジウムやワークショップなど多彩な活動を実施します。これらはみな、日本学に新たな観点を提起し、新たな成果が期待されるものです。

公演は2017年5月6、7日に行われ、役者は、野村万作氏・野村萬斎氏・石田幸雄氏ほか「万作の会」の役者5名が出演し、演目は、「梟山伏」、「川上」、「棒縛」の3本です。さらにその前後の期間、早稲田大学・UCLAをはじめ米国内外の研究者によるシンポジウム、小学生、大学生、研究者、一般市民など様々な参加者を想定したワークショップを開催。研究者間の国際交流にとどまらず一般観衆も含めたより広い対象に向けての日本学の学際的な試みとなりました。

(1) 研究の背景

写真:角田柳作(コロンビア大学提供)

角田柳作(コロンビア大学提供)

1890年、坪内逍遥らによって、文学科が創設されて以来、早稲田大学は、日本の諸文化を対象とする人文科学を国内において牽引してきました。そして2014年には Waseda Vision 150 将来構想に基づき、「人文学の世界標準確立」を目指す文学学術院グローバル化推進計画を打ち立てました。

米国における日本学の礎を築いたことで著名な故角田柳作先生(1877‐1964)が所属されていたコロンビア大学は、現在、世界の日本学をリードしています。ドナルド・キーン氏(コロンビア大学名誉教授)が、「角田先生と言わずただ”Sensei”と言えば角田先生のことを指す」と言うほど、角田柳作先生の功績はコロンビア大学において語り継がれています。その角田柳作先生の母校である早稲田大学は、コロンビア大学との深い交流の歴史を有します。特に近年では、日本文学研究の分野で、国際シンポジウムの開催、論集の共同刊行など、「国際日本学」の名にふさわしい成果を発信してきました。

あわせて、2008年度より早稲田大学大学院文学研究科と、コロンビア大学人文科学大学院東アジア言語文化研究科との間で、修了時に両大学の学位を取得できるダブルディグリー・プログラムを開始しました。その修了者たちは、最先端の研究教育を担う逸材として、世界を舞台に活躍しています。

変体仮名あぷり

変体仮名あぷり

このような活動の中で、文学学術院は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アジア言語文化学部と連携し、人文学分野における日本学研究の発信、文化交流の推進を実施しています。2014年9月には、早稲田大学卒業生である柳井正氏(株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)の個人寄付により、日本文化・日本文学のグローバルな伝播を目的とした「柳井正イニシアティブ グローバル・ジャパン・ヒューマニティーズ・プロジェクト(柳井イニシアティブ、The Tadashi Yanai Initiative for Globalizing Japanese Humanities)」(※1)が設立されました。そのプロジェクトの中では、源氏物語から蕎麦屋の看板までマスターできる『変体仮名あぷり・The Hentaigana App』(※2)をUCLAと早稲田大学で共同開発し、また、作家の多和田葉子氏(早稲田大学第一文学部卒)を迎え、松永美穂・早稲田大学教授とともに行ったUCLA国際ワークショップとパフォーマンス『ACTING OUT』(※3)が大きな成功を収める等、先進的で多彩な研究活動が行われてきました。

本研究は、人文学の世界標準確立の観点から、歴史的な日本文化の継承を目指しており、日本文学研究の実践活動を社会に向けて行っています。このような活動は海外からも大変注目されており、さらに活発な実践を望む声が多く寄せられていました。

(2) 研究の実践

World Academia Alliance in Global Japanese Studies国際日本学研究網

World Academia Alliance in Global Japanese Studies 国際日本学研究網

そのような要望を受けて、このたびロサンゼルスで『狂言の夕べ Los Angeles 公演』を開催することとなりました。これは、野村万作氏、野村萬斎氏のご協力を得て2010年以来早稲田大学で開催している『狂言の夕べ』を、「柳井イニシアティブ」の一環としてUCLAとの連携のもとに行うものです。日本の伝統芸能の海外公演は世界各国で数多く行われていますが、本公演は、日本研究の実践活動として、狂言の公演とともに学際的なシンポジウムやワークショップを実施するものであり、日本学に新たな成果をもたらすことが期待されます。これは文部科学省スーパーグローバル大学創成支援(SGU)事業における「国際日本学拠点」の取り組みの一つにも位置づけられています。

(3) 研究の手法、シンポジウム概要

早稲田大学・UCLAをはじめ米国内外の研究者によるシンポジウムや、小学生、大学生、研究者、一般市民など様々な参加者を想定したワークショップを行うことで、研究者間の国際交流にとどまらず一般市民も含めたより広い対象に向けて日本文化の学際的な発信を行います。

主催:早稲田大学とUCLAの共催

対象:UCLAおよび近隣大学学生、米国内研究者、早稲田大学在米校友、小学生、LA市民および招待者

スケジュール:

  • 2017年5月5日(金)シンポジウム
    • 午前の部:野村万作氏・竹本幹夫(早稲田大学)教授・Carolyn Morley (Wellesley College)教授による講演
    • 午後の部:日・米・東南アジアの日本の伝統芸能研究者によるパネル・ディスカッション
  • 5月6日(土)PM 野村萬斎氏による対談および狂言のデモンストレーション”Discovering Kyogen” featuring Mansai Nomura
  • 5月6日(土)PM 第1回公演「梟山伏」「川上」「棒縛」
  • 5月7日(日)PM 野村萬斎氏による対談および狂言のデモンストレーション”Discovering Kyogen” featuring Mansai Nomura
  • 5月7日(日)PM 第2回公演「梟山伏」「川上」「棒縛」
  • 5月8日(月)PM El Marino Language Schoolにてバイリンガル小学生向けワークショップ
  • 5月8日(月)PM 一般市民・大学生への狂言講座 第1回
  • 5月9日(火)AM 一般市民・大学生への狂言講座 第2回

イベント会場:公演およびプレイベント会場:Japanese American Cultural & Community Center (JACCC) 内ARATANI Theatre(Little Tokyo 内)

JACCC AN EVENING OF KYOGEN

シンポジウム:UCLA構内施設

ワークショップ会場:El Marino Language School (Culver City)

講座会場:UCLA構内施設

UCLA An Evening of Kyogen with Mansaku Nomura & Mansaku-no-Kai

役者:野村万作氏・野村萬斎氏・石田幸雄氏ほか「万作の会」役者5名

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狂言講座オリジナルポストカード、野村萬斎氏

狂言講座オリジナルポストカード、野村萬斎氏

(4) 研究で得られる知見、波及効果や社会的影響

早稲田大学とUCLAの研究者が一堂に会し、このようなシンポジウムを行うことで、真にグローバルな視野から日本文化を捉え直すという理念の実現を目指します。その実現のためには、本学において醸成されてきた研究上の知見をより積極的に世界へ発信するとともに、海外における最高水準の日本学の方法を取り込むことが必要です。今後は、文学以外の分野へと研究対象や活動を拡げながら、日本文学のさらなる発展を図ります。

(5) 今後の展望

早稲田大学ではこのような国際的な日本文学研究のさらなる連携と拡張をめざし、2018年9月より大学院文学研究科に「国際日本学コース(Global Japanese Literary and Cultural Studies, 略称 Global-J )」(博士後期課程)を新設します。このコースの新設は、Waseda Vision 150 に示された改革案をふまえ、さらには「スーパーグローバル大学創成支援」トップ型に採用された「Waseda Ocean 構想」に基づいています。「Waseda Ocean 構想」は、未来を創造する研究・教育システムの構築と、研究・教育における徹底的な国際化の推進を目指そうとするものですが、そのための拠点の一つである「国際日本学拠点」は、真にグローバルな視野から日本文化を捉え直し、その成果を発信することを目標に掲げています。そうした理念を実現するのが、新設される「国際日本学コース」です。

本コースは世界第一線で活躍する研究者の指導のもと、日本と世界各地域がそれぞれに蓄積してきた日本文化・日本文学研究の方法論と成果を融合させ、英語と日本語によるハイブリッドな教育・研究活動を行って、新たな「国際日本学」を創成しようとするもので、将来の日本学研究を国際的ステージにおいて牽引していく研究者や教育者を養成します。

用語解説

  • ※1 柳井正イニシアティブ グローバル・ジャパン・ヒューマニティーズ・プロジェクト(The Tadashi Yanai Initiative for Globalizing Japanese Humanities):これまで日本とアメリカそれぞれで進められてきた日本文化学研究を一つのネットワークにジョイントして、日本のすぐれた研究者の知識と経験をグローバルに伝播させるとともに英語圏の日本文化学研究に触れる機会を設けて、日米の研究者や学生が互いに切磋琢磨するなかで、未来の日本文化学を創造することを目指す。
  • ※2 変体仮名あぷり・The Hentaigana App:本アプリは同プロジェクトの運営委員である、マイケル エメリック・UCLAアジア言語文化学部准教授(本学訪問准教授)と十重田裕一・本学文学学術院教授、陣野英則・本学文学学術院教授らが中心となって企画・開発した。おしゃれで楽しく学ぶことの出来るこのアプリは、日本文化に興味のある大学生・大学院生のみならず、古典の授業を受講している中高生、また日本美術、日本史、書道等々に関心を持つ一般の方々にも、日本の「変体仮名」の美しさやそれを読む楽しさを再発見する機会を提供する。
  • ※3 ACTING OUT:2016年3月14~16日、UCLAにて、作家の多和田葉子氏を迎え、松永美穂・早稲田大学教授とともに催された国際ワークショップとパフォーマンス。参加者は両大学に所属する大学院生や学部生であり、彼らの出身国と地域は8箇所以上に亘り、会場はUCLA Fowler Museum屋外に位置するAmphitheaterで行われた。朗読パフォーマンスでの使用言語は英語、日本語の標準語、ドイツ語に限らず、スペイン語や中国語、タイ語、韓国語、あるいは日本の方言など様々であり、次第に多声的な空間が演出されるに至った。それは聴衆がそれまで経験したことのない空間であった。
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