早稲田大学基幹理工学部表現工学科においてヒューマンコンピュータインタラクションを中心としたメディアテクノロジーとデザインの研究に従事している橋田朋子(はしだともこ)准教授の研究グループは、TOKYO DESIGN WEEK 2016 Interactive展において、「HELLO HUMAN, GOODBYE HUMAN」と題し、機械から始まるインタラクションの展示を行ないます。
この展示は「インタラクション」という言葉から一般的に想起される「ヒトから機械への働きかけ」、という先入観を取払い、機械から始まるインタラクションの在り方を考察することを意図しています。テクノロジーが急速に浸透し、ドローンやお掃除ロボットなど自律的にふるまう機械が日常空間に自然と入りつつある今、すでにインタラクションの主体は必ずしもヒトではなくなりつつあります。そこで、本展示では日常生活をイメージしながら「機械がヒトに働きかける世界」「ヒトが機械の作法に則る世界」「機械が機械に働きかける世界」の三つの観点で、機械から始まるインタラクション、というすぐそばにある未来を具現化した作品群をお披露目します。日本茶の適温になると取っ手がとれてマグカップから湯のみに変身する容器、倒れたり・揺れたりユニークな動きで注意を惹くキャプション、自ら好きな形に変形する棚、情報世界から実世界に飛び出てきたアイコン(ローディングや明るさバー等)、バッテリーが切れそうなデバイスに自ら給電しにいくケーブル、カメラで撮影されることを拒む空間など、クリエイティブでユニークな発想にあふれた10個の新作機械をインタラクティブデモ形式で展示します。
今回の展示はインタラクションやインタラクティブシステムの概念の転換に一石を投じると同時に、研究室の中に閉じた技術ではなく、私達の日常生活にリアルに展開/利用が想像しうる形で、すぐそばにある未来を体感させることが期待されます。
HELLO HUMAN, GOODBYE HUMAN展 概要
- 日時:11月2日〜7日 11:00-21:00(最終日は20:00まで)
- 会場:東京デザインウィーク会場内 インタラクティブ展内(〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町 2-3明治神宮外苑軟式球場)
- 主催:早稲田大学基幹理工学部表現工学科 橋田朋子研究室
- 展示作家:登山元気、西村幸泰、 塙克樹、 油井俊哉、 横田智大、 上野実希子、 北澤優也、小林万琴、谷口恵一朗、中山祐之介、布野翔子
作品紹介
機械がヒトに働きかける世界
機械の自発的な動きからヒトの動作をゆるやかに誘発する、機械の制御の一部をヒトにいつの間にか一緒に担ってもらう、といった形で機械からインタラクションのきっかけを作る作品群です。
ユノミへ | to YUNOMI:日本茶の適温になると取っ手がとれてマグカップから湯のみに変身する容器
active captions:倒れたり・揺れたりユニークな動きでヒトの注意を自然と惹くキャプション
hand Printer:プリンタヘッドを人が手に取り動かすことで描くことが成立するヒューマン/プリンタ
itshelf:人にとって使いやすい形や使いにくい形にランダムに変形する棚
ヒトが機械の作法に則る世界
元々は情報世界でつくられた概念やルール(=機械の作法)を実世界に反映させる作品群です。
線の軌跡 ↦ 円の軌跡:実世界の座標系を90度傾かせて情報世界の座標系に変換する装置
ローディングステッカーNow Loading:情報世界のアイコンを実世界に回帰させるステッカー
Brightness bar:画面ではなく人に適用させる明るさバー
機械が機械に働きかける世界
自律的に動く機械が多数存在するようになった先に生じると考えられる、連携や反発などの機械と機械のインタラクションを考える作品群です。
MediCable:まわりの機器の残量を察知し自発的に給電するケーブル
Photo Jammer:カメラで正しく写すことを拒む空間
In/Visible Letters:カメラで介してのみ文字が読めるディスプレイ