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早稲田大学で描く、多彩なキャリアデザイン
特集:Finding My Future
Wed 30 Jul 25
特集:Finding My Future
Wed 30 Jul 25
早稲田大学では、学生たちの主体的・自律的なキャリアを支援しています。学生部長を務める商学学術院の矢内義顯教授が、キャリアデザインのあり方と大学の役割について説明します。

早稲田大学学生部長 矢内義顯(商学学術院教授)
複雑な現代社会における学生たちの自己実現
今日、学生たちが卒業後に踏み出す社会は、大きく変化しています。AIを筆頭とするテクノロジーの進化、環境問題や地政学的リスクの顕在化が加速し、日本では少子高齢化が進行。また、職場や教育現場など社会の中にダイバーシティが浸透し、大学においても、合理的配慮の提供をはじめ多様性の尊重への取り組みが推進され、学生は人種や国籍、ジェンダー、セクシュアリティ、障がいの有無などにかかわらず、多様な人々と関係性を育むようになっています。
こうした中で、キャリアのあり方も多様化しています。起業や社会貢献活動、海外支援活動など、従来的な意味での“就職”にとどまらない選択肢が、広がりを見せるようになりました。一方で、多くの大学生は一般企業への就職を前提に将来を設計しているのも事実です。しかし長い人生を歩む上では、就職先は一つの要素に過ぎません。自己実現のためには、視野を広げ、主体的・自律的にキャリアをデザインすることが重要になります。
学生生活の充実がキャリアデザインの土台になる
主体的・自律的なキャリアデザインの土台となるのが、充実した学生生活です。授業や研究とともに、課外活動にも目を向けていただきたいと考えています。早稲田大学には約500の公認サークルがあり、学生生活を通じて打ち込む活動を見つけ出すことが可能です。またボランティアや企業・地域連携、起業家養成や留学など、大学が設置する多彩なプログラムに参加することで、新たな環境で自分を成長させることもできます。図書館や文化・スポーツ施設など、充実したキャンパスの機能を活用し、心身を養うことも有意義でしょう。多様な世界と関わりながら、日常生活の中で刺激や発見を得ていくことは、一見すると当たり前のことかもしれません。しかし自分の価値観を掘り下げる上では非常に大切です。特に1~2年生は、次々と新たなことにチャレンジしていただきたいと思います。
充実した学生生活を送りながら高学年に進むと、徐々に将来像も明確になるでしょう。進路選択の際に活用できるのが、キャリアセンターが提供する支援です。対象学年別、業界・職種別の講座やワークショップを多数開催しており、自身のビジョンに合わせて自由に参加することができます。また個別相談を受け付けるキャリアセンターの窓口では主に、学生が将来像を描くキャリア形成についてのアドバイスや、学生生活を振り返り、学びや強みについて言語化することの支援を行っています。
こうした学生生活を経て社会に羽ばたいた卒業生は、多彩な領域で活躍しています。約69万人に及ぶ卒業生のネットワークは、本学の強みでもあります。第一線の声を学生のキャリアデザインに役立てられるよう、大学は卒業生との連携強化にも努めています。
自主独立の精神に基づき主体的な進路選択を支援する
キャリアセンターが最優先とするのは、学生の自律的・主体的な判断と行動であり、個々が納得のいく進路を選択することを、何よりも重視しています。現代の大学生は基本的に成人です。社会的にもますます自律的な姿勢が求められるようになるでしょう。ひと昔前の「就職課」としてイメージされる、一方通行的なキャリア支援は、形を変えつつあるのかもしれません。「University(大学)」の語源を辿ると、「“一つ”へ“向かう”」という意味に行き着きます。大学はもともと多様性を包摂する共同体です。「学問の独立」を教旨で掲げる早稲田大学は、自主独立の精神を重んじた教育・研究を強調してきました。学生のキャリアデザインにおいても、個々の多様な選択を尊重していきたいと考えています。