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特集:アクセシビリティ支援の現在地

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Tue 30 Jul 24

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Tue 30 Jul 24

アクセシビリティ支援センター(ARC)には身体障がい部門、精神・発達障がい部門があり、部門ごとに修学上の合理的配慮に関する相談受付や調整を行っています。各部門でコーディネーターを務める職員に、支援の内容を聞きました。

アクセシビリティ支援センターの職員一同(左から4人目が浮川、右から4人目が吉野)

アクセシビリティ支援センターの職員一同(左から4人目が浮川、右から4人目が吉野)

困りごとは一人ひとりで異なるから、一つひとつと向き合いたい

ARC 身体障がい部門 コーディネーター 浮川祐希

聴覚障がい、視覚障がい、肢体不自由などを対象とする身体障がい部門では、それぞれが抱える修学上の困難に対し、支援を提供しています。聴覚障がい学生には授業の文字起こしや補聴支援機器の貸与、視覚障がい学生にはノートなどの代筆や教材の点訳、肢体不自由学生には移動支援や教室調整など、支援の内容はさまざま。症状や困難は一人ひとりで異なるので、マニュアルだけでは気づかないことも多いです。そのため、面談はもちろん、雑談が生まれるような場づくりも進めるなど、わずかな声も拾い上げられるよう心がけています。

実際の支援は、主にARCに登録した支援学生が担っています。私たちの業務は、支援学生の養成や派遣調整、合理的配慮依頼文書の教員への送付、障がい学生の相談受付などです。近年の課題は支援学生の不足であるため、オープン科目「障がいの理解と支援」を運営したり、手話教室などのイベントを開催したりと、普及にも努めています。

私自身も聴覚障がい当事者で、早稲田大学在学中は、授業では支援を受けつつ、車椅子学生の移動支援を担当する支援学生としても活動していました。当時のコーディネーターの方も難聴だったのですが、自身の障がいをオープンにしながら活躍する姿を見て、「自分の障がいも活かせるのではないか」と、ARCで働く道を志しました。

また本学に理系の全盲学生が入学した当時、所有していた点字プリンターは、仕様が古く印字に時間がかかり、授業開始までに教材を学生に届けられないことが課題でした。そこで障がいのある青少年の修学支援などを行う公益財団法人CTC未来財団に相談し、助成金をいただくことで、高性能点字プリンターを導入。高度な学習を提供できる環境を整えることができました。外部の公益財団法人や点訳団体と連携して、印刷環境を整備したこの事例は他大学にも広がっています。

学生との対話を大切に、真摯に向き合いたい

ARC 精神・発達障がい部門 コーディネーター 吉野智子

精神・発達障がい部門では、うつ病、不安障がい等の精神障がい・精神疾患のある学生、また、SLD、ADHD、ASD等の発達障がいのある学生からの、修学上の合理的配慮に関する相談を受け付けています。精神障がい・発達障がいは、いわゆる「目に見えない」障がいであり、症状や困難が理解されづらいところがあります。本人自身も自分に何が起きているのか、明確に捉えづらいところもあると思います。また、同じ障がい名、診断名であっても個々人によって困難の現れ方が大きく異なります。私たちコーディネーターは、学生たちと対話を重ね、おのおのが自分自身のことを理解し、説明できるようになることを目指しています。

当部門のコーディネーターは、臨床心理士や公認心理師等の資格を有するスタッフが中心で、従事してきたフィールドは学校、病院、療育機関等多岐にわたり、精通している領域も異なります。合理的配慮内容を検討する際は、自身のこれまでの知見を生かしつつ、事務職含むスタッフ全員で意見交換しながら進め、その学生の今後の人生を思い描きながら、「今」だけでなく「ちょっと先」、「さらに先」を見越して考えるよう意識しています。

精神・発達障がいのある学生に対する合理的配慮自体は大きなものではなく、できることも限られ、実際に学生が期待するものと異なる場合もあると思いますが、私たちが重視するのは、合理的配慮の調整の過程で、学生が自分自身を正しく理解し、受け入れられるようになること、その上で、誰かにサポートを求めることも含め、自分で自分を助けられるようになること、そうして自分の望む人生を生き抜いていけるようになることです。「誰かに徹底的に寄り添ってもらった経験のある人は、自分自身とうまく付き合っていくことができる」と信じ、自分自身と向き合う彼らに、敬意を払い、寄り添い、伴走していくようなサポートを展開していきたいです。

※SLD:限局性学習障害、ADHD:注意欠如・多動症、ASD:自閉スペクトラム症

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