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技術職員Aさん(理工センター技術部 教育研究支援課 各務記念材料技術研究所)
先輩からのメッセージ
Tue 08 Sep 26
先輩からのメッセージ
Tue 08 Sep 26
自分が取得したデータが論文に
高度な分析技術で、学生の研究を支える仕事
プロフィール
非鉄金属の素材メーカーで約19年、電子顕微鏡を使った材料分析に携わる。その後、他大学や早稲田大学の材料実験室を経て、現在は各務記念材料技術研究所(材研)に所属。透過型電子顕微鏡(TEM)やX線光電子分光装置(XPS)による依頼分析、学生指導、装置のメンテナンスを担当している。
研究室から持ち込まれる材料を専用の装置で分析し、その結果を研究や論文へとつなげていく。各務記念材料技術研究所で技術職員として働くAさんは、依頼分析の日には、学生とマンツーマンで装置に向き合い、朝から夕方まで測定を行います。企業での長い経験を経て大学の現場に移ったAさんに、この仕事のやりがいと魅力を聞きました。
TEMとXPS、二つの装置で研究室からの依頼に応える仕事
私が担当しているのは、透過型電子顕微鏡(TEM)とX線光電子分光装置(XPS)という二つの装置です。TEMは、非常に薄くした材料に電子ビームを当てて、内部の構造を見る装置。原子の並び方や、ごく小さな領域にどんな元素が存在するのかまでわかります。半導体をはじめ多くの分野の研究や開発でも広く使われている装置です。一方のXPSは、試料にX線を当てて、表面にどんな元素がどのような状態でどれだけあるのかを調べることができます。
どちらも高価で扱いが難しい装置のため、高度な分析は私たち職員が引き受けます。これを「依頼分析」といいます。依頼が多いのは、応用化学や機械系の研究室の学生です。環境問題に関わる触媒や、飛行機などに使われる軽量材料の研究など、世の中で使われている材料に関する分析依頼が持ち込まれます。
分析は、朝から夕方まで学生とマンツーマンで進めます。一人の学生が試料を三つ、四つと持ち込み、一日かけて測定していくのです。卒業論文や修士論文の時期になると、依頼分析の予約が取りにくくなるほど混み合います。学生自身が扱う別のTEMの操作講習や、測定で得られたデータの解析指導も、私の仕事の一つです。また、随時装置の不具合に対応したり、定期的にオイルや冷却水を交換したりするメンテナンスも担当しています。
自分が取得したデータが、論文になって世に出ることも
やりがいを感じるのは、自分の出したデータが学生の研究の役に立ったときです。TEMで撮影した画像が、そのまま論文に掲載されることもあります。博士課程の学生が執筆した論文の共著者に加えてもらったり、謝辞に名前を書いてもらったりすると、一緒にやってきたのだと実感できてうれしくなります。
観察をしながら学生と話すうちに、相手が新しい気づきを得ることもあります。「ありがとうございます、その方向で考えてみます」のように言われると、私も少しは役に立てたかなと思えて充実感があります。逆に、とても優秀な学部生から研究への姿勢を教わることもあり、こちらが刺激を受けることも多いです。学生と過ごす時間は、本当に面白いですね。
研究を始めたばかりのころは何も知らなかった学生が、修士になると後輩を連れてきて、一人前に研究を進めていく姿が印象的です。母親のような気持ちで、学生の成長を近くで見られるのは、大学という職場ならではの喜びです。
企業から大学へ、実験が好きで歩んできた道
もともと私は、非鉄金属の素材メーカーの研究所で、19年ほどTEMを使った分析をしていました。ある時期に退職し、学会で知り合った先生に声をかけられて、他大学の分析の現場に移りました。
その後に入ったのが、早稲田大学の材料実験室です。ここで担当したのは、一度も触ったことのない引張・圧縮・曲げ試験を行う大型の装置でした。
扱う単位も、それまでのナノ・ミクロンメートルから、センチメートルやトンへと変わりました。それまで携わってきた微細な材料分析とはまったく違う世界でしたが、これが新鮮で、楽しくて仕方がなかったです。もともと実験が好きなんですよね。
そして今の材料技術研究所に移り、ふたたびTEMやXPSと向き合っています。素材メーカーに勤めていた頃は商品開発のスピードが求められ、扱うのは自社の材料が中心でした。大学は教育の場ですから、学生と時間をかけてさまざまな材料に向き合えます。同じ分析でも、目的が違うのだと感じています。
得意な仕事に専念できることが大きな魅力
素材メーカー時代との違いを感じたのは、一人で複数の装置を担当することです。企業の研究所では、主な装置にはそれぞれ専任の担当者がついていました。ここでは、私がTEMとXPSの両方を担当しています。
日によっては、朝にXPSの測定を設定してから、日中はTEMで学生と向き合い、合間にXPSの試料を入れ替えたりします。二つの装置を同時に動かす忙しさはありますが、両方を扱うからこそ見えることもあります。二つの視点を持てるのは、この仕事の面白さだと感じます。
分析の進め方も、自分で考えて組み立てることができます。専任の職員に相談や報告はしますが、上から指示されるのではなく、任せてもらえます。自分の得意なことに専念できるのは、この仕事の大きな魅力です。
基本は17時まで。生活との両立もしやすい
分析は基本的に17時までで、残業はあまりありません。仕事と生活のバランスも取りやすく、子育て中の人でも働きやすい職場だと思います。技術職員は少人数ですが、みなさん気さくで、入ってから疎外感を覚えることはありませんでした。
専門的な仕事に思われるかもしれませんが、仮に装置を扱った経験がなくても、関連する技術や得意分野があり、新しいことを積極的に学べる人なら大丈夫です。少しブランクがあっても、必要以上に構えることはありません。私自身、材料実験室では未経験の装置を一から覚えました。「早稲田大学」や「研究所」という名前に気後れせず、まずは応募してほしいと思います。
一番大事なのは人柄です。学生とも職員とも、一日中コミュニケーションを取る仕事ですからね。場が和やかなら、学生も気軽に質問できます。迷ったら自分だけで判断せず、周囲と相談しながら、和やかに仕事を進められる。そんな人と、一緒に働けたらうれしいですね。