インターネットに関わるトラブルで特に注意が必要なのは、知的財産権の侵害やSNS の不適切な利用、不審なメールへの返信や添付ファイルの開封、怪しいサイトへのアクセスによるウイルス感染(個人情報の流出)です。
インターネットを利用した犯罪は手口が多様化・巧妙化しており、学生が様々なトラブルに巻き込まれるケースも増えています。ウイルス対策を行う、不審なサイトはアクセスしない等の被害防止への対策を自分自身ですると共に、社会的なルールや一般常識に配慮しながら利用しましょう。
インターネットにまつわる事件で、大学で問題となる事例の大半が知的財産権の侵害です。
知的財産権とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権などを指しますが、近年、違法とされる範囲は拡大されています。例えば、クリック一つでできるダウンロード。場合によっては、この単純な行為が著作権の侵害に当たります。また、楽曲や映像などを違法にファイル共有することは、犯罪行為に当たります。
例えば、他人のために市販の音楽CDから権利者に無断でコピーする行為や、音楽を権利者に無断でインターネット上に公開する(ダウンロードできる状態にする)行為に対しては、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」の罰則が規定されています。また、違法に公開された音楽と分かっていながらダウンロードする行為は違法となります。その中でも2012年10月1日から市販のCDやインターネット配信で販売されている音楽と知りながらダウンロードすることは刑事罰の対象となりました。著作権法では、上記のような個人の違法行為に対して「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方」の罰則が規定されています。
「黙っていればバレない」は、通用しません。違法にファイル共有している者がいないか、常に監視している組織が、日本やアメリカをはじめとして世界中にあるのです。
ウイルスメールはさまざまな件名で送られ、添付されているファイルを実行(ダブルクリック)すると、PC 遠隔操作ウイルスに感染するプログラムの類いです。また、ウイルスによっては、ウイルスチェックソフトで検知されないものもあります。
怪しいサイトへのアクセスは、自己責任の範囲内として禁じられていませんが、それに伴うリスクを十分認識しなければなりません。特に、サイト内でむやみにリンクをクリックしたり、ソフトウェアをダウンロードするのは、極めて危険な行為です。
また、スマートフォンでは個人情報を抜き取るための不正なアプリも横行しており、電話番号やメールアドレスなど、何万件もの個人情報が流出する事件も発生しています。自分のスマートフォン内のアプリを見直すとともに、慎重に利用するようにしましょう。
違法行為や不正行為は、そもそも許されるものではありませんが、ここ数年、SNS(LINE、Facebook、Twitter など)を通じて自らの犯罪行為を告白する事例が多発しています。目を疑うような行為ですが、実際に皆さんと同じ学生の中にも、20歳未満の者の飲酒・喫煙、万引き、セクハラ、カンニング(大学の試験における不正行為)といった書き込みを行う者がいるのです。
彼らの多くは、SNS が世界に開かれたものであることを理解していないか、インターネットの匿名性を過信しているのではないかと思われます。しかし、たとえ断片的な個人情報であっても、つなぎ合わせることで個人が特定されるケースは多々あります。また、インターネット上に公開された情報はネット上に残り続け、完全には削除できないことを認識してください。公開範囲を限定している、短時間のみ公開したという場合でも、その投稿を見た受信者側で保存されたり、自分の知らないところで拡散されてしまったりすることもあります。
また、SNSを使用する際には、他者への十分な配慮と節度を持ってください。自分としては悪意のない何気ない発言や反応であっても、相手のおかれている状況によっては、非常に不快なものとなることがあるということや、一定の情報が集団の中で拡散されたり、繰り返されることで、大きな集団圧力となり、受け手の人に強い不安や恐怖を生じさせ、心を深く傷つけてしまうことがあるということを忘れないでください。
情報を発信する際は、できるだけ自分の意図を明確に、厳密に表現すること。逆に情報を受け取る時には、行間を読まずに、書いてあることだけを受け取ることにしましょう。それでも誤解が生まれてしまったら、それ以上は文字だけのやりとりを続けないことが大切です。
投稿する前には、発信してよい内容なのかどうか、慎重かつ十分に確認してください。
インターネットなどを利用していてトラブルに巻き込まれた、もしくは巻き込まれそうな場合には、すぐに所属学部事務所に相談しましょう。