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開催報告「テクスト遺産の利用と再創造―日本古典文学における所有性、作者性、真正性」

オンライン ワークショップ
テクスト遺産の利用と再創造 日本古典文学における所有性、作者性、真正性
ONLINE WORKSHOP
Textual Heritage: Uses and Re-creations
Ownership, Authorship, Authenticity in Premodern Japanese Literature
開催報告

 

本ワークショップは、2018年6月から2年間、早稲田大学文学学術院に訪問学者として滞在しているイタリア・カフォスカリ大学のエドアルド・ジェルリーニ氏が主体となって構想、企画されたものである。エドアルド・ジェルリーニ氏は、「World Heritage and East Asian Literature – Sinitic writings in Japan as Literary Heritage(世界遺産と東アジア文学 文化遺産としての日本漢文)」を研究テーマとして欧州連合のマリキュリーフェローシップに採用され、文化遺産としての日本文学・漢文学・世界文学についての研究を進めてこられた。そして今回のワークショップは、この2年間の日本における研究活動のまとめとして、ジェルリーニ氏がこれまでの研究過程で得た問題意識や構想について、日本内外の研究者とワークショップという形でディスカッションを行うことを企図して計画された。
本来このワークショップは2020年4月11日に早稲田大学を会場として開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により延期を余儀なくされた。しかしその後、改めて開催方法を練り直し、Zoom によるオンラインワークショップという形式で実現するに至った。当初予定していた開催時間を縮小したため、発表や討論の時間が大幅に短縮されたものの、オンライン開催としたことにより、高校生から一般まで、日本各地、さらには海外からも含めて合計227名もの参加者を得てのワークショップとなった。
なおこれまでSGU国際日本学拠点では、〈作者〉をめぐる問題について、2015年7月に、コロンビア大学ハルオ・シラネ氏、鈴木登美氏、そして小峯和明氏(本学角田柳作記念国際日本学研究所研究員)、SGU拠点リーダーの十重田裕一氏の発案により研究が開始され、以来、年に2回の研究会が重ねられ、また、早稲田大学SGUとコロンビア大学との共催で、2016年7月は早稲田で、2017年3月2018年3月2020年2月はコロンビア大学で、国際シンポジウムが行われてきたところである。そして、その成果論集 『<作者>とは何かーー継承・占有・共同性』が岩波書店より年内に刊行される予定である。
一方本ワークショップは、遺産研究への理解を深めながら、遺産という観点から日本古典文学研究を再考しようというエドアルド・ジェルリーニ氏の構想により、「テクスト遺産」という概念の可能性を討論しようという目的を掲げて行われた。ジェルリーニ氏は、2019年4月に文学学術院において「日本文学が世界遺産だとすれば――過去と現在を繋ぐ古典、記憶、アイデンティティー(What if We Took Japanese Literature as World Heritage? Classics, Memory, and Identity as a Link from the Present Back to the Past)」と題する講演を行ったほか、国内外の学会などでも発表を重ね、そうした研究活動を通して準備を進めた結果として、本ワークショップにおいては、テクストの利用と再創造の諸相について、具体的には、日本古典文学を「所有性(ownership)」、「作者性(authorship)」、「真正性(authenticity)」という3つの角度から照明を与え考察する構成をとることとなった。

ワークショップの概要とプログラム (こちらをクリック)は以下の通りである。

概要:
「テクスト遺産」(textual heritage)とはどのような意味があるのか。過去のテクストは全て遺産になるのか。または特に評価されて、守られてきたテクストだけを遺産というべきなのか。また、古典文学そのものは、文化遺産だと言えるのか。古典の危機が訴えられる今日こそ、古典文学を文化遺産として捉え直す、つまり「テクスト遺産」を定義することによって、現代社会における古典の価値を改めて見出す可能性は開拓できるだろうか。本ワークショップは、前近代日本で行われたテクストの利用と再創造の諸相を検討することによって、日本古典文学の作者と読者たちがどのように過去のテクストを評価して、保護してきたかという質問に答えてみたい。上代、中世、近代などの通常の時代区別に縛られず、遺産と古典という概念を比較しながら、日本文学史を横断する所有性(ownership)、作者性(authorship)、真正性(authenticity)といった三つのキーワードを軸に考える。テクストは誰のものなのか、誰によって作成され、保護され、あるいは上書きされ、破壊されたのか、またはオリジナルと複製の区別はどのように意識されていたのか、という諸問題に関わるケースを挙げながら、テクストの利用と再創造という文化的営為の意味とあり方について日本古典文学の学者たちが討論する。

当日はまず、【古典は文化遺産なのか】という主題に関わるエドアルド・ジェルリーニ氏と前田雅之氏(明星大学)による基調報告に始まった。次に「所有性」、「作者性」、「真正性」をテーマとする各セッションにおいては、3名ずつが5分間の発表を行った後、他の発表者や司会者が相互にコメントを提示し、質疑応答が行われた。そして最後の総合討論では、発表者と司会者が事前に提出した「テクスト遺産の定義」がそれぞれ読み上げられ、稲賀繁美氏(国際日本文化研究センター)による総括コメントの後、ディスカッションへと進んだ。当日は、登壇者のほか、ハルオ・シラネ氏、阿部泰郎氏(名古屋大学名誉教授)、西村正雄氏(本学名誉教授)、ツベタナ・クリステワ氏(国際基督教大学)らからもコメントが寄せられ、さまざまな観点や今後に向けての問題点などが指摘された。時間的な制限もあり、ディスカッションを尽くしきれない部分が残ったものの、「テクスト遺産」から日本古典文学を捉え直そうという問題提起は、今後のさまざまな考察、研究の可能性につながるものであることが明らかとなったワークショップであった。

本ワークショップは、スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)早稲田大学国際日本学拠点と早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所の主催、早稲田大学総合研究機構日本古典籍研究所の共催、欧州委員会 EU Horizon 2020 Research and Innovation Programme “Marie Skłodowska-Curie Actions” (no. 792809 WHEREAL)の後援により開催された。

以上
(文学学術院教授 河野貴美子)

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