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国際ワークショップ“Japanese Theater, Publishing Culture, and Authorship”コロンビア大学と共催-報告ー

2018年Columbia大学国際ワークショップ

“Japanese Theater, Publishing Culture, and Authorship”

 

 

2018年3月2日(金)2:00 PM – 5:00 PM
2018年3月3日(土)9:30 AM – 1:00 PM
アメリカ合州国 ニューヨーク市 コロンビア大学 ケント・ホール403

オーガナイザー:
ハルオ・シラネ(コロンビア大学) 鈴木登美(コロンビア大学) 十重田裕一(早稲田大学)

共催:
コロンビア大学 東アジア言語文化学部
コロンビア大学 ドナルド・キーン日本文化センター
早稲田大学 スーパーグローバル大学創成支援事業「国際日本学拠点」
早稲田大学 角田柳作記念国際日本学研究所

発表者、ディスカッサント(五十音順):
埋忠美沙(早稲田大学)
北村 結花(神戸大学)
ルイス・クック(ニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジ)
児玉竜一(早稲田大学)
小峯 和明(立教大学名誉教授、早稲田大学客員上級研究員)
嶋崎聡子(南カリフォルニア大学)
ハルオ・シラネ(コロンビア大学)
鈴木登美(コロンビア大学)
高井詩穂(早稲田大学)
竹本幹夫(早稲田大学)
李墨(コロンビア大学)
李成市(早稲田大学)

文化生産活動において、伝統的に、意図的な模倣や引用、借用、翻案、集団的制作などが盛んに行われてきた前近代において、作者や作品の所有権と言った問題はどのように考えればよいのか。本ワークショップでは、特に日本における伝統芸能、能と歌舞伎に焦点を当てて、作者をめぐる様々な問題を論じた。

2018年3月2日(金)
第1セッション
パフォーマンス、伝承、教育ー比較論的視点から作者性を再考する
発表者:ハルオ・シラネ(コロンビア大学)
コメンテーター:小峯 和明(早稲田大学)
ディスカッサント :竹本幹夫(早稲田大学) 児玉竜一(早稲田大学) ルイス・クック(ニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジ)

第1セッションでは、ハルオ・シラネ氏が、近代以前の日本における作者の意味や作者の機能がジャンル、メディア、社会的地位、社会的組織(特に家・流派)に大きく依拠しているということを、ヨーロッパや中国の例とも比較しながら幅広く考察した。その中で、ジャンルのヒエラルキーと作者特定の重要性との関係、模倣や借用が教育的手段や製作方法として定着していた東アジアの状況、また、日本で発展した参加型文化では作者と読者の関係が曖昧であることなどを論じた。コメンテーターの小峯氏は、「参加型文化」という視点から作者問題を問い直すことの重要性を指摘し、日本の参加型文化を東アジアの中に位置づけることを今後の課題として投げかけた。続いてディスカッサントの竹本氏は世阿弥の能の作者としての重要性について、児玉氏は作品のモニュメント化における図像の重要性等についてコメントし、最後にクック氏が、イベントがモニュメント化するためには必ずしも繰り返しが必要なわけではないということなどを改めて指摘した。全体のディスカッションでは、作品がモニュメント化する際のテキストの役割やパトロンの役割についてなど、参加者を含めた活発な議論が行われた。

第2セッション
能と作者性
発表者:竹本幹夫(早稲田大学)
ディスカッサント:児玉竜一(早稲田大学) 小峯 和明(早稲田大学) ハルオ・シラネ(コロンビア大学)

第2セッションでは、竹本幹夫氏が、能にとって作者とは何かという問題を、近現代における能の作者研究の歴史的変遷や近代以前における能の作者についての興味、改作などの制作上の問題などを踏まえて、様々な史料を紹介しながら論じた。ディスカッサントの児玉竜一氏、小峯和明氏、ハルオ・シラネ氏からは、幅広い作品が世阿弥作だと認定されていることと世阿弥の神格化や家元構造との関係性の指摘や、西欧人による近代の能の文学性の発見と日本における能楽研究の発展との関連性、権力とカノン化の問題などに関するコメントがあった。その後全体のディスカッションでは、参加者を交えて世阿弥時代の能の演出などについて議論が展開された。

 

2018年3月3日(土)
第3セッション
歌舞伎と作者性
発表者:児玉竜一(早稲田大学) 埋忠美沙(早稲田大学)
ディスカッサント:李墨(コロンビア大学) 嶋崎聡子(南カリフォルニア大学) 高井詩穂(早稲田大学)

第3セッションでは、児玉竜一氏と梅忠美沙氏による歌舞伎の作者性に関する考察発表が行われた。まず児玉氏が、歌舞伎における作者の扱われ方について、作者と役者の関係や、浄瑠璃・歌舞伎における合作制と無名性・固有性に関する問題などを論じながら、幅広く考察した。続く梅忠氏は、河竹黙阿弥の幕末の芝居づくりの事情や明治期の版権登録、著作権裁判などの例を具体的に分析し、歌舞伎作者が作者性についてどのように考えて対応したのかということを論じた。続いてディスカッサントの李墨氏、嶋崎聡子氏、高井詩穂氏から、合作作品の無名性を固有性に取り返すという試みに関する問題点などの言及があり、参加者も交えて作者の無名性と固有性の問題や歌舞伎と著作権、現代の歌舞伎上演における作者の考え方など、多様な観点からのディスカッションが繰り広げられた。

第4セッション
比較論的視点から見た近現代の作者性
発表者:鈴木登美(コロンビア大学)
ディスカッサント:北村 結花(神戸大学)

第4セッションでは、鈴木登美氏が、近代日本における「作者」問題が、いかにして西洋近代の「文学」概念の移入並びに制度化の過程と表裏一体となって浮上してきたのかを、出版文化、文学結社、高等教育機関、国際著作権法加盟調印の影響など様々な点に触れながら論じた。ディスカッションでは、参加者によって鈴木氏の指摘した「翻訳」「翻案」との分化についてなどについて議論が展開され、その中で、翻訳や翻案も作品を作る過程や改作する過程のように創作のプロセスであることが改めて論じられた。

 

閉会の辞
李成市(早稲田大学)

李成市氏は、二日間のワークショップの総括として、改めて参加型文化の力学の重要性に言及し、この概念が日本の古典芸能だけではなく現代メディアの分析にも有用であることを指摘した。また、東アジアの参加型文化の例を紹介し、今後東アジアとの比較の可能性を示唆した。

 

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