Waseda Research Institute for Science and Engineering早稲田大学 理工学術院総合研究所

プロジェクト研究

可動性メタサーフェスのための切り紙ヒンジ4節リンク機構

Four-bar linkage mechanism with kirigami hinges for movable metasurfaces
  • 研究番号:25C01
  • 研究分野:technology
  • 研究種別:奨励研究
  • 研究期間:2025年04月〜2026年03月

代表研究者

池沢 聡 理工総研が募集する次席研究員
IKEZAWA Satoshi Junior Researcher

理工学術院総合研究所 岩瀬 英治 研究室
Research Institute for Science and Engineering

URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100003820_ja.html

研究概要

本研究は、切り折り紙構造を用いた伸縮機構をナノ構造を有する光学素子(メタサーフェス)に適用することで、複層メタサーフェスを相互に駆動できる可動性メタサーフェス光学素子を実現することを目的として基切り紙ヒンジ構造を用いた4節リンク機構の導入を検討する。本研究で提案された方式が導入されることにより、製作後の複層メタサーフェスの駆動系の小型化が実現可能である。具体的には、変位量の可動範囲が大きい切り紙構造を利用することで、メタサーフェス対を相互に平行移動することで、焦点が可変となるレンズ対を実現する。本研究では、可動性メタサーフェスのための構造モデルを試作し引張時の変形抑制構造の評価を行う。通常メタサーフェスは柱状のナノ構造単位の柱形状、高さ、柱幅、柱間距離を設計することで様々な光学機能が付与される。複層メタサーフェスは、単層メタサーフェスを対にして相互移動させることで初めて機能を発現する。本研究では複層構造の一例として焦点可変機能を持つメタサーフェスである、相互回転型(モアレメタレンズ)や相互スライド型(アルバレッズメタレンズ)を想定する。素子-駆動機構成形一体型の複層メタサーフェスのMEMS製造には、剛体材料への柔軟性加工が必要であり、FIB加工などにより切り紙構造に基づく切込みを基板材料に入れ、伸長動作させることでメタサーフェス対の局所的な積層構造の獲得とスライド変位を与える動作機構の検討を行う。

研究計画は、複層メタサーフェスを想定し、切り紙ヒンジ構造を用いた4節リンク駆動機構を製作し、リンク機構の応力緩和構造の検討を行う。この研究課題の達成により、本研究課題目的である複層メタサーフェスを相互に駆動できる可動性メタサーフェス光学素子の実現のための基礎構造を検証する。具体的な研究方法はメタサーフェスの設計では最初に構造最適化のための電磁場解析を行い、1. 基板ダイシング、2. 基板洗浄、3. 電子線描画、4. レジスト残渣除去、5. マスク材(Al/Cr)蒸着、6. リフトオフ、7. 深掘りエッチング、8. マスク材除去、9. 製作確認の手順で製作法を確立する。加工で想定される問題点は、実際の加工における微細構造柱の系統的寸法誤差と、エッジ部への電界集中による形状変形、高さ方向テーパー形状である。これらを回避するために、これまでの研究で得られたノウハウを活用し、プロセスの条件出しを念入りに行い、特にテストパターンを使用した予備製作による寸法補正、EB 装置へのデータ入力前における近接効果補正機能の使用、薬液、プロセスガスの最適化、ICP-RIE のアンテナ電圧とバイアス電圧の最適化などを実施してこの問題を回避する。製造プロセスではこれ以外にも金属膜のスパッタ時のクラッキングや、オーバーエッチング、レジスト塗布時のパーティクル混入、レジストむらなど製作者の技量に依存する品質低下問題が想定されるが、製作繰り返すことで製作精度の向上を達成する。切り紙ヒンジ構造を利用した4節リンク駆動機構の検証モデルの製作ではPET材料を利用して様々なタイプの切り紙ヒンジ4節リンク構造を試作し、面外方向に立ち上がりつつ向かい合って平行移動する構造モデルを利用する。想定される困難な事象としては、局所的な応力集中による意図しない変形であり、応力緩和構造の導入によって対策を講じていきたい。複層化された光学素子の動作評価には大口径ビームプロファイラによる照射光の集光状況の測定や、顕微光学系とCMOSカメラによる実際のイメージ取得により光学系を構成する。今後の発展の見通しとしては、シリコンウェハなどの剛体材料への局所的な構造的柔化を反映し平面一体形成同時動作構造の創出により、高度に集積化した光学素子の実現が期待される。

年次報告

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