- 研究番号:23P04
- 研究分野:science
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2023年04月〜2026年03月
代表研究者

高山 あかり 准教授
TAKAYAMA Akari Associate Professor
先進理工学部 物理学科
Department of Physics
研究概要
近年の電子デバイス素子の微細化・多機能化において材料物質の低次元化は重要な位置を占めており,ポストシリコンとして2次元単原子層シート物質であるグラフェンがその高移動度とともに注目を集め,現在まで様々な原子層物質の創製と物性研究が行われている。しかし,グラフェンのような単原子層シート物質の特徴ともいえるディラック電子型バンド構造は,バンドが1点で交わるために「キャリア密度の低さ」がネックとなり,高い導電性をもつ原子層シート開発の大きな障害となっている。ディラック型電子のバンドが線(ループ状)で交わる「ノーダルライン型バンド分散もつ物質」はディラック電子系の利点はそのままに高いキャリア密度をもつことができる有用な物質系であり,現在導電性原子層として使用されているグラフェンに対して電流密度を2桁以上向上させることができることが期待されている。本研究では,2次元ディラックノーダルラインに起因する輸送特性を明らかにすることを目的とし,その詳細なバンド構造の測定,構造決定およびバンド計算,電気伝導測定を行う。まず,研究に最適な系として期待できるSi基板上の単層Cu 2Siを対象にして研究を行い,その物性詳細を決定する。続いて,その他の半導体/絶縁体基板上のCu 2Si,さらに半導体/絶縁体基板上の単原子層膜と研究対象を発展させ,ディラックループの輸送特性と電子状態の関係性,移動度とキャリア密度の関係を定量的・系統的に明らかにする。