- 研究番号:23P06
- 研究分野:bio
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2023年04月〜2026年03月
代表研究者

木野 邦器 教授
KINO Kuniki Professor
先進理工学部 応用化学科
Department of Applied Chemistry
URL:https://www.waseda-applchem.jp/ja/professors/kino-kuniki/
研究概要
本研究は、微生物や酵素の多様な機能を高度に活用し、持続的な炭素循環型社会の実現に貢献する革新的な有用物質生産プロセスの開発を行う。微生物や酵素の反応は、一般に常温常圧の条件下で進行するため、省エネ型プロセスの構築も容易であり、しかも高い位置・立体選択性を制御できるため、自然界に存在する多様な化合物や生体関連化合物のような光学活性を有する化合物の精密合成が可能である。具体的には、医薬品や化成品あるいは機能性食品として有用なアミド化合物やヒドロキシ化合物などの効率的合成法を構築し、カーボンニュートラル社会実現に貢献する革新的なバイオプロセスの開発を目指す。
アミド化合物の合成では、遊離アミノ酸から直接ペプチドを合成する酵素の探索と改良を検討し、超高齢化社会におけるロコモティブシンドロームや脳機能改善を支援する化合物として注目されているイミダゾールジペプチドなどの機能性食品素材の工業的生産法の開発と安定かつ大量供給法の開発研究を推進する。一方、申請者らが開発した酵素反応と化学反応を連動させた画期的なアミド化合物合成法を活用してキラリティに依存しない新規アミド化合物合成への応用展開を図り、抗体医薬の後継となるペプチドや核酸医薬における創薬研究に貢献する基盤技術の開発を行う。具体的には、申請者らが見出した厳密な生命制御システムに存在する曖昧さを利用して、D–アミノ酸や非天然型アミノ酸を任意に含む新規ペプチドの創出やユニークな機能を有する環状ペプチドの効率的な合成法を開発する。
また、新たな技術として情報科学や人工知能を活用したバイオ研究にも着手する。申請者らは、これまで微生物のゲノム情報を活用して新規酵素遺伝子の探索やその発現タンパク質を利用した有用化合物生産に大きな成果をあげてきたが、人工知能を駆使したタンパク質構造予測や解析技術を導入して、酵素機能を改変する基礎研究を行う。さらに、多様な化合物に対する微生物の形態変化をデータベース化し、膨大な微生物培養試料からの人工知能を活用した新規抗真菌剤の探索研究を行う。