Waseda Research Institute for Science and Engineering早稲田大学 理工学術院総合研究所

プロジェクト研究

相対論的量子化学の社会実装に向けたRAQETプログラムの拡張と応用

Extension and Application of the RAQET Program toward Social Implementation of Relativistic Quantum Chemistry
  • 研究番号:18C02
  • 研究分野:science
  • 研究種別:奨励研究
  • 研究期間:2018年04月〜2019年03月

代表研究者

五十幡 康弘 理工総研が募集する次席研究員
IKABATA Yasuhiro Resercher

理工学術院総合研究所 中井 浩巳研究室
Research Institute for Science and Engineering

研究概要

量子化学は、量子力学の基礎方程式を適切な近似のもとで解くことで、原子、分子およびそれらの集合体の反応、構造、物性を理論的に解釈、予測する化学の一分野である。基礎方程式をDirac方程式とすることで特殊相対性理論が考慮された量子化学、すなわち相対論的量子化学が構築されてきた。重元素を含む系では、内殻電子の運動が光速に近づくため、相対論効果により軌道の膨張や収縮が起こり、金が金色であること、鉛が柔らかいことなど、特徴的な物性が生じる。また、Dirac方程式ではスピンの概念が自然に導入され、電子スピンと軌道角運動量の相互作用が記述される。スピン禁制の光吸収、項間交差を経由した無輻射失活、燐光など光物理・光化学における様々な現象にスピン−軌道相互作用が関与している。

相対論効果は多くの場合、非相対論的量子化学に対するアドホックな補正として扱われ、量子化学計算の精度および汎用性を低下させる要因となっていた。理工学術院総合研究所におけるプロジェクト研究「相対論的電子論が拓く革新的機能材料設計」では、高精度かつ汎用的な相対論的量子化学の計算プログラム「RAQET」が開発されてきた。RAQETでは、Dirac方程式における電子と陽電子の混合状態からユニタリー変換を通して電子状態のみを抽出することで、相対論効果を高精度かつ効率的に取り込んだ計算が可能である。しかし、これまでのRAQETの利用は、新たな理論の開発におけるプログラム実装やその精度の検証が中心であり、社会実装の段階とはギャップがあった。

本研究では、RAQETプログラムの拡張と応用を通して相対論的量子化学の社会実装を目指す。量子化学のアカデミアにおける研究から企業における応用までの流れは、1.量子化学の理論およびプログラム開発、2.応用計算による物質の反応性、物性、機能の解明と設計指針の確立、3.新規機能性材料、高性能触媒などの設計とスクリーニングの三段階で考えることができる。本研究でRAQETプログラムに関してこの流れを実証することで、企業の研究開発における相対論的量子化学の有用性を示し、社会実装につなげる。

年次報告

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