- 研究番号:17P24
- 研究分野:science
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2017年04月〜2019年03月
代表研究者

長谷部 信行 教授
HASEBE Nobuyuki Professor
先進理工学部 物理学科
研究概要
ジャイロスコープはセンサーとしての利用が良く知られているが,動力源としての利用はあまり知られていない。しかし,モータなどの動力源に比べてジャイロスコープの回転数に比例した大きな力を発生することが可能である。一方,モータは回転方向と力の発生方向が同一なのに比べて,回転方向と90度の方向に力が発生するという性質のため,その扱いは容易ではない。しかし,この課題を解決することにより,人工衛星の姿勢制御用ジャイロ,操縦しやすいドローンの開発,輸送システム(2輪車・自動車・航空機・ロケット),ロボット,建築物(揺れ止め・捩じれ止め),産業機械(クレーン)など多くの分野での活用が期待できる。
申請者らは独自開発の2段独楽(2段に積み重なった独楽)の理論を使って,ジャイロアクチュエータ搭載の自立走行2輪車を開発した。またシミュレーションにより2段重ねの独楽が安定に回転するための条件を確認したが,これらの理論は,研究テーマである「地球外天体におけるジャイロ応用システムの開発」にも大きな力になると考えられる。さらに,高速移動が可能なロボットアームや揺れに強い高層建築物の設計にも応用することが可能である。
これらの結果を基に本プロジェクトでは,以下の研究課題についての研究を行う。
(1) 人工衛星及びその姿勢制御用CMG(コントロールモーメントジャイロ)の力学モデルの開発を行う。
(2) これらのモデルは多くの非線形項を含み,制御入力より状態変数の数が多く,またその拘束条件が積分できないノンホロノミック系であるため特異値分解法, バックステッピング法などを用いて新たな非線形制御則の開発を行う。
(3) (1)の応用として,リアクションホイールを用いた人工衛星の姿勢制御システム,また火星など地球に似た環境におけるドローンの開発を目指す。
(4) 月や火星など地球外天体におけるローバーとしての自立走行2輪車の開発を目指す。