- 研究番号:17C10
- 研究分野:environment
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2017年04月〜2018年03月
代表研究者

平松 裕基 理工研が募集する次席研究員
HIRAMATSU Yuki Researcher
理工学研究所 関根 正人研究室
Research Institute for Science and Engineering
研究概要
流砂とは、水流によって移動する土砂のことを指します。この流砂に関わる研究には半世紀以上にわたる歴史があり、平地を流れる河川区間で生じる流砂現象についてはかなりのところまで明らかにされてきています。これらの成果を用いて様々な現象を対象とした数値計算がなされてきています。しかし、その中にはメカニズムが十分に解明されたわけではない現象にまで拡張した計算も含まれているのが現状です。このように、メカニズムが解明されていない問題も取り残されています。河床材料は、一般に水流によって移動しない粒径のもの、掃流砂として移動する粒径のもの、浮遊砂として移動する粒径のものという三つの粒径集団に分けられます。このような材料からなる河川をできるだけ自然な姿に維持しつつ、洪水被害が発生しないように整備・管理していくために、基礎的な移動床水理実験を通じて河床の変動過程のメカニズムを理解することが必要です。
1980年代ごろまでに粒径の異なる材料からなる場を対象とした流砂研究が数多くなされてきました。この場合には、粒径の違いによって移動のしやすさが異なるため、鉛直方向ならびに流下方向に粒径の分布が変化します。具体的には、一般的に大きな材料の方が移動し難いため河床表面に留まり、その間隙から小さな材料が抜け出すことによって河床表面ならびに上流側の方が河床材料の平均粒径が大きくなります。この現象を「分級」と呼びます。分級現象をさらに深く理解する突破口として、別角度からもアプローチをすることが流砂研究の発展の一助になると考えています。その方法についてはいくつかの方面から行うのが望ましいと考えられますが、一例として河床構成材料の密度の違いによって生じる分級現象に着目しました。この密度の違いに着目した既往の研究はほとんど見られません。本研究では、どのようなメカニズムで河床構造が変わるのかをさらに深く理解することを目指しています。また、密度が異なる場合だけでなく同じく行うべき検討があるため、それらもあわせて進めていきます。