- 研究番号:17P16
- 研究分野:environment
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2017年04月〜2020年03月
代表研究者

古谷 誠章 教授
FURUYA Nobuaki Professor
創造理工学部 建築学科
研究概要
■ 本研究では小学校を単に児童のものだけではなく、社会にとって不可欠な地域の「核」と捉え、ひとつの学校が都市におかれることで、地域社会そのものが変化していくような「ハイパースクール(学校を超えた学校の意)」のモデルを研究、提案することを目的とする。
■ 先の東日本大震災では、 地方都市における地域コミュニティ存続のあり方や都市における近隣コミュニティの衰退などの問題が顕在化し、改めて地域住民同士のつながりや日常的な居場所としての建築の必要性が見直された。一方で、学校を取り巻く環境も近年大きく変わってきており、縮小化時代にいよいよ突入した日本社会では、地方都市をはじめ多くの小中学校で、統廃合が続出しているのが現状である。
■ また、近年では学校の「自衛的」な安全管理のため、多くの小学校で門を閉ざし、塀で囲わなければいけない状況も発生している。かつての学校の標準設計は、著しく増加した戦後の大量教育の要請に、もっぱら能率よく、公平に応えるためにつくられており、学校をそれぞれの地域の個性に応じてコミュニティに開かれた核としてつくる理念はなかった。学校を地域と切り離して考えるのではなく、社会にいかにかかわるべきか、いかに開くべきかが検証されなくてはならない。
■ 研究代表者は、過去20年にわたり、早稲田大学での「設計製図」教育において、「ハイパースクール −都市に拡張される学校」のテーマで課題を出しており、学生の出身小学校とその周辺の町に対する30年後の未来像に対する創造的なアイディア・デザインコンセプトの提案を学生に求めてきた。また卒業論文のテーマとしても、「学校建築研究」や「木質空間研究」、「生活・療養空間研究」、「地域デザイン研究」等、本研究テーマと直接的に関係がある研究を継続的に行っており、本研究に大きく寄与する土台を有している。
■ 本研究はそれらを踏まえ、廃校になる以前の既存の小学校に対し、今後予想される様々な地域コミュニティの慢性的な不全に対する「鍼治療」のような建築提案を施すことで、教育的な価値にとどまらない、総合的な実社会への貢献といった役割も担おうとしている。日本全国で発生している学校を取り巻く様々な命題に対し、問題解決の示唆を与えることを目的としている。
■ 現在進行中の研究題目
- 都市型環境住宅のプロトタイプモデルの研究
- 次世代医療施設の研究(地域包括ケア病棟)
- 森が学校計画産学共同研究会
- 都市における「森が学校」モデルのための木育家具の研究開発