- 研究番号:14P10
- 研究分野:bio
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2014年04月〜2017年03月
代表研究者

木野 邦器 教授
KINO Kuniki Professor
先進理工学部 応用化学科
Department of Applied Chemistry
研究概要
本研究では、微生物や酵素を高度に利用した有用物質生産プロセスの開発を検討する。微生物や酵素による反応は、常温・常圧条件下で進行可能であり、高い位置・立体選択性が発揮される。そこで、これらを活用したペプチド化合物、ヒドロキシ化合物の効率的な合成プロセスやバイオマスからの汎用化成品の合成プロセスの開発を目的とする。
ペプチド合成に関しては、新規なペプチド合成酵素(LAL)やポリアミノ酸合成酵素を発見し、工業的生産プロセスを確立している。最近、数種類のLALの立体構造を解き、構造情報に基づく酵素の機能改変を検討し、塩味増強ペプチドの効率的合成に成功している。LALの基質認識機構の解明、ならびにLALの探索や創製を継続して実施する。
ヒドロキシ化合物としては、主に医薬用途が中心となるヒドロキシアミノ酸と、液晶素子など機能性分子となるヒドロキシ芳香族カルボン酸の合成を検討する。これまでの検討により、多種多様な水酸化酵素を見出しており、今後はこれら酵素活性を物質生産に効果的に活用するため、組換え微生物の造成ならびに工業的生産プロセスの開発を行う。
バイオマス、とくにリグニン由来の化成品としては、医薬品や香粧品原料としての有用芳香族カルボン酸の合成を検討している。そのために可逆的脱炭酸酵素によるリグニン由来の芳香族化合物へのカルボン酸の導入を検討している。これまでに独創的な微生物スクリーニング系を構築して自然界から数種類の炭酸固定酵素生産菌の取得に成功している。当該酵素を利用したバイオテクノロジーによる芳香族カルボン酸の合成は、副次的効果として二酸化炭素の回収も期待できるため、低炭素化社会の実現にも大きく貢献できる。本研究によって、バイオを基盤としたファインケミカルからコモディティケミカルに至る有用化合物の実用的な生産プロセスを確立する。