- 研究番号:19P53
- 研究分野:bio
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2019年10月〜2022年09月
代表研究者
中尾 洋一 教授
NAKAO Yoichi Professor
先進理工学部 化学生命化学科
Department of Chemistry and Biochemistry
URL:http://www.chem.waseda.ac.jp/nakao/#
研究概要
われわれがこれまで行ってきた様々な海洋天然化合物は、海洋生物に共生している微生物がその生産に関わっていることが明らかになりつつあり、海洋生物内の共生環境が医薬品素材として価値の高い天然化合物の産生にも影響すると考えられている。また、土壌に生息している土壌菌や根粒菌などの共生微生物の状態が農地の生産性に深く影響することも知られている。
一方、味噌や醤油などに代表される伝統的発酵食品の生産には麹や乳酸菌などの微生物による発酵が欠かせないが、発酵過程でこれらの発酵微生物が生産する代謝産物がわれわれの体の健康維持にかかわると考えられている。われわれの体は食事を通して、これらの発酵微生物代謝産物を日々体内に取り込んでいるが、これらの代謝産物がわれわれの腸内に共生している微生物に対してどのような影響を与え、その結果どのような健康上の効果を発揮しているかについての分子機構については、ほとんど明らかにされていない。
以上いずれのケースにおいても、環境(発酵食品、腸内環境、海洋生物体内、土壌)−共生微生物の関係がカギとなっており、これらの共生環境を維持するための機構を理解することは健康維持や、医薬品などの高付加価値化合物および農作物の生産にとって利用価値の高い知見となりうる。そこで、本プロジェクト研究ではさまざまな環境−共生関係を対象として、その関係を成立させている機構を分子レベルで解明することを目的とする。