Waseda Research Institute for Science and Engineering早稲田大学 理工学術院総合研究所

プロジェクト研究

ベトナム阮朝期建築生産組織に関する史料調査研究(2期目)

The investigation of materials for the organizations of architectural construction of Nguyen Dynasty, Vietnam
  • 研究番号:17C04
  • 研究分野:environment
  • 研究種別:奨励研究
  • 研究期間:2017年04月〜2018年03月

代表研究者

木谷 建太 理工研が募集する次席研究員
KITANI Kenta Researcher

理工学研究所 小岩 正樹研究室
Research Institute for Science and Engineering

研究概要

これまで、ベトナム阮朝の建築生産組織に関する研究を行ってきている.ベトナム中部都市フエは、ベトナム全土を、現在の形で統治した最初で最後の王朝である阮朝(18021945)の都であり、碁盤目状の構造を有する中国的な街区を、フランス的なヴォーバン式城郭が囲む構成にみられるように、多様な文化が一定の秩序のもと融合している.しかし、阮朝崩壊後の混乱や、続くベトナム戦争によって多くの文化や技術体系が失われた.残存している遺構から阮朝の王宮都市における宮殿建築の中心要素と骨格を見出し、史資料の情報を繋ぎ合わせていき往時の建築文化、ひいてはフエの都市全体の復原像を描くことを、研究の動機とした.

これまでの研究により、ベトナムの歴代王朝で公定尺とされてきたものは、1尺あたり、424ミリメートル近傍であったことが明かとなっており、中国、韓半島、日本のそれとは異なる.これは、中国・雲南やタイの少数民族に残る尺度に近いことがわかっており、この地域の基層文化の一つとみることができる.また、魯班尺という吉凶尺を用いた家屋(宮殿)の設計がなされるが、いわゆる風水とよばれる体系とともに、ベトナムへ伝来している.特に陵墓に用いられる陰宅風水における魯班尺の使用法が、台湾や沖縄など南シナ海を介した地域で共通しており、海洋アジア文化圏の存在を示唆している.阮朝は、漢字文化を中国から受容する一方で、前身となる広南国の時代に攻略したチャンパの文化・技術を取り込んで、腋尺という正三角形のものさしを用いて設計を行う、登り梁ケオを合掌組にした独自の架構形式を宮殿に用いたことは明らかにしたが、その発生過程についてはなお課題となっている.以上、周辺地域との比較研究を進めることにより、阮朝の、ひいてはベトナムの建築生産組織の史的評価を与えることを研究の目的とする.

年次報告

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/fsci/wise/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる