- 研究番号:16P53
- 研究分野:science
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2016年10月〜2019年09月
代表研究者
山路 哲史 准教授
YAMAJI Akifumi Associate Professor
先進理工学研究科 共同原子力専攻
研究概要
原子力発電技術に対する信頼を取り戻すためには着実に福島原子力発電所の廃炉を進める必要がある。このため、福島の事故進展解析および他の研究開発の成果、事故時の圧力・温度等の測定データの分析、現場から得られた情報からの推定を実施し、これらの情報を俯瞰的に統合することで、炉内の状況を総合的に把握することに資することが求められている。一方で、同様な事故を繰り返さぬよう、原子力発電技術(特に軽水炉発電技術)の安全性を向上させる必要がある。本研究の目的は最先端の計算科学技術を駆使・発展させ、原子炉過酷事故メカニズムを解明し(理解の深化を図り)、万が一の事故時における原子力発電技術の安全性(事故耐性)を向上させることである。そのために、以下を実施する:
(1)原子炉過酷事故解析コード(SA解析コード)による炉心崩壊過程の感度解析および福島の実機プラントデータとの整合性を評価し、炉心崩壊メカニズムの理解を深め、福島各号機の炉内状況の知見の不確かさを低減する。
(2)伝熱・流動・相変化を機構論的にモデル化できるMPS法(粒子法)により、そもそもの原理・基本現象の理解に戻り、原子炉過酷事故メカニズムを解明し、SA解析コードの高度化に資する知見を得る。
(3)炉心冷却喪失時の炉心崩壊までの裕度(grace time)を向上する事故耐性燃料(Accident Tolerant Fuel: ATF)の候補概念を軽水炉燃料棒ふるまい解析により検討し、実機導入に向けた課題を明らかにする。