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【開催報告】第15期アーリーバード成果報告会「~はばたけ!アーリーバード~」

【開催報告】第15期アーリーバード成果報告会「~はばたけ!アーリーバード~」
Posted
Thu, 26 Mar 2026

3月4日水曜日午後、理工学術院総合研究所(以後、理工総研)の若手研究者育成・支援事業『アーリーバードプログラム』の1年間の活動を締めくくる成果報告会が開催されました。成果報告会は昨年と同様にウェビナーを用いたハイブリッド形式で行いました。

最初に理工総研所長・高橋大輔先生より開催挨拶をいただき、続いて司会の笠原さんが本プログラムの年間の活動報告を行いました。

報告会の様子
報告会の様子

1年間の活動報告

第15期アーリーバードプログラムは2025年6月に実施されたオリエンテーションから始まり、前期は6月16日から7月4日にかけ、夏休みの8月29日には法学学術院との意見交換会を実施し、後期は9月1日から1月30日までの間にて、活動をメンバー全員で行いました。理工学術院を構成する3つの理工分野から選出された多様な研究バックグラウンドを持つメンバー同士による活発な議論により、異分野交流の貴重な場となり、充実した活動が実現しました。また、今年度は各メンバーによる研究活動の活躍が顕著であり、複数のメンバーが国内外問わず様々な学会において学会賞の受賞や、査読付き国際誌への学術論文の採択されるなどアーリーバードの支援と活動を通じて実績を残しました。

自己紹介の様子
自己紹介の様子

今年度のアーリーバードプログラムにおける活動内容の報告です。前期の間は、メンバー同士の研究内容に加え、人物像を互いに理解するため、複数回に分けてメンバー間にて自己紹介を実施しました。異分野の研究者にも理解できるように発表の工夫を施したり、人となりを知ってもらうために趣味などの項目を設けプレゼンを行いました。発表後には、研究内容に加え、趣味などに関しても活発な質疑応答が行われ、メンバー間の理解が促進されました。また、後半では後期の活動に向け、学術交流班、アウトリーチ班、講演会班の3つの班を作成し、それぞれにメンバーが別れ企画の立案と実行に向けた準備に取り組みました。

後期では、それぞれの班による企画を実施しました。始め、学術交流班による異分野交流会として、京都大学が実施している100人論文形式を模倣し、研究内容を最大4枚のスライドで説明を行い、印刷したものを掲示し、その周囲に質問などを付箋で貼り付けていくことで議論の促進に繋げました。その結果、メンバー間における共同研究の種が創出され、特に笠原さんと佐川さんのプロジェクトが最終的に実施に至りました。

11月7日には、アウトリーチ班による早稲田の学部生・大学院生に向けたアウトリーチ企画である「みんなの知らない博士課程の世界」をハイブリットにて実施しました。この企画では、博士課程を知ってもらうことを目的として、メンバーによるパネルディスカッションや、参加者との直接の質疑応答が行われました。

年が明け、1月30日には、講演会班による慶應義塾大学 標葉先生をお招きした講演会を実施し、標葉先生がご研究されている科学技術の社会実装における倫理・法律・社会課題(ELSI)などに関してご講演いただくとともに、アーリーバードプログラムに対するフィードバックもいただきました。

また、法学学術院との意見交換に関しては、肥塚肇雄先生を始めとし法学学術院の先生方との会合を8月29日と10月29日に実施し、さらに1月9日から22日にかけ、先生方のゼミに参加し、科学技術と法律のあり方や接点に関して、ゼミに参加されている学生と議論させていただく機会をいただきました。

法学学術院との意見交換会の様子
法学学術院との意見交換会の様子
アウトリーチ活動の様子
アウトリーチ活動の様子
講演会の様子
講演会の様子

5min. プレゼンコンテスト

今年度も各メンバーの1年間の研究成果発表をする5min.プレゼンコンテストを開催しました。発表時間は5分と非常に短い中で、様々な分野の研究者が集結するアーリーバードにて、研究意義からインパクトを伝えなくてはいけないため、非常に難しい発表形式でした。第15期アーリーバード15名それぞれが趣向を凝らし、素晴らしい発表となっていました。

審査は審査員である先生方2名による表彰(最優秀賞、優秀賞)、ウェビナー参加者からの投票による1名の表彰がされました。先生方からの評価による最優秀賞は中原 輝(応化 山口研究室 D3/学振)さんの「ベンジルアルコールとヘテロ芳香族エステルの芳香環交換反応の開発」、そして優秀賞は佐野 大志(物理 辻川研究室 D1/助手)さんの「物質場を持つブラックホール時空の対称性に基づく量子化」でした。先生方からは、全体的に、非常に高いレベルでは発表ができており、大会レベルに達していたというお言葉をいただきました。その中で点数をつけるのは難しかったとのことでしたが、お二人の発表は特に明るく、分かりやすい良い発表でした。

発表タイトル・氏名
最優秀賞(審査員) 「ベンジルアルコールとヘテロ芳香族エステルの芳香環交換反応の開発」
中原 輝(応化 山口研究室 D3/学振)
優秀賞(審査員) 「物質場を持つブラックホール時空の対称性に基づく量子化」
佐野 大志(物理 辻川研究室 D1/助手)
最優秀賞(一般投票) 「青色光を用いたアルツハイマー病で見られる病理の再現」
内田 智也(電生 坂内研究室 D1/学振)
最優秀賞の中原さん
最優秀賞の中原さん
優秀賞の佐野さん
優秀賞の佐野さん
一般投票部門最優秀賞の内田さん
一般投票部門最優秀賞の内田さん

5min.プレゼンのあとに、後期からアーリーバードメンバー全員でグループごとに取り組んできた「研究室の枠を超えた交流・啓発活動についての発表」が行われました。


研究室の枠を超えた交流・啓発活動についての発表

後半の司会は杉田さんが行いました。第15期アーリーバードメンバー15名が4つのグループに分かれ、グループ折々のテーマを発表しました。この企画は異分野交流を目的としたものであり、数カ月にわたって各グループ議論を重ね実施に至りました。発表は各発表10分+質疑応答4分で行われ、審査員の先生方2名に審査していただきました。各グループの発表のタイトルは以下の通りです。

1. 異分野交流① メンバー間の学術的交流

メンバー:金子 知義、吉良 美、鈴木 尭虎、杉田 祐輔、千葉 秋宜、村瀬 颯太
共同研究:笠原 和、佐川 凛華

メンバー間の学術的交流を促進するために実施された、異分野交流の取り組みについて説明が行われました。第一段階として、「100人論文」形式を用いた研究紹介を実施されました。これは、1つの画像と3つの設問のみで研究概要を掲示し、来場者が匿名で付箋を用いてコメントし合う手法が用いられました。これにより、専門外の研究者へ自身の研究を分かりやすく説明する訓練となるだけでなく、異分野ならではの視点からの疑問や意見を得ることができ、研究の幅を広げる契機となりました。その後、少人数グループに分かれての交流会を実施しました。少人数での濃密な議論を通じて、互いの研究領域に対する興味やスキルのすり合わせが行われました。その結果、複数の共同研究の種が発見され、実際に共同研究計画の立案へと進展したペアも誕生しました。最終的に、これらの交流活動を基盤として、より詳細な研究成果の報告および議論を行うプレゼンテーションが実施されました。

2. 異分野交流② ★最優秀賞 法科大学院との意見交換・ゼミへの参加

メンバー:金子 知義、吉良 美月
ゼミ参加者:金子 知義、鈴木 尭虎、村瀬 颯太、杉田 祐輔、千葉 秋宜

法学学術院「先端科学技術と法」コースによる、文理融合の足掛かりとなる場を作ることを目的とした意見交換会およびゼミへの参加を実施しました。科学技術の高度化に伴う研究における法的リスクへの意識向上などを目指し、8月と10月に意見交換会を実施しました。会では、AI規制や生物由来製品の法規制、科学技術情報の公開制限などについて、理系と文系双方の視点から議論が交わされました。また、法学部のゼミにおいて理系の世界を体感してもらうため、学生に具体的な医療課題(ウイルスを治療に使うことへの抵抗など)を提示し、ともに検討を行う実践的な取り組みも実施しました。本活動を通じて文理融合のための足場づくりを強化しており、今後は今回の経験をもとに、経済学や社会学など他分野の文系研究者との交流へ展開していくことが期待されます。

最優秀賞のグループ(異分野交流②)
最優秀賞のグループ(異分野交流②)

3. 早大生へのアウトリーチ活動 「みんなの知らない博士課程の世界」

メンバー:佐野 大志、池田 秀斗、栗山 杏、内田 智也、笠原 和、佐川 凜華

博士課程進学者の減少という課題に対し、博士課程のリアルな現状を発信するためのアウトリーチ企画「みんなの知らない”博士課程”の世界」を実施しました。学部生および大学院生を対象にハイブリッド形式で開催し、計73名が参加しました。企画は博士課程の概要説明、パネルディスカッション、交流会の3部構成で行われ、参加者の満足度は100%(「大満足」「満足」の合計)と非常に高い評価を得ました。支援制度や多様なキャリアパスの提示、現役博士学生との直接の対話を通じて、参加者の進学に対する不安軽減と博士課程への解像度向上に貢献しました。今後は、人文科学系学生との連携や、イベント開催頻度の向上が次回の課題であることを議論しました。

4. 慶應大学 標葉先生を招聘しての講演会の実施報告

メンバー:中原 輝、守屋 瑛人

慶應義塾大学の標葉隆馬先生をお招きし、科学技術におけるELSI(倫理的・法的・社会的課題)をテーマとした講演会を行いました。講演ではゲノム編集食品などの事例を交え、専門家と一般市民の間には科学技術に対する意識や関心事項に大きな差があることをご教示いただきました。このような価値観のズレを埋めるためには継続的な「対話」が不可欠であり、技術進歩の可能性を最大化しつつ、リスクを最小化するルール作りの重要性を学びました。また、自身の研究を専門外の人に伝えるための異分野交流の視点として、各分野で最も面白いトップレベルの論文の評価軸を互いに教え合うことが有効であるとのアドバイスをいただきました。

先生方の審査は①議論としてまとまっているか、②発表から熱意が感じられるか、③異分野交流による相乗効果・自由加点、の3項目で評価していただきました。結果として、「異分野交流② 法科大学院との意見交換・ゼミへの参加」が最優秀賞に選ばれました。先生方からはグループについても非常に高いレベルであったとお言葉をいただきました。


終わりに

成果報告会の最後には理工総研副所長 宮下 朋之先生から講評および閉会のご挨拶をいただき、第15期アーリーバードプログラム成果報告会は幕を下ろしました。本報告会にご参加の皆様、そして今期アーリーバードプログラムを支えてくださった皆様に改めて感謝申し上げます。

集合写真
集合写真

開催概要

開催日 2026年3月4日(水)13:00~16:00(開場 12:50)
会場 オンライン開催(Zoom / ウェビナー)
主催 早稲田大学理工学術院総合研究所 アーリーバードプログラム
対象 学生、教職員、一般(高校生歓迎)
問合せ アーリーバード事務局
文責 先進理工学研究科 生命理工学専攻 花嶋研究室
博士後期課程1年 杉田祐輔
アーリーバードプログラムとは?
理工学術院総合研究所の若手研究者(博士後期課程~ポスドク)育成・支援プログラム。異分野の若手研究者同士が交流を図りながら、研究者としてのスキル・キャリアアップを目指して、ワークショップや交流会を自らの手で企画・実施する活動に取り組む。