意見交換会の概要
1月28日(火)に、2024年度アーリーバードプログラム活動の一環として、「アーリーバード参加者と法学部教員との懇親会」と題して、本学 法学学術院 法学部教授の肥塚肇雄先生をはじめとする4名の法学研究者との意見交換会を開催いたしました。アーリーバードプログラムからは10名の若手研究者が、法学部からは肥塚肇雄先生、下山憲治先生、原田香菜先生、内藤識先生の4名の先生方にご参加いただきました。肥塚先生らは、法学学術院「先端科学技術と法」コースをご担当されており、先進的な科学技術を法的手当てによって社会受容性を高めるためのご研究をされています。本会では法学研究者と理工技術と法学の関わりについて意見交換を行いました。
「アーリーバード参加者と法学部教員との懇親会」
本会では、アーリーバードメンバーが提案した以下の3つの議題について、熱い議論を交わしました。
(1) 研究活動中に潜む法的リスクについて
アーリーバードメンバーが、意図せず抵触してしまう法学上の問題のうち、どのような例が自分自身の研究の周辺にあるか、意見を出し合いました。その結果、法の不知による問題と研究結果が悪用されるリスクという2つの問題を認知していることが明らかになりました。特に法の不知による抵触は避けなければならないとして、肥塚先生より「法の不知は不知にあらず」というお言葉をいただきました。法律や各種ルールは日々更新されている可能性があり、研究者は法について十分な理解とそのアップデートが必要であることを再確認しました。
(2) 法規制と研究活動について
アーリーバードメンバーは法規制によって研究活動が抑制されていると考えている人が多く、新しい技術を法規制するときにその技術が社会に及ぼす影響をどのように予測しているのか、という点について関心を寄せました。法学者も社会に与える影響の予測は難しいとしており、先端技術を社会に提供するための法の在り方を考えているとの事でした。予測がうまく機能した例や予測が難しい例を挙げながら、法学者と理工系研究者の歩み寄りが今後、より必要になるとの結論を得ました。
(3) 研究者倫理と社会秩序について
研究者倫理が社会秩序の維持に寄与した事例として、研究の国際協力などの具体例を挙げながら議論を進めました。その中で、科学技術の潜在的リスクの認知には理工系研究者が長けていると結論付けました。その一方で、国によって研究倫理が異なることから、社会秩序が研究者倫理を作り上げているという意見も出されました。最終的に研究者倫理を維持するために法が必要であり、社会秩序の維持も重要であると認識しました。
総括

意見交換会の様子
今回の意見交換会では、文理融合の重要性を実感する良い機会であったと思います。懇親会の開催前には、我々が法に関して議論できるかという不安もありましたが、それぞれの観点から有意義なディスカッションができたと思います。また研究者倫理や各種法令について考える良い機会をいただきました。ご多忙の中お集まりいただきました、法学学術院の先生方に心より感謝申し上げます。
文責:先進理工学研究科 生命医科学専攻 仙波研究室 博士後期課程1年 片山翔太