児島将康先生による講演会の概要
(講演者情報)11月29日(水)に、2023年度アーリーバードプログラム活動の一環として、久留米大学分子生命科学研究所教授の児島将康先生を早稲田大学にお招きし、「研究費獲得を目指した申請書の書き方」についてご講演を頂きました。児島先生は、循環器内科学や神経科学等に係る最先端の医学研究の傍ら、後進の研究者の育成にもご尽力されており、研究プロポーザル作成に関する名著である『科研費獲得の方法とコツ』と『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック』を羊土社から出版されています。
(講演内容)本講演では、採択される申請書の特徴とその書き方についてご説明下さいました。具体的には、一貫した研究目的、および具体的な研究方法を明瞭に示すことが、申請書の採択確率を大いに高めると伝授していただきました。講演後に開催された懇親会では、研究費獲得に関する詳細な質問に加え、大学での研究における疑問にも、丁寧にかつ的確にお答えいただき、本活動はアーリーバードメンバーのキャリア形成にとって、大変に有意義なものになりました。
「獲得を目指した申請書の書き方のポイント:初めて応募する研究者のために」
(講演会の詳細)講演会では、採択される申請書の作成を目的として、審査委員の実情や、研究目的・研究方法の記述など、プロポーザル執筆時における重要なポイントについてご解説いただきました。申請書の採択可能性を高める秘訣を数多くご教示いただきましたが、その中でも特に印象に残ったものを以下にまとめて示します。
A.審査委員への配慮:科研費や学振等の審査員は一般に極めて多忙であり、1つの申請書の評価に費やす時間は限られる。このため、図やレイアウトを工夫し、分かりやすく美しい申請書を作成することが不可欠である。

メンバーの申請書を丁寧に添削してくださる児島先生
B.研究目的の明確化:一貫した研究目的を示すことは、申請書の読みやすさに直結する。研究目的を明確に定め、それを実現する手段・研究方法を記載する必要がある。
C.具体的な研究方法:研究方法に関しては、実験のサンプル数や使用予定の分析手法等の詳細を記述し、研究計画の実現可能性を示すことが求められる。さらに、実験項目を箇条書きにするなど、申請書を読みやすくする工夫が要る。
(講演後の懇親会)懇親会では、「美しくインパクトのある図を作成する際のポイントは何か」や、「既往研究や予備実験をどう記載するべきか」など、若手研究者が抱く疑問に真摯に対応していただき、その内容のみならず、後進を育てる姿勢に関しても大変勉強になりました。
総括:講演会を振り返って

児島先生の話に真剣に耳を傾けるメンバーたち
児島先生のご講演は、申請書の質を向上させるための具体的なアプローチが数多く提示されていて、その内容を意識して本稿を書いてしまうほどに、すぐに実践したくなるものでした。また、申請書作成の方法論を学ぶことで、科研費等に応募する気概・勇気を改めて獲得できました。本講演会は、アーリーバードメンバーの将来的なキャリアにとって、大変に意義のあるプログラム活動であったと確信しております。ご多忙の中、周到なご講演をして下さいました児島先生に心より感謝申し上げます。
文責:創造理工学研究科 建設工学専攻 博士課程2年 青木康貴