Waseda Research Institute for Science and Engineering早稲田大学 理工学術院総合研究所

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第10期アーリーバード成果報告会「若手研究者が探った『研究のNew Normal』」開催報告

3月12日金曜日午後、理工学術院総合研究所(以後、理工総研)の若手研究者育成・支援事業『アーリーバードプログラム』の1年間の活動を締めくくる成果報告会「若手研究者が探った『研究のNew Normal』」が開催されました。本会ではアーリーバードのメンバーである12人の理工の若手研究者たちが、新型コロナの影響により構内立入制限に始まりあらゆる行動に制限がかかった1年間の活動を振りかえり、総括にふさわしいプログラムを計画しました。

最初に副所長・近藤圭一郎先生より開催挨拶をいただき、続いて幹事の福田さんが本プログラムの年間の活動報告を行いました。
(以下、〔  〕内は記事執筆したメンバーです)

1年間の活動報告

アーリーバードプログラムは若手研究者同士の「交流」を本質とするため、新型コロナウイルスは2020年度の活動に甚大な影響を与えた。ディスプレイ越しの意思疎通を通して有意義な活動成果を創出することは決して容易ではなかったが、研究者得意の課題解決力をフルに活かし、最終的には以下のような充実した活動をすることができた。

  • オンラインでのメンバー間交流
    前期には一人30分という長尺な自己紹介・研究内容紹介を通して交流のスタート

    福田さんの活動報告プレゼンより

    ダッシュをすると同時に、オンラインで自分の為人や研究を人に伝える力を養った。また、前期活動を通じてお互いの経験や知識に興味を持ったため、後期には「情報交換会」と題してメンバー間で知りたい・共有したい知見や情報を交換しあった。活動時間外には、対面コミュニケーションが抑えられてしまった分SNSを活用したオンラインプラットフォームでのメンバー間のネットワークが発達し、活発な議論や情報交換がなされた。コロナ禍での学術的交流のお手本となるような経験をメンバー全員で共有できたのではないかと思っている。

  • オンラインでの外部研究者との交流
    例年は外部機関へ見学会等を実施していたが、残念ながら今年度はそのような遠征は困難であった。代わりに、「どこからでも簡単に繋がれる」オンラインツールの強みを活かし、東京理科大学 松尾裕一先生、お茶の水女子大学 篠田万穂先生、産業技術総合研究所 日隈聡士先生、エマージングテクノロジーズ 深澤知憲様、という総勢4名の外部研究者にオンライン招待講演を依頼し、貴重なお話を頂いた。また、松尾先生からのご紹介をきっかけに、成果報告会にて講演いただいたJAXA 照井冬人先生とのご縁も得ることができた。さらに、日隈先生には活動時間を超えてアーリーバードの活動を支援してくださり、「世界が変革する今は人を先んじるチャンス」をモットーに、オンラインベースの研究でも競争に勝ち抜いていくためのアイデアをメンバーと語り合っていただいた。

今回の成果報告会では、以上の2種類の活動になぞらえる形で、「メンバーと参加者間でのグループディスカッション」と「JAXA照井冬人先生による招待講演」を企画した。
〔共同原子力専攻D1/福田貴斉〕

続いて、はやぶさ2の偉業も耳に新しい、JAXA・照井冬人氏が登場します。ここでモデレーターは幹事・辻村さんに交替します。

JAXA照井冬人先生による招待講演「はやぶさ2の小惑星Ryuguへのタッチダウンにおける画像航法誘導制御 〜戦略・成果・課題〜」

いて、特別招待講演として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の照井冬人先生にご登壇いただきました。照井先生は、2020年12月にサンプルリターンに成功し、大きな話題となった「はやぶさ2」プロジェクトにおいて、はやぶさ2を小惑星Ryuguにタッチダウンさせる誘導制御を担当した、ミッション成功の立役者です。なお本講演は、11月にアーリーバードにお招きし、本報告会にも特別審査ゲストとしてご参加いただいた東京理科大学の松尾裕一先生のご紹介により実現しました。

照井先生からは、「はやぶさ2」が成し遂げた7つの「世界初」に始まり、着陸地点の選定やRyuguの地形特性に合わせた制御方式の変更など、ミッション中に生じた問題に幾重にも準備したサブプランで乗り越えたこと、タッチダウンに向けた軌道制御には原始的な「人海戦術」で挑み、機械任せではできない人の手による最適な制御を実現したことなど、多くのエピソードをお話しいただきました。これらは、アーリーバードの若手研究者に向け、「はやぶさ2」の工学的な成果とその位置付け、今後の課題を、専門用語を交えつつ紹介するものでした。アーリーバードメンバーにとって、世界的な快挙を成し遂げたプロジェクトの立役者であり、第一線で活躍する研究者の講演を聞いたことは、刺激を受け、研究活動への意欲をさらに掻き立てられる体験となりました。また、理工学への関心の高い一般聴講者の皆様にとっても、他では聞くことのできない話を聞けた貴重な時間となったことでしょう。
〔機械科学・航空宇宙専攻D1/辻村光樹〕

貴重な講演の後は、本プログラムメンバーによる研究成果のプレゼンです。1年間の異分野交流で培った研究者としての素地を「分かりやすさ」をにらみながらクオリティを維持することが可能かギリギリの5分間で勝負するコンテンツです。

5min.プレゼンコンテスト

物理学及応用物理学専攻D1/粥川さんの発表より

日々取組んでいる研究を最新のデータと共にわかりやすく5分で紹介する“5 minプレゼンコンテスト”でメンバー12名が競いあった。身振り手振りができない画面のみの発表でも聞き手にわかりやすく伝える工夫を凝らしたスライドを用いた発表でメンバーそれぞれが参加者を惹きつけた。また、チャット機能を使った質疑応答も行われ、オンラインならではの光景も伺えた。

辻村さん発表スライドより

福田さん発表スライドより

各発表に対しては本プログラムの活動でお世話になった3名の先生方を特別審査員としてお迎えし、理工総研副所長3名を合わせた計6名による専門的な評価に加えて、ご来場の皆様によるお気に入りプレゼン投票の結果を組み合わせた審査を行った。プレゼン終了後、後述するグループディスカッションの間に行われた厳正なる審査の結果、最優秀賞に福田貴斉さん「MCCIに伴うマルチ成分溶融物の凝固偏析挙動のMPS法による解明〜燃料デブリの内部にシミュレーションで迫る〜」、優秀賞に辻村光樹さん「気液二相流の格子・粒子ハイブリッド解析に向けた気液間運動量相互作用モデルの研究」の2名が受賞した。審査員の先生方による講評では、異分野でもわかりやすい工夫がされたスライドや発表の構成についてお褒めの言葉をいただいた一方で、自身の研究、また、その先にある夢を語る大切さをご指摘いただき改めて、われわれ若手研究者としての在り方を考えさせられた。
〔化学・生命化学専攻D3/中村文彬〕

全員のプレゼン終了後、休憩時間を挟んでZoomのブレイクアウトルーム機能を活用した「グループディスカッション」のセッションに移ります。一般参加者は興味あるテーマのルームに入っていただき、メンバーの素顔に接近します。

グループディスカッション

この30分間は、以下の3グループが同時進行で独自に決めたテーマについてトークを展開しました。

【グループA】「研究者が選ぶ買ってよかったものランキング 研究生活を支える至高の逸品たち」(浅井・粥川・西川・向井)
各メンバーが日々の研究生活で愛用する道具についてランキング形式で紹介しました。有益な情報を交換できただけでなく,各メンバが自分の思い入れを熱く語った結果,参加者からも活発なコメントが得られ,大盛り上がりでした。〔物理学及応用物理学専攻D1/粥川青汰〕

【グループB】「修士課程(学部)から博士課程で変化した研究生活」(一色・小野寺・辻村・中村)
修士課程から博士課程で変化した研究生活について、パネルディスカッション形式で扱いました。グループメンバーが全員博士課程の学生であるということもあり、それぞれが何を思い博士進学を決めたのか、ひいては進学後の今の状況や気持ちをリアルに反映できたように思いました。〔生命医科学専攻D1/小野寺航〕

【グループC】「バイオ・建築・原子力・材料研究の進め方と面白さ」(菅野・畠山・原口・福田)
バイオ・建築・原子力・材料といった異なる分野で活躍するメンバーが、その分野の独特の研究の特徴をプレゼンした。各自が研究の醍醐味や苦労を語り合う中で、それぞれの専門分野への愛着のようなものが伝わってきた点が印象的であった。〔共同原子力専攻D1/福田貴斉〕

時間が足りない、という声を聴きつつもグループディスカッションのセッションは終了し、副所長・高口洋人先生による5min.プレゼンコンテストの審査結果発表の後、副所長・高橋大輔先生から閉会の挨拶をいただき、4時間近くに及んだ第10期アーリーバード成果報告会は幕を下ろしました。

第10期アーリーバードの活動は、この日をもって終了しました。日々取り組んでいる研究と並行してアーリーバードとして活動したこの1年間は、パンデミックという異常な環境のもとで内省的にならざるをえなかったことが多かったかもしれません。翻って、研究者としての基礎体力を蓄積し、思考転換を図る好機としてキャッチすれば、「若手研究者が探った、研究のNew Normal」で展開されたメンバーのプレゼンテーションが伝えるものは多くの可能性を内包しています。ご参加の皆様、そして本プログラムを支えてくださった皆さまに心より感謝申し上げます。

開催概要

アーリーバード成果報告会「若手研究者が探った『研究のNew Normal』」

日時|2021年3月12日(金)14:00~17:30
会場|オンライン開催
内容 年間活動報告、JAXA照井冬人氏招待講演、メンバーによる5min.プレゼンコンテスト、グループディスカッション
プレゼンコンテスト審査員|理工総研 所長 木野邦器・同副所長 近藤圭一郎、高口洋人※、高橋大輔 ※審査員長
東京理科大学教授 松尾裕一、産業総合研究所主任研究員 日隈聡士、お茶の水女子大学助教 篠田万穂

後日・・・

プレゼンコンテスト受賞者の福田さん、辻村さんへその活躍を称えるトロフィーが授与されました。以下、お二人のコメントです。

左:辻村さん、右:福田さん

【最優秀賞】福田貴斉さん
「卓越した研究者の皆様の中で賞を頂けたことは大変恐縮で、同時にとても光栄です。アーリーバードを通してプレゼン力を鍛えたことがこのような形で実ったことは感慨深く、改めてこの活動の意義深さを実感しました。」

【優秀賞】辻村光樹さん
「どれも興味深く、魅力溢れるメンバーのプレゼンの中から、私の発表が優秀賞に選出されて、驚きました。アーリーバードで得た経験やメンバーとの繋がりを大切にして、これからも研究活動に取り組んでまいります。」

アーリーバードプログラムとは?:理工学術院総合研究所の若手研究者(博士後期課程~ポスドク)育成・支援プログラム。異分野の若手研究者同士が交流を図りながら、研究者としてのスキル・キャリアアップを目指して、ワークショップや交流会を自らの手で企画・実施する活動に取り組む。2021年度第11期アーリーバードの公募は4月1日から行う予定。

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