本シンポジウムは、春と秋に開催される有機合成化学の最先端の研究発表の場であり、毎年秋は国際会議場に多くの研究者や学生が集まり、活発な議論を行ってきました。今年はマスク着用や人数の制限も無く、念願の懇親会も行われました。2日間にわたってオーラル&ポスター発表とポスター発表、合わせて46件の最新の成果が報告され、150名を超える参加者が白熱した討論を行いました。
口頭発表では、リン、硫黄、酸化度の高い含窒素化合物を用いたユニークな反応開発や全合成への適用、金属や放射線同位体を含む化合物や稀有な骨格をもつ化合物の変換など、バラエティーに富んだ研究発表があり、全46件のポスターセッションでは、活気に満ちた質疑応答で研究者同士の交流も大いに深まりました。初の試みとして設けた特別講演では、大阪大学 鳶巣守先生に「新反応開発:結合活性化から原子挿入まで」という題目で、C-F結合やC-Si結合を活性化しそれらの間に炭素骨格を導入する反応やNHCを用いた1炭素原子挿入反応など、まさに強烈なインパクトのある反応開発を丁寧にお話いただきました。
学生発表者対象の「優秀ポスター賞」では、厳正なる審査の結果、特に素晴らしいと認められた5名が選出されました。閉会式で実行委員長の山口潤一郎教授より表彰が行われ、盛会のうちにシンポジウムは終了しました。