本年は「実験と理論の協働による学術変革」という副題のもと、4つの新学術/学術変革領域から4人の招待講演者をお招きして開催した。またハイフレックス形式での開催となり、講演者も対面/オンライン参加がそれぞれ2名ずつであった。
今岡氏(学術変革領域「反応駆動学」)には「金属サブナノ粒子の原子動態と反応駆動」と題し、サブナノ粒子が触媒活性等に特異的な機能を示すことや測定・解析技術の概要、今後の研究展開についてご発表いただいた。南後氏(新学術「高速分子動画」)からは「X線自由電子レーザーによる高時空間分解能タンパク質分子動画」と題し分子動画を撮像するための基礎技術から光受容タンパクへの最先端応用までをご説明いただいた。椴山氏(学術変革領域「デジタル有機合成」)からは「ハロゲン結合の触媒化学 -触媒反応空間の構築に向けて-」と題して水素結合/プロトンが関わる触媒化学、ハロニウムが関わる触媒化学、情報科学を組み合わせた触媒反応空間の探索についてご発表いただいた。梶氏(学術変革領域「動的エキシトン」)には「ハイスル―プット探索および包括的理解に向けての計算、マルチスケールシミュレーション」と題し熱活性化型遅延蛍光有機発光ダイオード材料の開発など当該領域における研究成果についてご紹介いただいた。いずれの講演者からも実験化学と計算化学の連携による研究成果や応用可能性について議論をしていただいた。理論・計算の応用の有用性が改めて裏付けられるとともに、申請代表者が遂行するプロジェクト研究「計算化学の社会実装」において理論・計算を社会に根付かせていく上での手法・プログラム開発の方向性に示唆を与えるものであった。