- プロジェクト研究
- ナノ材料を用いた高度利用技術の開拓と強度発現機構の解明(1期目)
ナノ材料を用いた高度利用技術の開拓と強度発現機構の解明(1期目)
- Posted
- Wed, 14 Oct 2026
- 研究番号:26P51
- 研究分野:technology
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2026年10月〜2029年09月
代表研究者
川田 宏之 教授
Kawada Hiroyuki Professor
基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科
Department of Applied Mechanics and Aerospace Engineering, School of Fundamental Science and Engineering
研究概要
従来のナノ材料に関する研究の多くは、カーボンナノチューブ(CNT)の合成に関する研究がほとんどで、人工物としてのCNTを工業用用途として利用すべく安価かつ高品位なものにする研究・開発目がほとんどであった。一方で、複合材料の強化材として利用する目的の研究も数多くなされて来たが、ほとんどがCNTを添加剤として用いる強化形態が多く、凝集の問題を解決することができても高含有率のCNTを分散させることは物理的に困難とされて来た。本研究では、ナノ材料であるカーボンナノチューブ(CNT)に着目し、CNT糸、表面修飾材、分散系材料といった多様な形態で活用する高度利用技術の開拓を目的として研究を展開する。
本研究は、以下に示す3つの研究課題から構成される。(1) 超酸を用いて液晶化したCNT分散液を作製し、湿式紡糸法によりCNT糸を成形する。さらに、適切な熱処理を施すことで、高強度炭素繊維に匹敵する力学特性(強度10 GPa、弾性率400 GPa)を有する高性能繊維の創成を目指す。(2) 炭素繊維(CF)表面に特殊な手法でCNTを修飾したCNT/CF複合繊維を用い、CNTがCF表面欠陥を修復する現象の解明を行う。また、CNT/CF複合材の疲労特性および圧縮特性を評価することで、CNTが力学特性向上に果たす役割を実証する。(3) CF/PEEK複合材にCNTを添加することで、熱可塑性複合材料の熱伝導特性向上を図る。特に、表面にCNTを被覆した微細PEEK粒子を用いてコアシェル構造を形成し、それをプレス成形することで効率的な熱伝達経路を構築する。これにより、熱伝導率10 W/mKを有するジャーナル軸受材の実現を目指す。以上の研究を通じて、CNTの高度利用による新規複合材料の創成と、その機能発現メカニズムの解明を同時に達成し、工業応用と学術的価値の両立を図る。