アンコール遺跡の中でも特異な位置を占めるバイヨン寺院の大きな謎の解明と、その魅力の保存のための、JSA/JASAの30年の挑戦の成果を包括的に報告するシンポジウムを開催した。
日本とカンボジアにおいて幅広い交流を進めてきた多くの分野の専門家を招聘し、いくつかの分野の発表講演を中心に、カンボジア側の専門家や、ユネスコの専門委員を海外から招聘し、コメントの交換や討論を行った。その結果、有意義な学術交流の機会となり、同時に両国の文化的交流をも果たすことができた。多くの一般人の来場を得ることもでき、研究成果に基づく日本-カンボジアの国際協力事業を広く周知することができた。
当日プログラム
開会 司会進行:小岩正樹(早稲田大学准教授)
開会のことば 中川武(JSA団長およびJASA共同代表)
来賓挨拶
・川瀨太郎(外務省国際文化協力室長)
・Yit Chandaroat(アプサラ機構副総裁)
・Phann Nady(サンボー・プレイ・クック機構総裁)
・Chau Sun Kérya(ICC-Angkor/SPK常任事務局員)
・Nou Niran(ユネスコプノンペン事務所国内専門職員)
主旨説明 JSA/JASA の30 年のプロジェクト概要 中川武
基調講演
・バイヨンに関する伝承 Ang Choulean(カンボジア王立芸術大学教授)
・JSA/JASAの30年の活動の評価と意義 Mounir Bouchenaki(ICC-Angkor/SPK アドホック専門家)
各分野報告
・バイヨンの考古学 田畑幸嗣(早稲田大学教授)
・バイヨンの3Dスキャン 大石岳史(東京大学准教授)
・アンコール遺跡の微生物 片山葉子(東京文化財研究所客員研究員)、Gu Ji-Dong (広東イスラエル工科学院教授)
・バイヨンの保存科学と浅浮き彫りの保存修復計画 河﨑衣美(奈良県立橿原考古学研究所)、松井敏也(筑波大学教授)
・アンコール地域の地盤工学とバイヨン中央塔保存修復工事計画 岩崎好規(一般財団法人GRI財団顧問)
・バイヨンの建築構造学と中央塔上部構造の対策 山田俊亮(安田女子大学助教)
・バイヨン本尊仏のレプリカ模刻 矢野健一郎(矢野造形技法研究所仏師)(紹介:中川武)
討論とまとめ「JSA/JASAのこれまでの活動に関する評価と今後の課題」Mounir Bouchenaki、中川武
閉会