- 研究番号:25C06
- 研究分野:technology
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2025年04月〜2026年03月
代表研究者

白井 理沙子 理工総研が募集する次席研究員
SHIRAI, Risako Junior Researcher
理工学術院総合研究所 渡邊 克巳 研究室
Waseda Research Institute for Science and Engineering
URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100003890_ja.html
研究概要
赦しにおけるヒトの知覚・認知処理の役割を認知科学的アプローチによって検証する。罪を償った後や十分に謝罪をした後であっても他者や社会集団による否定的な意味づけが拭われない状態が続く場合がある。こうした行き過ぎた排斥行為は対象のメンタルヘルスや社会復帰に重大な影響を及ぼすことが指摘されている。本研究はヒトがヒトを赦すプロセスを明らかにするために、無意識的・潜在的な情報処理過程に着目した。赦しの基盤となるメカニズムを明らかにすることで、人間社会におけるさまざまな倫理的問題に対応する規則の構築や臨床現場における応用に貢献することを目指す。
本研究では、赦しに伴う潜在的反応を行動計測・生理計測・神経計測を利用して検討する。実験的な操作によって償い行為から顕在的な赦しを引き出し、その際の行動・生理反応を多角的に測定する。具体的には、関連した脳領域の活動量、心拍・胃の周期的活動量、発汗の程度等の同時計測により、赦しと関連する潜在的な知覚・認知過程を統合的に理解し特定する。また、無意識的・潜在的処理が赦しの形成に寄与している因果的な結びつきを明らかにするため、赦しと関連した意識されない潜在的な行動・生理反応のパタンと同様の反応パタンを非侵襲的に生じさせた場合に、それに伴って赦しの程度が変化するか否かを検証する。今後の展開として、赦しの形成に国や地域に根付いた行動様式が関連する可能性についても検証する。