Graduate School of Public Management早稲田大学 公共経営大学院

News

ニュース

「インターンシップ(マニフェスト研究所)」参加報告

公共経営大学院
笹生 猛

本科目は講義だけでなく早稲田大学マニフェスト研究所の研究会やイベントなどへの参加を通して、現場で活動している議員や職員の生の声を聞くことが出来る。

イベントには、マニフェスト研究所が主催する様々な研究会やイベントがあるが、私は「マニフェスト大賞2012キック・オフミーティング」と「マニフェストサミット2012」に参加した。その中で、毎回唸ってしまうのは、「当事者の話」である。それこそ、マスコミからは得ることのできない生きた情報である。

一番唸ってしまったのは、「地方自治体における弁護士」の話だった。「マニフェストサミット2012」では日弁連会長の山岸憲司氏や北川教授のお話では、現在の法曹界は司法制度改革により司法試験合格者数が増加して弁護士が余っている。このよう状況で弁護士が地方自治体で働き始めているということだった。私も地方自治の現場で法律的な問題に直面し、「地方自治体にも企業弁護士の様な人が居たらよい」と問題意識を持っていたので、兵庫県明石市では弁護士を任期付き専門職員として採用したと聞いた時、「それはいい!」と深く同意した。地方自治体では弁護士と顧問契約を結んでいても、日常の業務で深く関わるような位置づけではない。地方分権が進めば進むほど、条例制定や法律の解釈などの場面で専門家の知見が必要となる。地方自治に関係する者として、新たな社会づくりの可能性を感じ、非常に力づけられた。

イベント以外の授業は本年10月に市議会議員選挙に立候補する予定者のマニフェストを題材に進められた。授業は、立候補予定者がマニフェストを作成、プレゼンテーションし、授業参加者がマニフェストの内容やプレゼンテーションの発表方法をレビューするという形式で行われた。

私は過去に立候補した自身の選挙において、自ら作成したマニフェストを掲げてきた。本授業でも筆者が立候補する時のマニフェスト作りの過程を扱ってもらったが、授業参加者からは非常に的確なレビューがあり、時には答えに窮する質問や指摘もあった。結果として、私が作成したマニフェストに対する授業参加者の賛同を得ることはできなかった。この様なやり取りを通じて、明確なマニフェストを作り、伝える困難さに直面した。

従来型の選挙では「言いっぱなし」でもすり抜けることが出来たものが、マニフェスト型の選挙では、すり抜けることが出来ない。マニフェスト型選挙では選挙時の発言が当選後に検証されることを前提としていることが従来型選挙との大きな違いである。この違いは「言いっぱなし」から「有権者との約束」へと候補者の発言が問われるようになってきたことを示している。

このような変化を踏まえ、候補者がマニフェストを掲げ選挙に臨むことが、今までの政治文化を大きく変えていくことにつながっていく。「社会を変えねばならない」という声は色々な所で色々な立場の人から聞こえる。「社会を変える」ための一つのきっかけは政治文化を変えることであり、政治文化を変える新しい契機となるのがマニフェストであることを本科目を通じて学んだ。また、分かり易く有権者に伝わるマニフェストを作ることも選挙が大きく変わることにつながると実感した。

「マニフェストサミット2012」の様子

「マニフェストサミット2012」の様子

 

インターンシップ(マニフェスト研究所)Aの参加者たち

インターンシップ(マニフェスト研究所)Aの参加者たち

(2012年10月16日掲載)

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/fpse/gspm/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる