【著者】守中 高明教授
【内容】
現代フランスの哲学者ジャック・デリダ(1930~2004)は、1960年代後半におけるヨーロッパのエピステモロジーの刷新に最大の貢献をした一人であり、その死にいたるまで「脱構築」の戦略を通して、哲学・倫理学・文学などのあらゆる領域の地盤そのものを組み替えた。
本書は、その強力な思考が精神分析学とのあいだに切り結んでいる深く錯綜した関係を、「耳」「秘密」「灰」「主権」をキーワードとして明らかにしようとするものである。
精神分析学を「科学的エヴィデンス主義」の桎梏から解き放つとき、そこにはどのような別の射程が現れるか。
アウシュヴィッツ生還者の「喪の作業」から、シリア内戦以後の移民・難民の「歓待」問題、そして「9・11」事件以後-パリ・同時テロ事件以後の「主権」と「来たるべき民主主義」の問いまでを、新たに読み解く試み。
この「暗い時代」(ハンナ・アーレント)をともに生きる人々のための1冊である。
【詳細】出版社ホームページ
【出版社】岩波書店
【出版年月日】2016年11月22日