School of Humanities and Social Sciences早稲田大学 文学部

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「イギリス小説に惹かれて」文学部 皆本智美准教授(新任教員紹介)

同時期にPlumer Fellowに選ばれたKaara Peterson教授とSt. Anne’s Collegeの中庭で

自己紹介

横浜で生まれ、横須賀で小学校時代の大半を送った後、ずっと関西に住むことになり、家の外では関西ことば、家の中では関東アクセントという言語上の二重生活を続けてきました。どちらの言葉や文化にも完全にはなじんでいない自分といつも向き合ってきたような気がします。

そんな二重生活にもいいことはあり、幼い頃からの本好きとあいまって、言葉や文化に対する感性が育まれたように思います。私が小さかった頃は西洋の少女が出てくるマンガやアニメが充実していたこともあり、異文化に対する関心が高まるにつれ、「世界名作劇場」などの延長上にあるものとして、いつしか「世界名作全集」に親しんでいました。

大学の学部は何の迷いもなく文学部に決めました。「役に立つ」と言われている学問が、社会に出て本当に自分の役に立つのか懐疑的でしたから、自分が好きな学問、もっと学びたい学問を勉強しようと思ったのです。ただ世界史の授業で学んだフランス革命がとても興味深かったので、どの国の文学を選ぶかについては悩みつつ、フランスの隣の国で、好きな女性作家が多くいるイギリスの文学を専攻しました。

でも学部時代はまさか将来大学の先生になるとは想像もしていませんでした。卒業後は銀行に就職したのですが、結局は好きなことから離れられず、回り道をして今に至ります。人生は何があるかわからず面白いですが、人生や世界、宇宙まで描きだす方法を無限にもっている文学は面白いと改めて実感しています。

写真1:オックスフォードの街角にあったカフェの案内板

私の専門分野、ここが面白い!

幼い頃は、登場人物に感情移入できることや、物語の世界へ没入できることが好きな本の基準でしたが、そのうち、物語にはそうさせてくれる「仕掛け」が秘められていることに気付きました。たとえば、私が少女時代から好きで、今も取り組んでいる作家にブロンテ姉妹がいますが、シャーロットの作品『ジェイン・エア』やエミリの作品『嵐が丘』には、物語の世界のできごとを誰がどのように読者へ伝えるのか、色々な工夫が張り巡らされています。その工夫や仕掛けを解き明かしていくことは文学研究の重要な要素ですし、また時代や文化との関わりを探っていくことも、文学研究には欠かせません。

文学が生み出されるのは、作家個人の性質や才能によるところも多分にありますが、その作品を取り巻く環境の力が大きく関わっています。たとえば『ジェイン・エア』では主人公のジェインが反抗する姿が描かれていますが、その反抗を可能にしたり難しくしたりするのは何なのか、言語・心理・社会・歴史など、およそ考えられる限りあらゆる角度からのアプローチを許す懐の深さが文学研究の醍醐味ではないかと考えています。

また文学研究には、異文化の思考や感情を深いレベルで理解し、論理性や批判的視点が培われるという「おまけ」まで付いてきます。

歴史を見れば、私と同様に、多くの日本人が西洋文学に憧れ、影響を受けてきました。イギリス文学では特に女性作家の活躍が目立ちます。イギリス文学を研究する日本人の一人として、イギリスの女性作家から日本が受けてきた影響についても関心をもっています。

写真2:National Portrait Galleryにあるブロンテ姉妹の肖像画

プロフィール

神奈川県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)グローバル・サービス・バンキング部勤務、摂南大学外国語学部講師・准教授、2019年Plumer Fellow, St. Anne’s College, University of Oxford等を経て、2020年4月より本学文学学術院にて現職。

共著書に『めぐりあうテクストたち:ブロンテ文学の遺産と影響』(春風社、2019年)、『ジェイン・オースティン研究の今:同時代のテクストも視野に入れて』(彩流社、2017年)、『ポケットマスターピース12:ブロンテ姉妹』(集英社文庫ヘリテージシリーズ、2016年)、『あらすじで読むジェイン・オースティンの小説』(大阪教育図書、2012年)、『ブロンテ姉妹の世界』(ミネルヴァ書房、2010年)、『ブロンテ姉妹を学ぶ人のために』(世界思想社、2005年)等。

2019年に滞在したSt. Anne’s College, University of Oxfordの中庭

 

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