School of Humanities and Social Sciences早稲田大学 文学部

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「越境する日本の古代史」文学部 田中史生教授(新任教員紹介)

自己紹介

専門は古代日本の国際交流史です。ただ、早稲田大学の第一文学部に進学した頃は、どちらかというと日本史よりも考古学に興味がありました。入学後、とりあえず発掘のアルバイトを探し、現場に立ってみることにしました。毎日、毎日、指示に従い同じ穴を掘り続けました。堀方はうまくなりましたが、当時の私には、そこから何か歴史を見つけだすことができませんでした。ちょっとがっかりして、文献史料を読んでみると、過去の人物や出来事や制度がはっきりと書かれている。それで日本史を専攻することにしました。国際交流史をテーマとするようになったのは、学部生の時に到来したバブルの影響だと思います。東京には世界中から労働者が集まり、円高で海外旅行も身近になっていました。そんな雰囲気に後押しされ、私もアルバイトでお金をためると、リュックを背負って海外に出るようになりました。人やモノが国境を越え、社会がどんどん変わっていく。そんな日本の姿を歴史的に遡ってみたくなり、古代史にたどりつきました。

しかし人生は不思議なもので、私が大学院を出て最初に就いた仕事は、島根県での埋蔵文化財の調査です。ところが一度離れた考古学に再会した印象は、学部時代と全く違うものでした。古代史料をたくさん見てきたのに、目の前の遺跡や遺物をきちんと説明できない。文献史料は歴史のほんの一部しか伝えていないことを痛感しました。自分の専門分野を越え、隣接学問分野と関わり合うことの大切さや、地域史の重要性を知りました。

島根県松江市玉湯町岩屋遺跡の古墳調査(島根県教育庁文化財課主事時代)

私の専門分野、ここが面白い!

古代日本の国際交流史を研究するには、アジア各地の研究者との連携が欠かせません。彼らとともに一つの史料を探し出し、分析する作業はとても刺激的です。そこから浮かび上がる歴史は、どこか特定の一国のものではなく、いくつもの人や地域が国境を越えてつながり合う歴史です。それらを皆で発見した時、その衝撃と感動が、国籍も言語も越えて私たち研究者を包みます。国境を越える歴史を実感できる瞬間です。

ただし歴史学は、人や社会の悩みと向き合いながら研究をすすめる学問でもあります。ですから、おもしろいだけでなく、歴史の事実に気持ちが重くなることもあります。過去は変えられませんし、都合良く書き換えてもいけません。けれども私たちには、未来を変えることができるはずです。歴史に責任を持つとは、現在の私たちがいずれ歴史的な存在となることを自覚し、未来社会のために、責任ある選択をしていくことだと思います。そのために私たちは、しっかりと過去を掘り下げ、「現在」がどのようにして存在しているのかを知るべきだと思っています。

中国河南省の石刻調査

韓国慶尚南道咸安郡の城山山城遺跡

プロフィール

早稲田大学第一文学部卒業。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了、博士(歴史学)。島根県教育庁文化財課(埋蔵文化財調査センター)主事、関東学院大学経済学部教授を経て現職。著書に『日本古代国家の民族支配と渡来人』(校倉書房1997)、『倭国と渡来人』(歴史文化ライブラリー2005)、『国際交易と古代日本』(吉川弘文館2012)、『国際交易の古代列島』(角川選書2016)、『越境の古代史』(角川ソフィア文庫2017)など。

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