文学部では、2年次から18のコースに分かれてより専門的な学びを行います。
そのうちの一つ、社会学コースでは、3・4年生の2学年で演習クラスを構成し、指導教員からの指導のもと、各種の調査・研究・発表等を行っています。
今回は、社会学コースの岡本智周教授が指導教員を担当する「社会学演習3C・4Cクラス(通称:岡本ゼミ*)」で行われた夏合宿での活動を学生に紹介してもらいます。(*以下、演習クラス名を通称名(岡本ゼミ)で記載している部分があります。)
第一篇では岡本智周教授の演習クラスがどのようなことをテーマに学んでいるのか、そして合宿初日の様子を学生の言葉で伝えてもらいます。
岡本ゼミのテーマは「共生教育社会学」
岡本ゼミは「共生教育社会学」をテーマにしています。
「共生」と「教育」と「社会」をキーワードとして組み合わせた問いを学生のあいだで共有し、現在の人間社会における葛藤の分析や、社会的共生のための理路と資源の探索を行っています。
2018年の8月に、岡本ゼミは静岡に行ってきました。旅程は2泊3日。
合宿は早稲田大学の伊豆川奈セミナーハウスで行われました。
春学期のあいだに『共生と希望の教育学』と『共生の社会学』という2冊の共生社会論の本を講読していたので、合宿では「ジェンダー」「障害」「沖縄」を論題にした3つのセッションを設定しました。
これらのテーマに関して、「共生」というアプローチでの研究をなさっている3人の先生方を合宿にお招きし、それぞれ3時間強の時間、じっくりと現状の理解と社会学的な考察を行いました。
合宿初日
初日はお昼にセミナーハウスに集まりました。午後2時からの「ジェンダー」セッションでは、笹野悦子先生(武蔵大学・都留文科大学ほか講師)の論文をもとにチーフが発表を行い、「主婦」の表象の変遷を個人化の時代背景とともに追いかけました。
笹野先生への質問やその後の討論のなかで印象が強かったのが、社会の諸問題は全て絡み合っていて複雑であるという点です。
例えば、ジェンダーの視点から見ると能力主義は平等ですが、社会階級などの視点から見ると能力主義は不平等の原理になります。
このように、次へと繋がるテーマを見出してセッションを終えることができて良かったと思います。
この合宿には先生が4人いるということで、どのセッションでも先生方のあいだで議論が交わされる場面があり、レベルの高いやりとりを前にしてゼミ生は学会を見学しているような気持ちになったりもしました。
4人の先生方は皆、早稲田の地で同時期に共に社会学を学んだ方々です。
先生方が昔学生だった頃に教わったことの話などもうかがうことができ、早稲田大学で連綿と教え継がれていることの一端を受け取ることができました。
執筆協力:岡本智周教授、2018年度 社会学演習3C・4Cクラスメンバー(今村優斗、入江克哉、大谷美也子、尾崎友哉、海藤 崚、紀野宇永、齊藤雪那、下川英恵、中矢匠、渡辺萌)