教職大学院は、すべての学生が履修する「基本科目」5領域を基礎として、それをさらに展開する「分野別選択科目」、「学校における実習」を設定しています。
「分野別選択科目」は、得意分野の学修を発展させることをねらいとしており、「基本科目」と関連づけつつこれを補完することで個々の学生がさらに深く探求し、教育専門職としての力量形成に資するように意図しています。さまざまな教職キャリアを背景とする学生の学問的・実践的関心と教職に不可欠な領域の学修を考慮して、4分野27科目を設置しました。
「学校における実習」は、授業力、教師力の総合的な実習としての「学校臨床実習Ⅰ」、インターンシップの形式で特定の課題について一定の期間実習する「学校臨床実習Ⅱ」、各自の教師力形成の課題を追究する「学校臨床実習Ⅲ」という3種類で構成されます。
さらに、広い教養と豊かな人間力を形成するための教育学研究科の修士課程と共通する「共通選択科目」を設定し、全体として重層的なカリキュラムを構成しています。
教職大学院は、基本理念のひとつとして掲げた社会的連携能力の育成を図るために、さまざまな教職キャリアの学生が協働して学び、自らの資質を高めあうことをめざしています。このような学びの場を有効に機能させるべく、受講する学生を学部新卒者と現職教員学生とに分けることなく、混成でクラス・グループを編成し、演習を課すなどの方法をとっています。学部新卒者は、現職教員学生からの助言を受けながら学ぶことができます。現職教員は助言を通じて、同僚教員との指導的協働について学ぶことになります。
また、教育技術や生徒指導など教育実践と直接的な関わりが強い科目に関しては、研究者教員と実務家教員がチームを組んで担当することで理論と実践の融合を図ります。
本大学院では、学生に対して入学時からメンター(学生に対して、入学時から修了時まで履修方法や履修状況について支援する教員)による面談を通じて、履修科目の選択と履修計画の立案及び経過の確認を行います。実習科目の履修にあたっては、要件として事前に履修するべき科目は定めていませんが、メンターが実習における学生の具体的課題の設定について助言します。また、学生の特定の課題に照らした効果的な実習となるよう、事前・事後に履修すべき科目について適切な指導を行います。
基本科目 | 18単位 | 必修科目10科目16単位、選択必修科目2単位 |
---|---|---|
学校における実習 | 10単位 | 3科目10単位 |
分野別選択科目 | 16単位 | 16単位 |
上記科目もしくは共通選択科目より | 2単位 | |
計 | 46単位 |
「学校臨床実習Ⅰ」は、授業力のさらなる向上と教職全般の業務について実習を行うものです。学部の教育実習で獲得した知識と技術を指導教員や同僚から「自立」した形で実践します。学部新卒者等の教職未経験者は、主として総合的な学級経営力、授業実践力を磨くことをめざします。
「学校臨床実習Ⅱ」は、課題の解決にあたるインターンシップ形式の実習です。基本科目、分野別選択科目で履修した内容に基づき、授業力・学級経営・生徒指導・キャリア教育・特別支援教育・地域連携等について各自で課題を決めて実習を行います。学級あるいは学年に必要とされる知識と技術について、校務分掌、教員組織に継続的にかかわることにより学びます。
「学校臨床実習Ⅲ」では、「学校臨床実習Ⅰ」「学校臨床実習Ⅱ」を通じて発見した各自の課題をさらに深めます。スクールリーダーとしての力量を鍛える場です。校内の管理職、教員との協力体制により教育研究課題の解決に取り組みます。
「学校臨床実習Ⅰ」は個人としての力量を鍛え、「学校臨床実習Ⅱ」はチームとしての同僚ならびに教員との連携の力量を鍛え、「学校臨床実習Ⅲ」は、管理職、教員組織と共に学校における教育研究課題の解決に取り組むことのできる力量を鍛える場と位置づけています。
教職大学院では、さまざまな教職キャリア(教員免許は取得しているが教職歴のない学部新卒学生や社会人学生、教職歴数年の教員から10年を超える中堅教員まで)と、さまざまな学校種(小学校、中学校、高等学校等)の教員をめざす人に門戸を開いています。それぞれの学校種や教職キャリアに応じた多様で多彩な教育実践上の課題に対応するために、基本科目以外は、各自で履修科目を選択するようになっています。これにより、科目履修には多様なパターンが考えられますが、ここではいくつかの履修モデルを紹介します。