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シビれるほどにカッコイイ舞台が待っている。劇団地点が早稲田にやってくる。

1月20日(金)21日(土)の2日間、国際的にも評価の高い劇団、地点による『ロミオとジュリエット』が早稲田大学大隈記念講堂で上演されます。地点とは一体どのような劇団なのか。早稲田大学演劇博物館・山﨑健太助手が2016年11月12月に上演された『ヘッダ・ガブラー』(イプセン作)、『桜の園』(チェーホフ作)に触れつつその魅力の一端をお届けします。

 

地点・三浦基の演出では戯曲は解体され再構成され上演される。たとえば2016年11月に上演された『ヘッダ・ガブラー』の冒頭では、横一列に並んだ揺り椅子に揺られる登場人物たちが正面を向いたまま、ただただ互いを呼びあう。「お嬢さま」「若奥さま」「ベルテ」「イェルゲン」「ガブラー将軍のお嬢さま」「お坊っちゃま」「ドクトルさま」「ヘッダ」「ヘッダ・ガブラー」「ブラック判事」「エイレルト」「エイレルト・レェーヴボルク」「テスマンさま」「エルヴステード夫人」「エルヴステードさん」「エルヴステードの奥さん」「レェーヴボルク」「テーア」「判事のブラックさま」etc。揺り椅子に揺られる様も含めてバカバカしいと言えば極めてバカバカしいのだが、しかし同時に舞台上の6人の関係性を鋭く浮かび上がらせる秀逸な演出だ。どのように呼び呼ばれるかは人間関係を如実に表す。「奥さま」「夫人」などの言葉の使い方も巧い。誰が誰の「奥さま」で「夫人」なのか。正面を向いたままの彼らが誰に呼びかけているのかは判然とせず、観客はときに関係を読み誤る。呼び名が示す対象は横滑りしてゆき、戯曲を構成する複数の「三角関係」を密やかに告発する。

戯曲の解体・再構成というと何やら難しそうな響きがあるが、地点の上演は作品の核をむき出しにする。なるほど、物語の筋を追うのは少々しんどいかもしれない。だが、筋を追うことにさえこだわらなければ見えてくるものがあるはずだ。もちろん事前に戯曲を読んでいれば「こんな作品だったのか!」という発見があるだろう。演劇の愉しみは物語のみにあらず、だ。

さて、バカバカしさは地点の一つの(もしかしたら最大の?)武器である。ときに地点語とも呼ばれる俳優たちの独特な発話も、理不尽なトレーニングめいた身体への負荷も、しばしば過剰な滑稽さをはらんでいる。だから存分に笑えばいい。笑いは禁じられていない。しかしやがて哄笑の中、あなたはふいにひやりとさせられることになる。「あたしが手を触れるものはなにもかも、滑稽で低俗なものになってしまう。そういう呪いにかかっているんだわ」とはヘッダ・ガブラーの言葉だが、地点が上演するのはまさにこの滑稽の悲劇なのだ。そして滑稽の悲劇とは現代の悲劇でもある。

チェーホフの『桜の園』が「四幕の喜劇」と名づけられているのも同じ理由によるものだ。登場人物たちは必死であるがゆえに滑稽であり、必死になれないがゆえに滑稽であり、滑稽ゆえにもの哀しい。地点『桜の園』では静と動の強烈な対比が、すれ違いと呼ぶにはあまりに大きな価値観の断絶を突きつける。商人・ロパーヒンが敷き詰められた一円玉をジャラジャラと踏みつけにしながら踊り狂う一方、女地主・ラネーフスカヤと家族たちはそれを一顧だにせず、舞台中央に積まれた額縁の上に腰掛けたまま降りようともしない。ロパーヒンの狂騒もラネーフスカヤの見て見ぬふりも、側から見れば滑稽で、だから一層痛々しい。笑いは鋭い棘になる。

もちろん、単にそのカッコよさを楽しむのもありだ。あなたが演劇はダサいと思っているならば、その印象は地点を見ることで塗り替えられることになるだろう。「演じる」なんて小っ恥ずかしい? いやいや、地点の演劇はあなたが思っているようなものではない。地点は胸ぐらを掴むがごとき乱暴さで観客を挑発する。約束しよう。シビれるほどにカッコイイ舞台が待っている。

今回、地点は早稲田出身のバンド・空間現代と3度めのタッグを組む。これまでに地点と空間現代が組んだのは『ファッツァー』(ブレヒト作)『ミステリヤ・ブッフ』(マヤコフスキー作)とどちらも革命をテーマにした作品だった。誰もが知るあの『ロミジュリ』もまた、「政治と宗教への挑戦」「「愛」という名の政治劇」として読み解かれるらしい。公開された予告映像には文字通りの「格闘」が映し出されていた。革命の果て、たどり着くのはいずこか。

地点の言葉と空間現代の音にただ溺れるもよし。予習バッチリで『ロミオとジュリエット』の新たな魅力を発見するもよし。世界レベルの演劇が映画と同じ料金(早稲田生割引なら1500円!)で見られる機会はなかなかない。是非この機会に大隈講堂に足を運んでいただきたい。

 

催事名

地点『ロミオとジュリエット』

日時

2017年1月20日(金)19:00/21日(土)19:00 ※開場は開演30分前

会場

早稲田大学 大隈記念講堂
東京メトロ東西線「早稲田駅」3a出口徒歩5分
都営バス(学02:高田馬場~早大正門間) 早大正門停留所からすぐ

料金

一般 3500円

学生 2500円

早稲田大学 教職員割引 2500円 ※早稲田大学生協のみ取扱

早稲田大学 学生割引 1500円  ※早稲田大学生協のみ取扱

※全席自由席・整理番号付

申込方法

地点 TEL. 075-888-5343 http://chiten.org/reservation/

早稲田大学生協 TEL. 03-3202-4019

ローソンチケット TEL. 0570-000-407 http://l-tike.com/chiten_rj/ [Lコード:32601]

チケットぴあ TEL. 0570-02-9999 http://t.pia/jp/ [Pコード:455-662]

 作

ウィリアム・シェイクスピア

翻訳

中野好夫

演出

三浦基

音楽

空間現代

出演

安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、田中祐気

主催

合同会社地点

共催

早稲田大学

助成

芸術文化振興基金

お問い合わせ

合同会社地点 京都市左京区北白川久保田町64-22

TEL 075-888-5343 MAIL info@chiten.org

Dates
  • 0120

    FRI
    2017

    0121

    SAT
    2017

Place

早稲田大学 大隈記念講堂

Tags
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