アングラ演劇の“過剰さ”を現代の学生と共に考える 梅山いつき 坪内博士記念演劇博物館助教

早稲田の演劇研究と教育

早稲田大学では、坪内逍遙先生以来の演劇研究の伝統があり、様々なアプローチで研究が進められています。

3人の研究者に、研究と教育の2つの側面から早稲田演劇への思いを語っていただきました。

アングラ演劇の“過剰さ”を現代の学生と共に考える

梅山いつき 坪内博士記念演劇博物館助教

梅山eyecatch私の専門は1960年代の小劇場演劇第一世代、いわゆるアングラ演劇です。私が生まれる前のことなのでリアルタイムで舞台を見たことはありませんが、学生時代に行った黒テントの稽古場に貼ってあったポスターを一目見た瞬間、その迫力に心を奪われました。研究を始めるきっかけのひとつですね。当時の小劇場演劇には、実験的で先鋭的なことをやりたい人々を集める求心力があり、横尾忠則や粟津潔、宇野亜喜良といった日本を代表する美術家が舞台美術やポスター等のアートワークを担当し、後に伝説となるような作品を次々と生み出していました。ポスターは単なる広報としての機能を超えた、集団にとっての旗として重要視されていたため、舞台が消えた今でも当時の息遣いを伝えています。また、劇団の中には演劇センター68/71(現・黒テント)のようにメディア戦略に長けた集団もありました。研究ではそうした批評や戯曲を読み解く作業を進めています。

アングラ演劇の特徴を一言で言えば、その“過剰さ”にあります。表現の質にも活動の量にも圧倒的なパワーがありました。ややもすれば、暑苦しくも感じられるほどではありますが、なぜそれほどまでに社会を問うたのか、時代を超えて今の学生と共に考える機会があってもいいのではないかと思い、授業でも紹介しています。

演劇博物館の活動を伝える 「演劇博物館報 enpaku book」

演劇博物館の活動を伝える
「演劇博物館報 enpaku book」

また、演劇博物館の助教として、学内の文化施設を最大限活用しながら、エンパクの演劇研究拠点としてのパフォーマンス力を高めていきたいとも考えています。早稲田小劇場どらま館と合わせて、研究と実践の両輪を回すことができれば、バランスの良い演劇人を生み出す最高の環境をつくれるのではないでしょうか。学内にとどまらず、学外からも演劇が好きな方、演劇界をより盛り上げていきたい方が早稲田に集まるよう、魅力的な企画を生み出していきたいですね。

企画展「広場をつくる・広場を動かす—日本の仮設劇場の半世紀—展」(演劇博物館、2011年)撮影:鹿野安司

企画展「広場をつくる・広場を動かす—日本の仮設劇場の半世紀—展」(演劇博物館、2011年)撮影:鹿野安司

 

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