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ビジネスリーダーからのメッセージ
Thu 21 Sep 23
Thu 21 Sep 23
ビジネスリーダーからのメッセージ
好奇心をもって挑戦し、自ら体験することを実践しよう
十時 裕樹 ソニーグループ株式会社取締役代表執行役社長COO兼CFO
早稲田大学 在学中の皆さん、こんにちは。ソニーグループ社長 COO兼CFOの十時です。
私は1987年に早稲田大学商学部を卒業し、ソニーグループに入社しました。その後、英国金融子会社への赴任やソニー銀行の立ち上げに携わった後に、インターネット事業のソネットでCFO、スマートフォン事業のソニーモバイルでCEO、ソニーグループのCSO、CFOと幅広く多様な経験をする機会に恵まれました。これらの経験の一つひとつが、今では私にとっての、かけがえのない大きな財産となっています。
昨年度ソニーグループは、3年連続で過去最高の売上高・営業利益を更新することができました。
その一方で、弊社を取り巻く外部環境に目を向けると、不透明な世界経済や地政学リスク、資源や環境問題など、不確実性が高まっています。加えて、AIに代表されるような、急速なテクノロジーの進化を事業の更なる成長につなげられるか、逆に、ディスラプトされるかは紙一重だという危機感も強くしています。
こうした外部環境や技術の大きな変化のなかで、ソニーグループとしてのレジリエンスを高めていく鍵は、「多様性」の進化にあると考えています。社内外の様々な属性、経験、専門性をもった人材がソニーを場として集まり、その発想や創造力を開放することで未来を共創し、そして、個人も企業も成長し続ける、そうした姿を目指したいと考えています。
早稲田大学の創立150周年(2032年)へ向けた『WASEDA VISION 150』では、皆さんが、どのような教育・研究環境の中で何を身に付け世界へはばたくのか、その学窓と早稲田の研究のあるべき様態、そして、卒業生がどのような姿で世界のリーダーとして、あるいは地域社会を支える市民として、活躍しているのか、その姿が示されています。
例えば、「人間力・洞察力を備えたグローバルリーダーの育成」という観点について言えば、優れたリーダーには周囲を巻き込んでいく力が不可欠です。そうした人には、好奇心が旺盛で、行動力があり、また、新しいことに対して「否定」から入らない、といった資質が強く求められるでしょう。また、さまざまな視点での考え方、つまり多様性に対する包摂力も重要です。
したがって、皆さんには在学中に、意図的に好奇心をもって多くのことに挑戦し、自ら体験することを実践して欲しいと思います。好奇心は、自発的な調査・学習や物事の本質を研究するといった、知的活動の根源となる感情であり、皆さんの行動を強くドライブする可能性があるものです。相対性理論を提唱したアインシュタインも「私には特別な才能などありません。ただ、ものすごく好奇心が強いだけです。」という言葉を残しています。
また、危険や失敗を恐れず、困難な物事や新しい記録・未経験のことなどに立ち向かう人の姿をみて、皆さんも共感したり、共鳴したり、応援したいと思ったり、また、自分自身が勇気づけられたりすることもあるのではないでしょうか。このように挑戦は、周囲の人を共感させて巻き込んでいく力を持つものなのです。
好奇心を持ち続けて、挑戦を続ける未来の多くのグローバルリーダーが、早稲田大学から育っていくことを願って止みません。皆さんとお会いできる機会を楽しみにしています。

1987年商学部卒業。
卒業後、 ソニー㈱(現ソニーグループ㈱)に入社。財務部や海外駐在を経て、ソニー銀行の立ち上げに携わる。その後、ソニーネットワークコミュニケーションズ㈱で代表取締役 執行役員副社長 CFOを務める。2013年にソニー㈱の業務執行役員 SVPとして、事業戦略、経営企画、財務、新規事業創出などを担当。2014年よりソニーモバイルコミュニケーションズ㈱の代表取締役社長 兼 CEOとして、スマートフォン事業の構造改革を遂行。2017年にソニー㈱ 執行役 EVP CSOとして中長期経営戦略を担当した後、2018年に専務 CFO、2020年に副社長 兼 CFOに就任。現在、ソニーグループ㈱ 取締役 代表執行役 社長 COO 兼 CFOを務める。
