本学の平山廉国際学術院(国際教養学部)教授が7月28日、1994年に見つかったカメの化石が、カメからスッポンへ進化する途中の新種であることが分かったと発表しました。発見された化石は、発見者の大倉正敏さんの名前とスッポンがモデルとされる妖怪「かっぱ」にちなみ、「カッパケリス・オオクライ」と命名されました。
発見された化石は甲羅の部分の2片で、石川県白山市桑島の大嵐谷付近の手取(てとり)層群赤岩層(1億3000万年前)から出土。今までスッポンの最古の化石は、福井県勝山市とウズベキスタンで見つかった1億1000万年前のものとされてきましたが、今回は、それを更に2000万年も遡っています。
化石2片は8月21日まで白山市立松任博物館で特別公開されています。

発見された化石
A・B・Cは同一化石を別角度から撮影したもの

カッパケリス・オオクライ復元画
小田隆氏(成安造形大学)画
平山教授コメント「石川県白山市で見つかった最古のスッポン化石」
スッポンというと鍋物などの料理を連想される方も多いことだろう。スッポンには鱗がないので爬虫類らしく見えないが、甲羅を持つカメの仲間である。通常のカメでは、鱗は甲羅の表面も覆っているが、スッポンの甲羅にはその痕跡(細長い溝)もなく、その代わりに虫食い状の彫刻が表面に発達する。大倉正敏さんが発見した化石(カッパケリス・オオクライ)は、今から約1億3千万年前(中生代白亜紀)の地層に埋もれていた。恐竜や翼竜など大型の爬虫類が我が世を謳歌していた時代である。見つかった化石は、甲羅を構成する50ほどの要素のうち二つにすぎないが、スッポンの起源に迫る重要な特徴があった。甲羅の表面には鱗の痕跡がまったくなく、虫食い状の彫刻が強く発達していた。いずれもスッポンの重要な特徴であるが、スッポンではなくなってしまう縁板(えんばん:写真のA, B, C)がしっかり残っていた。つまり、カッパケリスはスッポンに進化する途中のミッシング・リンクだったと考えられる。今回の発見により、スッポンの起源は約2千万年も古くなったわけであるが、現在も新たな化石を求めて石川県などでの調査は継続中である。今後もさらに重要な発見があるに違いない。
以上