安倍政権成立から1年、外交・安全保障戦略を点検・評価する日米研究インスティテュート(USJI)主催のシンポジウムが2013年12月12日、早稲田大学国際会議場で開催されました。民主党政権下で混乱した日米同盟関係の修復を前提とし、緊張するアジア太平洋地域の国際関係のなかで、今後数年間継続すると思われる安倍政権の外交政策、とくに安全保障政策の方向性、直面するであろう課題、およびそれらへの対応方策を幅広い観点から考え、活発な議論が交わされました。シンポジウムには約460名の方が参加し、外交・安保問題への関心の高さがうかがわれました。
マイケル・アマコスト元駐日米国大使と小野寺五典防衛大臣が基調講演。アマコスト氏は「安倍政権は安定的に政策を実施でき、日本経済も順調で、構造問題にも取り組んでいる。日米の協力も堅調だ」などと安倍政権を概ね評価し、集団的自衛権や中国の軍事的台頭、日本と周辺国とのナショナリズムを巡る問題や、将来にわたる日米関係の重要性などについて意見を述べました。小野寺氏は「中国が防空識別圏を一方的に設定するなど、毎月のように何かが起こる1年だった」などとして日本の安全保障環境が大きく変化していることを指摘し、「日々の警戒監視を怠らず、しっかりと防衛力を整備して同盟国や周辺国との対話を常にし続けることが重要だ」などと話しました。
パネルディスカッションでは、村田晃嗣同志社大学長の進行のもと、国家安全保障局の初代局長に内定している谷内正太郎早稲田大学客員教授が「国際社会での責任・役割」「地球を俯瞰する外交」「集団的自衛権行使の憲法解釈見直し」「中国や韓国との関係における『戦略的忍耐心』」などの問題を提起。東京大学の久保文明教授、早稲田大学の植木千可子教授、京都大学の中西寛教授、同志社大学の寺田貴教授、東京大学の池内恵准教授、アマコスト氏らパネリストが、それぞれの主張を明らかにして、討論が行われました。
- パネルディスカッション
シンポジウムの動画は、USJIのウェブサイトでご覧いただけます。
日米研究インスティテュートは免税団体としての501 (c)(3)の資格を取得した米国NPO法人です。九州大学、京都大学、慶應義塾大学、筑波大学、東京大学、同志社大学、立命館大学、早稲田大学が連携して活動しています。
日米研究インスティテュート (USJI) 国際シンポジウム概要
司会・國領二郎(USJI副理事長/慶應義塾常任理事)
【開会挨拶】江川雅子(USJI理事長/東京大学理事)
【基調講演】
- マイケル・アマコスト(USJIアドバイザリーボード/ スタンフォード大学特別上席フェロー/元駐日米国大使)
- 小野寺五典(防衛大臣/衆議院議員・自由民主党)
【パネルディスカッション】
モデレーター
- 村田晃嗣(同志社大学長)
問題提起
- 谷内正太郎(内閣官房参与/早稲田大学客員教授)
パネリスト
- 久保文明(USJI理事/東京大学教授)
- 植木千可子(USJI運営アドバイザー/早稲田大学教授)
- 中西寛(京都大学教授)
- 寺田貴(USJI運営アドバイザー/同志社大学教授)
- 池内恵(東京大学准教授)
- マイケル・アマコスト(USJIアドバイザリーボード/スタンフォード大学特別上席フェロー/元駐日米国大使)
【閉会挨拶】辻中豊(USJI副理事長/筑波大学学長特別補佐)
【協力】読売新聞社
【協賛】JXホールディングス(株)、住友化学(株)、住友商事(株)、全日本空輸(株)、(株)損害保険ジャパン、トヨタ自動車(株)、日本郵船(株)、パナソニック(株)、東日本旅客鉄道(株)、三井物産(株)、三井不動産(株)、三菱重工業(株)、三菱商事(株)