2013年7月17日、早稲田大学芸術功労者として顕彰されたドナルド・キーン氏による演劇講座「文楽と近松」が大隈記念講堂で行われ、1000人近くの来場者が耳を傾けました。
キーン氏は、「小さい頃から演劇と映画が大好きでした。自分が若い頃、西洋では日本の元禄時代の文学が一番知られていませんでした。そんな時、『好色五人女』、『奥の細道』に出会い、人と違うことをしたいと考えて、日本の元禄時代の文学を研究しようと考えました」と、日本文学研究へ進んだ理由について語りました。
また、今の日本の文学を取り巻く状況について、「日本の高校教育に問題があります。古典の文法ばかり教育し、国文学の面白さを伝えていません。結果として、大学で国文学を学ぼうという学生がでてこないという現状があります」と訴え、「たとえば『源氏物語』を現代語訳で読むのでも良い。日本人が初めてシェイクスピアを読む際、現代語訳で読むように、まずは物語を楽しむことが大事です。『源氏物語』は、日本の地球の裏側の国でも、その国の現代語訳で読まれているのです」と指摘し、「若い人に文学の良さを伝えていかなければならない。日本人として自分の国の文学にもっと触れるべきです」と、強調されました。
演劇博物館では、「ドナルド・キーン展」が8/4(日)まで開催されており、早稲田大学や演劇とつながりのあるキーン氏の所蔵品が展示されています。
ドナルド・キーン展
- 会期: 2013年5月21日(火)~2013年8月4日(日)
- 場所: 早稲田大学演劇博物館 六世中村歌右衛門記念特別展示室 (新宿区西早稲田1-6-1)