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2012年度 9月卒業式 鎌田薫総長による式辞

2012年度 9月卒業式式辞

120915_Graduation

皆さん、卒業おめでとうございます。

この度、めでたく2012年度9月学部卒業式・大学院学位授与式を迎えられたのは、学部卒業者806名、大学院修士課程修了者291名、同専門職学位課程修了者108名、芸術学校卒業者1名です。これに、午前中に学位授与式を行いました博士学位受領者117名を加えますと、合計1323名となります。これらの卒業生・修了生の中には、世界各地から早稲田に来られた留学生の方々も数多く含まれております。

これら全ての卒業生・修了生の皆さんに、早稲田大学を代表して、心からのお祝いを申し上げるとともに、長い間、物心両面から卒業生・修了生の皆さんを支えてこられたご家族・ご友人の皆さまに、心よりお慶びを申し上げます。

さて、つい先日までロンドンで、オリンピック・パラリンピックが開催されていました。本学からは、やり投げのディーン元気選手、サッカーの吉田麻也選手など現役学生6名、校友5名がオリンピックに、同じく校友5名がパラリンピックに出場しました。私たちがアマチュアスポーツに惹かれるのは、自分の限界に挑戦し、これを克服する真摯な姿に感動を覚えるからだと思います。病気や障害などのさまざまな困難を克服した選手として、本学の現役女子学生として初めて銅メダルを獲得した水泳の星奈津美選手や、パラリンピックで二つの銅メダルを獲得し、アテネオリンピック・北京オリンピックと合わせて5つのメダルを獲得した水泳の鈴木孝幸選手などがおり、その活躍ぶりは、まさにこのアマチュアスポーツの神髄を具現化するものとして、多くの人々に強い感動と興奮を与えたものと思います。

本学とオリンピックとの関連を遡ってみますと、初めてオリンピックに出場した本学関係者は、1920年ベルギー・アントワープ大会のマラソンに出場した三浦弥平です。

三浦は1891年、今の福島県伊達市に生まれましたが、小さい頃から身体が弱く、これを克服するために雨が降っても風が吹いても毎日走ることとし、中学5年の運動会の1000m走で1位となったことで、練習さえ積めば強くなれるという自信を持ち、マラソンを志すようになったそうです。

早稲田大学政治経済学科に入学すると、競走部の一員として活躍し、第1回箱根駅伝にも第5区の山上りで出場しました。そして、本学を卒業した1920年の8 月にアントワープ大会に出場し、そのままドイツに赴いて、ベルリン大学で経済学を修めた後、ドイツ体育大学で近代的なスポーツ科学やコーチ理論を学びました。

パリ大会への出場も経験した後に帰国した三浦は、青少年や地域住民のスポーツ活動を振興するため、私財を投じて郷里にオリンピック村を建設しました。その後の不況や昭和三陸地震等の影響でオリンピック村は閉鎖されましたが、三浦の企画したマラソン大会は、「三浦弥平杯 伊達市梁川ロードレース大会」として受け継がれ、毎年各地から多くの参加者を集めています。スポーツを通じて青年の体位向上と精神の養成を図るという先駆的な試みが長い時間を経て実を結んでいると言うことができるでしょう。

ところで、早稲田大学の前身である東京専門学校で1897年に行われた卒業式兼創立15周年祝典において、大隈重信は次のように語っています。

「諸君は数年勉強の結果、今日この名誉ある卒業証書を貰って初めて社会に出ていくが、諸君が向かう所には種々の敵がたくさんいる。道徳の腐敗あるいは社会の元気の沮喪などは最も恐るべき敵である。この敵に向かって諸君は必ず失敗をする。成功があるかも知れないけれども、成功より失敗が多い。失敗に落胆しなさるな、度々失敗するとそれで大切な経験を得る。その経験によって成功をもって期さなければならない。ところで、この複雑な社会の大洋において、航海の羅針盤となるのは学問である。諸君は、その必要なる学問を修めたのである。」

大隈の挨拶から115年が経った現在、日本を取り巻く状況は極めて厳しいことは、皆さんもよくご承知の通りです。急激な少子高齢化の進行等を背景に、政治経済の低迷や国家財政の逼迫、アジアなど新興国の台頭に加え、東日本大震災と原発事故に襲われ、社会全体がある種の閉塞感に覆われています。世界を見渡しても、貧困や食糧難、環境破壊、地域紛争の頻発などさまざまな難問が山積しています。皆さんも、社会に出たとたんに、大隈が言うところの「敵」に取り巻かれ、失敗の連続に見舞われるかも知れません。

しかし、先ほど紹介した星選手や鈴木選手、そして三浦弥平にしても、数々の失敗や苦難に遭いながらも、経験を通じた知恵や工夫を積み重ねつつ、自らの信念を貫いていったのです。

地球社会全体が大きな困難に直面している現代だからこそ、皆さんたち若い世代が、勇気と高い志をもって、世の中を作り変え、生き生きと甦らせてほしいと願っています。皆さんは、大隈の言うように、ここ早稲田大学において、そのための羅針盤となる学問を修めてきたのです。

早稲田大学は、いま、創立150周年を迎える20年後の2032年に本学がどのような姿であるべきかを見据えた中長期計画「Waseda Vision 150」の策定を進めています。そこでは、「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」という建学の精神を踏まえて、「世界に貢献する高い志を持った学生」が集まり、「世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する研究」が行われ、「グローバルリーダーとして歓びを持って汗を流す卒業生」が世界の至る所で活躍し、大学や社会と密接な協働関係を構築していくという将来の姿、すなわち「Vision」を思い描き、それを実現するための道筋を示そうとしています。

本学を巣立っていく皆さんが、建学の精神をしっかりと胸に抱き、グローバルリーダーとして、失敗を恐れずに世界の平和と人類の幸福のために思う存分力を発揮して下さることによって、このVisionの実現に向けた歩みが着実に前進し、やがて世界の平和と人類の幸福が実現するものと、大いに期待しています。

皆さんのさらなる飛躍を祈念して、お祝いの挨拶とさせていただきます。

本日は卒業・修了おめでとうございます。

早稲田大学 総長 鎌田 薫

  以上

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